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世界 - 2 -


 リビングへの扉を開ける。

 あっ…おかえり。私より遅いんだね。

 そうかな…早い方じゃないか。

 時計に目を向けると23時を回っていた。

 お前こそ、帰ってくるのが早くないか。

 もしかして、晩御飯食べてないのか?

 それなら…ポトフでも作ろうか。

 余れば、朝のスープにするから。

 心配しないでいいわよ。

 ここでは食べれない物を

 ご馳走になってきたから。

 ふ~ん。それなら、それで帰宅が早くないか?

 ご馳走して大人しく帰すか…

 お前が、好みの人物像と違ったのかもね。

 あんたと違って、紳士な人だっているんだから。

 そんな紳士がいるなら見てみたいものだね。

 あんた…既に会ってるんでしよう。

 麗の言葉に首を傾げるテン。

 今朝の件…ちゃんと覚えてるわよね。

 今朝……護衛の件かな。

 その件だけど、正式にやる事になったから

 お店…考えて置きなさいよ。

 そうなんだ。とりあえず…おめでとう。

 と言う事は、あの()に会ったんだな。

 あの()って…大統領の事よね?

 あんたが言う程、悪い人には見えなかったけど。

 お前…何を言ってるんだ。

 俺が聞いてるのは、秘書の方だぞ。

 秘書って…女性の人よね。

 そう言う事なら…いいや、忘れて。

 そんな言い方されたら気になるじゃない。

 私が解る様に話しなさいよ。

 知りたいなら姉さんに聞きなよ。

 曖昧な態度を取るテンに

 そう言えば今日、母屋に誰か来てるみたいね。

 そうみたいだね。あれ…便利だろう。

 そうね。流石は、ジンだわ。

 ……ちなみに、内と向かいのマンションも

 同じことが出来るって教えたっけ?

 えっ。教えてもらった気がする様な…

 確認ついでに言っておくと

 マンションはエントランスに釦があって

 内には、玄関と台所に

 釦があるのは知ってるよな。

 あれよね…一つだけ蓋がしてあるやつ。

 気になってはいたけど

 そう言う理由だったのね。

 だから、連れ込む際は忘れずに釦押してくれ。

 帰って来て鉢合わせなんて勘弁だからな。

 お前が、そういう趣味なら話しは別だが…

 別に、連絡入れたら済む話じゃない。

 そうかも知れないが…文字(・・)で確認するより

 目視(・・)で直接確認した方が確実だろう。

 それも、釦を押し忘れたり酔って

 意味を理解出来なければ無意味だけどな。

 さて、俺は風呂に入るから部屋に戻るなら

 いつも通りライトだけ付けて戻ってくれ。

 わかってるから早く風呂に行きなさいよ。

 手を内から外に払う仕草を見せる。

 その態度に何も言わずお風呂に向かう。

 お風呂から出でると、水分補給をする為

 冷蔵庫を開ける。

 そして、飲み物をコップに注ぐ。

 辺りは複数のスタンドライトの

 明かりだけが灯りしんとしていた。

 そして、飲み終わったコップを置くと

 俺は…部屋に戻るなら、とお願いしたのに

 部屋に行った様に見せ掛けて何をしてるんだ?

 そう話す言葉が、しんとした部屋に響き渡る。

 気付かないと思ったのに…

 テンしかないと思われた部屋から

 返事が返ってくる。

 電気…付けていいのか?

 もう少しだけ、このままで居させて。

 悩み事なら部屋でしろよ。

 もし、聞いて欲しいなら話…聞くけど


 なら……あんたにとっての " 世界 " って何?

 

 随分と唐突な事を聞くんだな。

 その割には余り驚かないのね。

 まあね。大統領(あいつ)に会ったなら

 聞かれても可笑しくないからな。

 で、聞かれたお前は答えられず帰って来て

 考えが出ないまま俺に聞いてる訳か。

 そうね…。あんたが、どう答えるか

 単純に知りたいって興味本位でもあるけど。

 ちなみに、答える前に(おまえ)

  " 世界 " をどう認識してるんだ。

 認識って…それは、言葉通りに広いもの。

 言い表せる訳がないじゃない。

 なるほど…じゃあ、答えが出なくて当然だ。

 端的に言えば、これは " 言葉遊び " だよ。

 " 言葉遊び " で使う言葉ではないと思うけど

 だからこそ敢えて、この言葉を使ってるんだ。

 全く意味が解らないわ。まるで、あんたを

 相手にしてるみたいな事をするのね。

 大統領(あいつ)が聞きたいのは

 (おまえ)にとっての " 世界 " とは

 何を ─── とするか聞いている。

 " 言葉遊び " にしては壮大に感じるけど

 強ち的を射てるから間違いと言い難い。

 意味は解ったけど…結局、私の質問に

 答えてないじゃない。答える気がないなら…


 俺にとっての " 世界 " は…(おまえ)でもあるよ。


 突然、何を言ってるの。私があんたの

  " 世界 " なんて…ふざけるのも大概にして。

 聞かなければ良かった…もう部屋に行くから。

 不貞腐れながら立ち上がると部屋に戻る麗に

  " おやすみ " と声を掛けるが返事が返って

 来る事はなかった。

 麗が、部屋の扉を閉めた音を確認すると

 自分の部屋に向かって行き扉を開ける。

 だが、少し開いた所で扉が開かなくなる。

 お前は、いつからここに居るんだ。

 あんたが、お風呂から出てきた辺りかな。

 なるほど。とりあえず部屋に居れてくれるか。

 その言葉に、場所を移動すると

 入れるくらいの隙間が出来て部屋に入る。

 ワインセラーで寝るのかと思ってたけど…

 部屋の机の椅子に座り話し掛ける。

 そうね。彼処なら貴重な品も

 飲み放題だから困る事はないけど…

 話しの途中で持って来たワインをがぶ飲みすると

 あんたのお姉ちゃん…どうなってる訳

 どうって…()らと同じ酒豪だよ。

 やっぱり…いくら高いワイン開けても

 怒りもせず、嬉しそうな顔して一緒に

 飲んでるから可笑しいと思ってたのよ。

 だって…姉さんが一人で同じ事してたら

 開けたワインの金額分…請求されるから

 ここぞとばかりに良いワインが飲めるなら

 酒豪としては役得だろう。

 でも、なんで逃げて来た訳。

  飲み相手が居て悪くないと思うけど。

 皮肉を言うテンに、気がかりな様子で

 いつの間にか、あんたもジンもいない空間で

 いくら飲んでも酔えない感覚を

 知らないから言えるのよ。

 そして、側には私の気を知りもしない酒豪が

 次々と良いお酒を開ける様に進めてくるし。

 随分と複雑な心境だったんだな。

 きっと、お前がそうなるのを見越して

 敢えて二人きりにしたんだろうな。

 かなり陰湿なやり方だが効果覿面だな。

 でも、姉さんは…どうしてるんだ。

 知らないわよ。きっと、姿が見つからないから

 渋々寝床に就いたんじゃない。

 そんな言葉とは裏腹に

 残念。お前が居る事…バレてるわ。

 下で飲み直そうだって…どうする。

 そう話すと携帯に来ている内容を見せる。

 あんたも一緒ならいいけど…付き合ってくれる?

 解ったよ。最後まで付き合うから下に行こう。

 すると、二人は立ち上がり下に向かう。



   只今、戻りました…大統領。


 ご苦労だったね。無事に終わったら何よりだ。

 お酒を片手に持ち、姿に目を向けず答える。

 私の留守の間に色々あった様ですね。

 あぁ…貴重な体験だったから君にも

 是非とも体験して欲しかったよ。

 それはそうと、彼女から聞きましたよ。

 何をだね…私は、君の悪口など

 言ってはいないの筈だが。

 あの件ですが…彼女には言わない約束では。

 あれか。あれは…確認ついでについね。

 では、確認して安心出来ましたか。

 どうだろう…このまま隠し通せると思うかね。

 彼女が、今のまま多忙であれば問題ないかと。

 なるほど。それは、今まで通り自由に振る舞えと

 言っていると受け取っていいのかな。

 限度と言うものを弁えてもらえれば。

 少なからず、気に留めておこう。

 引き継ぎもそうだが…

 こんなに時間を掛けたのだから

 爆破未遂の件は何か掴めたかね。

 残念ながら主犯の事は何も解っていません。

 ですが、この国の警察より先に実行犯を

 確保出来たので今後の外交に支障はないかと。

 主犯は…あいつが接触して見逃したんだろう。

 それを踏まえて、今回のサプライズを考え

 探りを入れて来たって所だろうな。

 あいつには、私から言って聞かせて置きます。

 そんなに気を張らなくていいさ。

 明日は、久しぶりに娘に会えるのだから

 仕事の事は忘れて息抜きをして来てくれ。

 私からは以上だが、君も報告が

 終わったなら下がっていいよ。

 その言葉に、感謝の意を伝えて退出する。

 居なくなった事が確認すると


 私も、サプライズをするかな


 そう呟くと、携帯を手に取る。



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