箱を開けてみたら中に小さな箱が入っていた件について
俺はベッドに仰向けで手を頭の後ろに組みながら寝転び、自室の天井をみつめる。
結論からいうと、この部屋の外には出られなかったのだ。
ドアノブ自体は回るものの、開けようとすると自室に戻って来てしまっている状態になってしまうのだ。
深いため息をつきながら仕方なく調べてみた俺の部屋の内装を頭に思い描く。
6畳程度の広さの床は木で出来ていて、壁も天井もおそらく木。
窓はなく、外には出られないドアがついている。
茶色いテーブルに茶色い椅子に、寝台は俺の膝上程度の高さで、白いシーツか被さっていた。
寝台の上には白いふかふかの布団、白く柔らかい枕が置いてある。
そして寝台の下に置いてあった謎の箱。
長方形の形をした箱の蓋をあけると、更に12個の小さい正方形の箱が詰められていて、うち1つは蓋がない状態で空になっていた。
他の箱を取り出して開けようとしてみたのだがびくともせず、開けることが出来なかった。
とりあえずこれが何かわからないのと、入手したコインをテーブルの上に置いておくのもなんだか落ち着かないので、空になっていた箱の中に詰めてある。と言ってもまだ7枚しかないのだが。
物思いに耽っていていると、またドアが激しくノックされる音が聞こえてきた。
はあ、と思わずため息がもれる。
「またか……」
部屋の中を色々と物色している最中に3度襲撃にあっていた俺はやや辟易としていた。
正直、実質一撃でスライムが侵略者達を消し去るから別に何かあるというわけでもないのだが、作業を中断せざるを得ないのが少し面倒なのである。
先程まで俺の近くでヒトの形ではなく楕円形になっていたスライムが大きく飛び跳ねて、寝転がっている俺の胸のあたりに着地した。
「マスター!」
「あー、はいはい、侵略者ね……」
よっこらせ、とおっさんくさい声を出しながら起き上がり、ベットから降りようとするとキョトンとした顔のスライムがこんなことを口にしたのだ。
「へ? いえ、違います。 客人です!」
想定外の言葉に思考が一時的に止まる。
「え?」
きゃ、客人?そんなのゲームにはいなかったぞ?