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#09 Preparation

毎日15時から20時の間に投稿予定

「――それで、ここではどんな物を売ってるんだ?」

 

 と、わたしはカウンターに立つ者――商人と呼ぶことにした――に尋ねる。

 

「武器から防具、小物類、食料品、消耗品などなど……ライターも有りますよ」

 

「それはありがたい」

 

 武器が買えるのはいい。ちょうどさっきの戦闘で銃が弾切れしていた。

 

「ただ、武器を買う前に自分の戦闘スタイルをある程度決めておくことをおすすめします」

 

「戦闘スタイル?」

 

「ええ。近接主体とか、魔法主体とか……。まあ魔力を込めた攻撃でないと魔物は殺せないのでいずれにしてもMPを消費することにはなりますが、それによって使う武器やスキルなんかも変わってきます。――共通スキルは既に何か取得しましたか?」

 

「なるほど。――え、魔物って普通にやったんじゃ殺せないのか?」

 

 コイツ、さらっと重要そうなことをさも当たり前かのように言いやがった。ということは駐車場で利人が轢いた奴は死んでなかったのか? なんならさっきメタボ巨人に撃ち込んだ散弾も無駄だったってことか?

 

「ええ。魔力の無い攻撃でもダメージは与えられますが、トドメを刺すには必須です。それに魔力を込めた攻撃の方がダメージ効率も良いです」

 

「是非ともそれを最初に教えてもらいたかったな」

 

「申し訳ございません。既に気付いていると思っていたもので」

 

「まあいいや……。で、戦闘スタイルか」

 

 そういえばスキルポイント、まだ余っていたな。先にそっちを取得するか。

 

 そう思ってわたしは共通スキル・テーブルを開く。残ポイントは9。B、C、D級を一つずつ取得できる。

 

「利人、お前はどうする? わたしはあんま運動神経自信ないから魔法主体でやろうかと」

 

「そうだな。じゃ俺は近接をやろう。ちょうど君と俺で前衛と後衛を役割分担する形になる」

 

「それでいこう」

 

 そうなるとわたしは、魔法系を強化するスキルを重点的に取ればいいんだな。

 

 そう考えてわたしは三つのスキルに目を付けた。まずはB級から〈魔法専門家〉。魔法で与えるダメージを増加させるスキルだ。続いてC級から〈魔力庫拡張〉。自身の総魔力量を増やすスキル。そして最後にD級から〈情報分析専門家〉。これは直接魔法を強化するものではないが、様々な物に関する情報を取得することができる。特に魔物のステータスを閲覧できるのはこれから何かと役に立つだろう、ということで取得した。

 

 一方で利人は〈武具専門家〉〈抗堪専門家〉〈最後の抵抗〉を取得。近接攻撃の威力を補助しつつ、前線で戦う都合上生存性にポイントを振っている。

 

「戦闘スタイルは決まりましたかな?」

 

「ええ。おかげさまで」

 

 そう答えると、商人は後ろの棚から幾つかの商品を取り出してカウンターに並べた。

 

「ええとまずは……こちらはもっともシンプルで初心者用の魔法杖です。これを介して魔法を発動することで魔法の精度が向上したり、消費MPが軽減されたりします。特別クセも無いので最初のうちはこれがベストかと。それからこちらは剣ですね。程よい長さと重量で、こちらも初心者でも扱いやすく仕上がっています」

 

 と、商人が武器を手に取り説明していく。

 

 魔法杖はわたしが買うべき装備だろう。大きさはわたしの頭を除いた身長ほど。実際に持ってみたが、さほど重くはなかった。

 

「魔力を込めた攻撃といっても……剣でどうやって魔力を込めるんだ?」

 

 と、利人が聞く。

 

「自分の身体によく集中してください。すると自身の中を流れるエネルギーが知覚できるはずです」

 

 そう商品に言われ、利人はその場で目を瞑り集中し始めた。

 

 試しにわたしもやってみる。と、感じた。うまく言葉で言い表せないが、確かにパワーを感じる。

「剣を手に持って、それを剣に流し込むようイメージしてください。それで、剣に魔力を込めることができます」

 

「おお……これで……」

 

 利人の様子からして成功したようだ。

 

「その状態で攻撃すれば、魔物を殺すことができます。剣でなくても、銃弾とかその辺の鉄パイプなどでもできますよ」

 

「フムン。――武器に込めた魔力は回収できるのか?」

 

「できますが、ある程度は周囲に放出されてしまうので百パーセントは戻ってきません」

 

「なるほど。――これらは幾らだ?」

 

「剣と魔法杖はどちらもコイン四枚です。武器はこれが最安値です」

 

 さっきのメタボ巨人戦で手に入れたコインは十二枚。この二つを買えば四枚が残る計算。

 

「防具も見せてくれ」

 

 と、利人。

 

「かしこまりました。――こちらがここで取り扱っている防具になります」

 

 そう言って商人が取り出したのは、赤い宝石のような物がはめられた腕輪だった。

 

「これが防具?」

 

「アルカノシールド発生機が内蔵されています。これを腕に装着し、魔力を流すとシールドが生成されます。どうぞ試してみてください」

 

 そう言われ、利人が腕にはめて実際に試してみた。すると、楕円形の、プラズマのようなシールドが生成された。

 

「MPが切れない限りシールドを展開することができます」

 

「価格は?」

 

「コイン三枚で」

 

 これも買うとなるとあとコインは一枚。

 

「コイン一枚で買える物はあるか?」

 

 と、今度はわたしが尋ねる。

 

「コイン一枚ですと、そうですね……こちらのサバイバルナイフはどうでしょう。多用途で使えますし、あまり戦闘向けではありませんが最低限の自衛くらいなら」

 

 ということでわたし達はコイン十二枚全てを使い、魔法杖と剣、シールド、腕輪とナイフを購入した。魔法杖とナイフはわたしが、剣と腕輪は利人が装備する。

 

 これにて今揃えられる範囲では装備を調えることができたのではなかろうか。

 

「あ、そうそう。これをあなた方にお渡しします」

 

「これは?」

 

「コンチネンタルーオーダー・グループの施設に通じるトビラを呼び出すためのタリスマンです。行きたい施設を意識して魔力を流すことで、付近に魔物がいなければトビラを呼び出せます」

 

「それは便利だな。ありがとう」

 

「どういたしまして。ますますのご活躍をお祈りしております」

 

 こうしてわたし達はオーダーズ・バザールを後にし、元の世界に戻ってきた。

お読みいただきありがとうございます。


面白いと思っていただけたなら、↓の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけるとありがたいです。


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