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6話 【親友】

私は授業が終わり困惑していた。明日の夜、あの星座契約者である教授と戦うことになったからだ。わたしは昨夜戦っていたために、彼の実力は知っている。勇者にも引けを取らないあの優れた剣技。素早い判断と動体視力。そして正確で短い術式。


「勝てる気しないな…」


 そんなことを思っていた。しかしクラスメイトたちはそのことを反対言っているのだ。ぼこぼこにしようと意気込んでいるもの、イライラしてやる気満々なもの、好奇心とやる気で満ち溢れているもの、恐怖心と緊張でいっぱいなもの、各々がいろいろな感情を抱いてる。それもそのはずだ。


誰も彼の実力を知らないのだから。わかっている情報は星座契約者、そのひとつだけ。それでも具体的な手の内は明かしていないのだ。


「あれ、俺一つ考えたんだけれどもみんなでかかれば余裕じゃね?」


「確かに。みんなで襲って、ボコボコにしようぜ!」


「お前天才だわ、いくら星座契約者と言っても数の暴力には勝てないだろうし。」


 クラスメイトたちは意気揚々に言っていた。

(ボコボコにするのは彼だけれどもね)

 わたしはそんなことを心の中で呟いた。


「ありあ?ありあ?」

「あぁあどうしたの?」

「アリア大丈夫?」

「平気平気」


 わたしは考え物をしてたためにクラスメイトの声に気が付かなかった。


「アリアっちが考え事なんて珍しいね」

「そお?」

「うん。それに今日からずっと落ち込んでるよね。昨日はいつも通りだったのに」

「気のせいだよ」

「いやー絶対ない!。昨日は教授に対してあんな煽りをしてたのに」


 私は昨日の出来事を思い出した。その途端段々とはずかしくなってき、不思議と体温が上がってくる。本当に失礼なことをしたと同時に自分の未熟さを恨んでしまう。私は恥ずかしくなり教室を飛び出した。そして学園の外にあるベンチで顔を隠している。



 (明日は、生きて帰れるかなあ)


と、いろいろ考えていた。そんな時コツコツと誰かが近づいてくる足音が聞こえてくる。そしてその人物は私の隣に腰かけた。


「アリアさんに返すものがあるの忘れてたよ。はいこれ」


 近づいてきたのはアリエス教授だった。どうやら教授は4日前に私が落としていった、防御術式のプリントをわざわざ返してくれたのだ。なくしたかと思っていたが教授が持っていたので私は胸をなでおろした。


「長い間寝る暇も惜しんで研究してたんだとわかる術式だよ。けれどももう少し効率的にできるから解説を渡しておくよ」


 そういい教授は親切にも解説がかかれたプリントを私にくれた。ひとまず私はそれに目を通した。が、何が書いてあるかさっぱりわからない。教授の教えるのが下手なのか、それとも私の頭が悪いのかのどちらかだ。


「ちょっと何書いてあるか分かりません…」


私は素直に分からないと教授に伝えた。


「分からない?!そっか分かりにくかったか。」

教授は少し落ち込んだように考え込んでしまった。私は少し申し訳なく思えてきたので自分で頑張ってみることにした。が、教授はとあることを口にした。


「実は人に教えるのはこれが初めてどう教えていいのかまだ分からないんだよ。」


 そう教授はいった。どうやら教授は表面上では堂々としていたが裏ではとても不安になっていたようだ。そんな教授の一面を考えてみると少し可愛く思えてきた。私は少しクスッと笑ってから笑顔で


「初めてはそんなものですよ。不安と緊張、それを克服してこそ1人前ってものです。」


教授はその言葉に響いたのか私をずっと見つめていた。


「私もまだ未熟者ってところですな。ひとまず分かにくかったのでアリアさんの目の前でこの防御術式を唱えてみますね。」


 そういい教授は術式を空中に書き始めた。とても美しい術式で見ほれてしまう。丁寧で正確で繊細、そしてマナ配分も文句ない。全てが洗礼されてるそんな術式だ。


(これが…星座契約者の力…)

「Perfect defense(完璧防御)」


 そう唱えた瞬間、黄色いガラスのような球体が教授の周りを囲った。完璧な防御術式だ。言葉に表すことが出来ないくらい凄い。


「さすが…アリエス教授です」

「へへ、ありがとうございます」


 教授は照れた顔でそういった。そして続けて

「俺はアリアさんに一番期待してる。明日を楽しみにしているよ。それじゃ健闘を祈る」


 そういい教授は術式を解除しながら去っていった。本当に何を考えているか分からない人だ。

「あれ……どうやれば出来るかまだ分からない」




 

そして私は再び教室に戻り、クラスメイトが何をしているか気になった。居室に入った瞬間、とある子が泣きついてきた。


「アリアっち!急にどこかに行くからびっくりしたよ。」

「ごめん、ごめん」


 泣きついできたのは親友レクス・ヒマリアだ。私は彼女の背中をさすりながら謝った。


「て?なんで急にどっかいったの?」

「ちょっとお腹が痛く〜」


私ははぐらかすようにそういった。が、そんな言い訳も虚しく、通じるわけなかった。


「そんな嘘はいいから本当のことを教えて」

やはり親友と言ったところか完璧に嘘は見抜いてくる。私は親友に包み隠さず、昨夜のことを伝えた。


「なるほどね〜まさかプライドの高いアリアっちが負けを認めたなんて。それで昨日やった事が恥ずかしすぎて教室を出ていったのか」


 先程まで泣いていたはずなのに気がついたらニヤニヤししている。私は恥ずかしさのあまり、再び顔を隠すしか無かった。思い出しただけでもとんでもなく恥ずかしい。


「かの天才もこんな一面もあるなんて。これは使えるぞ〜」


 ニヤニヤし続ける彼女に段々と腹が立ってきた。確実にからかっている証だ。私は怒った顔で言った。


「いい加減にしなさいよ!からかわないでちょうだい!」

「えーだってー」


口答えする彼女に、私は脅しの意味も込めて彼女に5センチくらいの火の玉を見せてつけてこういった。


「これを受けたいかしら?」

 

彼女はそれを見た瞬間恐怖してか、焦った顔で首を横に振り続けた。


「いいです、いいです、遠慮しときまーす!」


 そう言って彼女は逃げ出した。私はムカついた代償を払わせるために逃げる背中を追いかけるのだった。

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