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#08 Broken Arrow

毎日15時から20時の間に投稿予定

 コンチネンタルーオーダー・グループとこの魔物騒動にはどんな関係があるのか。それをこの者は語り出した。

 

「我々の世界では、このコインが非常に重要な物資となっています。これはあなた方にとってはただのコインですが、我々にとってはこれが我々の生命を維持するためのエネルギー源です。そしてこれは魔物からしかドロップしません。魔物は空間歪曲によって生じた生命エネルギーの断片であり、コインはそれが凝縮された核だからです。したがって我々は太古の昔から魔物を狩って生き延びてきました。原始時代から高度な魔法文明が発達した今に至るまで、変わりません」

 

「フムン」

 

「一年ほど前、我々の世界で世界中を巻き込んだ大規模な戦争が勃発しました。仁義や道徳を重んじる統治によって栄えた王国に、圧倒的な力で支配体制を確立した帝国が攻め入ったのです。戦争は最初こそ帝国軍が優勢でしたが、徐々に王国軍が押し返して拮抗状態になりました。そして一ヶ月ほど前、帝国は膠着した状態を一気に打開するべく条約違反を犯してある兵器を使用しました。空間をねじ曲げ、あらゆるもをどこでも好きなところにワープさせることができる空間制御魔導兵器〈賢者の風車〉です。帝国はこれを使用して王国の要衝に奇襲を仕掛けるつもりでした。しかしそれを王国の諜報部隊が事前に察知しており、王国軍はその兵器を破壊するべく決死の攻撃を開始しました。戦闘は熾烈を極め、最終的にまだ完全で無い状態で帝国が兵器を起動しました。が、不完全な状態で強引に起動させたため兵器は暴走。我々の世界を飛び越え、世界線を越えて我々の世界と繋げてしまいました」

 

「なあ、その兵器って、まさか……」

 

 わたしはとある結論が頭の中で予想された。それを確かめるべく、尋ねる。

 

「はい。この世界に突如として現れた、あなた方が言う()()()()()()()()()()です」

 

「マジか……」

 

「更に賢者の風車は、暴走によって我々の世界に大規模な空間異常災害を引き起こしました。これによって帝国も王国も瀕死の状態に追い込まれ、一応双方休戦協定を結びましたが、そのダメージは計り知れないものとなってしまいました」

 

「大体の事情は分かった。じゃつまり、あの風車がそっちの世界から魔物を呼び寄せてるってことでいいんだよな?」

 

 と、利人。

 

「ええ、そうです。ただ、これが一筋縄ではいきませんでした。こちらの世界では形を保っていますが、我々の世界では風車自体も空間異常に巻き込まれ、どこかに消えてしまいました。こちらの世界に魔物が出てきているので我々の世界のどこかには有るはずなのですが、どちらの国も大幅に力を削られて十分な捜索ができずにいます」

 

「そんな……」

 

「ですから、我々はあなた方を支援し、あなた方の力で風車を破壊していただくことにしました。不幸中の幸いと言うべきか、あれのお陰で我々はこちらの世界に限定的ですが干渉できるようになりました。その結果できたのが、これや他の施設です」

 

「……ずいぶんと勝手な話だな。わたし達を巻き込んで危険な目に遭わせておいて、解決はお前たちででやれと、あんたはそう言ってるんだ」

 

「それは否定できません。申し訳ございません」

 

 まあ、そんなことを言ったところでこの人達もどうしようもなかったのだろう。あまり口に出して責めるのは酷か(だからといって容認する訳ではないが)。

 

「まあ、しかし事情が事情だしな……。あんたらを責めたところでどうにもならないし。だが、だったらなんで施設に利用制限なんて付けた? それに利用料とかもだ。それは支援ではなく商売だろう」

 

「できたらそうしたいところです。しかし、我々の今の力ではあなた方全員に満遍なく支援を行き渡らせることができませんし、我々も我々の生存のために生命エネルギーを集める必要がある。それで仕方なくそうさせてもらいました」

 

「フムン」

 

 それから彼らの世界の人たちは、どこが転移ポイントなのか把握できていないために直接こちらの世界には来ることができないということなども説明された。

 

「まあ、要はこっちの世界にできた賢者の風車を全部壊せばいいってことでいいのか?」

 

 と、利人が聞く。

 

「はい。そのために全力でサポートさせていただきます」

 

「了解」

 

 これで聞きたいことは大体聞けただろうか。あ、そうだ。まだ一つ、聞いていないことがあった。

 

「この、ステータスとかスキルとかも賢者の風車の影響なのか?」

 

「ええ、そうです。こちらの世界のシステムが一部そちらにも反映されたようです」

 

「なるほどね。……ちょっとそれらについても教えてくれるか?」

 

「かしこまりました」

 

 まずステータスについて。これはわたし達が考えていたものでほとんど正解だった。一つ注意するとすれば、MPの数値は残MPの割合であって総量を数値化したものではないため、いくらレベルアップしたとしても数値のMAXは100だそうだ。ただレベルアップなどでMPは増える。さらにレベルアップによって受けたダメージや消費したMPなどは回復する。

 

 続いて標準スキルと共通スキルについて。標準スキルは条件を達成することで随時獲得できるもの。先の戦闘でわたしが獲得した〈魔法入門Ⅰ〉〈緊急回避Ⅰ〉がそれに該当する。このⅠというのはスキルレベルを表しており、主にレベルアップによって得られるスキルEXPを溜めることでスキルレベルが上昇し、その効果が強化されるそうだ。またスキルの中には一定レベルに達することで上位スキルに変化するものもある。一方で共通スキルはレベルアップ時にもらえるスキルポイントを消費して取得するスキルだ。スキルは全部で四十種類。十個ずつA級、B級、C級、D級に分類されており、それぞれ取得に1、2、3、4ポイント消費する。つまり全部取得するには100ポイント必要だが、個人が生涯入手できるポイント上限は35であるため、どれを取得するか厳選する必要がある。またこちらは標準スキルと異なりスキルレベルというものはない。

 

 最後に魔法について。魔法はMPを消費して発動するもので、レベルアップやスキル獲得など諸条件を達成することで獲得できる。こちらにも魔法レベルというものが存在しており、魔法を使用すればするほど練度が溜まり、それが一定に達することでレベルが上がる。例えばわたしが最初から持っていた〈風弾Ⅰ〉は、先ほどの戦闘で練度が一定に達したことで〈風弾Ⅱ〉にレベルアップし、消費MPや威力、弾速などが強化された。

 

 魔法には属性があるものがある。属性は全部で八種類――火、水、雷、土、風、氷、光、闇――で、例えば〈風弾〉は風属性に分類される。また各人や魔物には得意属性と苦手属性が原則あり、これは相手に与えるダメージや被ダメージ、初期魔法に影響を与える。わたしは風属性が得意で氷が苦手らしい。それによってわたしの初期魔法が〈風弾〉だったわけだ。またわたしは氷属性が苦手なので氷魔法で受けるダメージが通常よりも増加する。

 

 これで知りたいことは大方知れた。あとは装備を買いそろえよう。

お読みいただきありがとうございます。


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