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懐かしい匂い

「もう大丈夫。帰ろう。」


 ロードを抱えて洞窟の外を目指した。他の生体反応は既に消えている。殺したわけではなく、ウィルによってアレクシアが倒した敵の反応を操作したのだろう。段々とヘリコプターが近づく音が大きくなっていく。軍は既に到着しているらしい。と言ってもこちらで仕事は終わっているため、護送の為に来てくれたようだ。彼らにロードも引き渡し、アレクシアと合流した後、クローラの義体を抜けた。


「おかえり。良かったな。」


「あぁ。これで、全てが一安心だ。」


ふう、と大きな息をつくと後ろからアレクシアに背中をドンと押される。


「何ため息ついてんのよ。やっと助けられたのに。ロードくんはこの前カイが入ってた病院に入院させるって。」


「色々検査もあるし、しばらくは面会遮絶だし、そもそも彼は書類上死人だからな。」


「そうだった……。そういうのってどうなるのか?」


「いくつか方法はある。過去のことを全て捨てて新しい名前で新しい人生を歩むか、全てを受け入れてこれも一つの人生としてありのままを生きるか、どっちかだろうな。まあこれは本人が決めることだ。」


 ロードが何を選ぶのか、彼にまた会って話がしたいがそれはしばらくかなわない。それでも彼を助けることは出来た。この仕事を自ら選び、目標も達成することが出来た。なら、後はどうにでもなるだろう。



 やがてロードはまだどうするかを決める前にカイアン・リルムとの面会を希望した。俺は立場もあり、クローラの事や現在の所属を全て伏せた状態での面会を許可された。


 彼の病室に入ると、まるで学生時代のあの日々のままのロードが大きく手を振っていた。


「カイアン!久しぶりだな!!」


「よぉ、久しぶり。」


 何事もなかったかのような屈託のない笑顔が逆に不安になるが、それを超えてくるようなものだった。


「ある程度話は聞いてるよ。酷い目に遭ったらしいな。」


「そうなんだよ。びっくりしたぜ、本当にこんなこと起こるんだな。」


 彼は自分の身に何が起こったのか何もかも話してくれた。だが惨い仕打ちを受けていたことはあまり話しはしなかった。あの時ウィルが言ったように彼の目ももう正常に機能しているらしい。


「そういえばさ、あの場所から救出されたとき、お前が居たのかと思ったんだよ。まさかそんなわけないのにな。」


「なんだ、そんなに俺に会いたかったのか?」


「そうだったのかもな。声がお前にそっくりだったんだよ。でもちょっと見えた姿は別人だったからさ。恥ずかしくて恥ずかしくて!!何話したか覚えてないけど恥ずかし過ぎるって。」


 ロードは毛布で顔を埋めて悶えて見せる。その話は少し寂しいと感じたか、それでいいのだ。その後も時間を忘れる程話し、面会の時間はすぐに終わってしまった。

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