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予行練習を始めた件について




 あの勇者のタマゴ達襲来イベント発生をきっかけに俺は考えを改めた。


 モブと言っても過言ではない、あいつら侵略者達が来たときもただただ傍観しているのではなく、スライムと新しく仲間になったガーゴイルと共に戦う姿勢を見せるようになったのだ。


 ──あんな無様な姿はもう見せられない。


 普段してもいないことを人は咄嗟には行動できないのだと痛いほど思い知ったのだ。


 いくらゲームの中では出来ていたとはいえ、これはゲームではなくリアル。


 液晶画面越しにコマンドを操作するのとは違うのだ。



「ステータス」



 俺の名前の隣には73の文字。


勇者のタマゴ達が襲撃してくるまでのカウントダウンが迫り始めている。



「今日も始めるか」



 侵略者達が来ない間は、机に向かって黄色い表紙の本──次から図鑑と呼称しよう──を熟読するようになった。


 そして、定期的に向こうの世界でゲームをプレイしていた頃を思い出しては、また出現していない敵を思い出したりしている。


 出現する敵を全員覚えているわけではないのだが、記憶にある敵の特徴だけでも定期的に思い起こす事で、そいつと遭遇しても慌てず行動できるようにしているのだ。



「あと遭遇してない敵と言えば、ワープしてくるやつと……あ、ガーゴイルの持ってるスキルと似たようなのを使うやつがいたな」


 何度も何度も読み返しているガーゴイルのステータスを頭に思い起こす。




──────────────────────────




HP 5000000/5000000

MP 1500/1500

スキル 咆哮(ほうこう)

咆哮 響き渡る大声で叫び声を上げる、その場にいる者達を5秒間怯ませる。


攻撃力 150

防御力 750

俊敏性 50

特性 防御力に長けている。動きは遅く、攻撃力は平均的。





──────────────────────────




 新しく仲間になったガーゴイルはかなり防御力に長けていて、スキルの効果もあり、かなり鉄壁の守りを見せてくれていた。


 彼の見た目は想像通りの石像姿で、怪物のような見た目は猿と鳥を2で割って悪魔の顔を足した感じのなんとも言えない見た目ではある。


 瞳はスライム同様赤く、まん丸い。


 背には蝙蝠のような翼が生えていて、あまり身体は大きくはなく、猿のような背格好。


 それが人型になると、かなりの美青年になるのだ。


 まん丸い目が切れ長の目に変わり、スラッとした手足に背が高く、猿と鳥の要素がかなり薄れる。


 髪はブロンドのストレートで、腰まであるロングヘアーだ。


 悔しいがかなりイケている。


 この前の戦闘でも、侵略者の一人である女が、人型のガーゴイルをみて惚けていたぐらいだ。



「はあ……」

「マスター」



 思わずため息をついた俺を心配したのだろうか、椅子に腰掛けていた俺の膝の上にスライムが飛び乗り、心配そうに俺の顔をのぞき込んでいる。



「どうしましたか? 元気が無い様に見えます」



 そう問われ、俺はなんと返事をしようか思案する。



「……そんなことないよ」



 上手い言葉が見つからず、ありきたりな返事を返すと、少し不服そうにスライムが頬を膨らませる。


 そんなスライムが不意に顔を扉の方に向けると同時に、扉の前で胡座をかいて下を向いていたガーゴイルも顔を上げる。



「主人」

「マスター」

「侵略者だ」

「侵略者です」



 2人の声を聞いて、俺も立ち上がる。



「よし」



 手元には図鑑もあるし、ポーションもある。



「さあこい!」



 テンプレと化した、ドアを叩く音、乗り込んでくる侵略者達。


 扉の前にたちはたがるガーゴイルがスキル、咆哮を発動し、スタンしている侵略者達をスライムが包み込む。


 消える侵略者達、代わりに残るコイン。



「ほんと、完璧な流れだな」



 侵略者達を倒し、スライムがガーゴイルにハイタッチを求めて、それにガーゴイルも渋々応える。


 完成された──と言っても過言ではないであろうルーティーン。


 仲間を……いや、ガーゴイルを召喚出来て良かったと、目の前の光景をみる度に俺は思うのだ。


 スライムだけならここまでスムーズにも行かなかっただろうし。



「正直、ガーゴイルは素早さは遅いからな。 似たようなスキルを敵に先にされると苦戦しそうだ」



 というか、いざそうなったときの事は俺はどうやって自衛したらいいんだ?



「……護身術習っておいたら良かった」



 この世界の敵に護身術が通用するかは微妙過ぎるが。




 

 

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