仲間たち
なんとか視線を扉の方へと向けると、やはり人の叫び声が聞こえる。だんだんとその声が近くなってくると、大きく扉が開いた。見知らぬ女性……、いや、あの目はアレクシアか。助けがきたらしい。アレクシアに何か声を掛けられたが、ここで記憶が止まっていた。
「……イ……カイ!?」
突然目を覚ますと、すぐ近くにアレクシアの顔があった。
「うわっ……。アレクシア……。」
すぐ横にウィルとラインもいる。ラインは祖国にいるはずだった。アレクシアとウィルは眉をひそめて暗い顔をしている。身体を起こそうとさるとアレクシアが飛び込んできてまたベッドに倒されてしまった。その衝撃で全身が再び痛んだ。
「意識が戻って良かった。心配したんだぞ。まあそれだけじゃ済まなそうだけど……。ここはヤースラ政府の管理する病院だ。もう安心して良い。……皆すまない。こんなに危険な任務のはずでは無かったんだ。」
あぁそうだった。なんとか意識があるうちの記憶が蘇る。アレクシアに助けられたことはなんとなく分かっていた。
「ありがとう、アレクシア、ウィル。助けてくれて。ラインさんも、わざわざすみません。それで、今どんな状況で……?」
「悲報と朗報が1つずつ。どっちから聞きたい?」
はっきり言ってどっちでもいいが、ラインは楽しそうに聞いてくる。
「じゃあ悲報で。」
「楽しみは後にとっておくタイプか。悲報としては、我々がこの国で活動していたことが組織の方にまでもうバレたこと。」
「朗報は?」
「君への拉致監禁暴行傷害の主犯で、ターゲットだった男を公式に逮捕できる。これで奴らがどうでるかといったところが今後の焦点だ。おそらくしばらく大きな動きは控えるだろう。その間に情報を集めて徹底的に叩く。それと、本当に助かったよ。君が何も話さないでくれたこと。苦しかっただろうに、よく耐えてくれた。本当に、心から感謝してる。お前は、我が国の誇りだ。」
そう言ってラインは俺の肩に手をポンと当てた。彼の優しい微笑みは、人を安心させる力があるのだろうか。なんだかとても気が抜け、また目が回ってきた。
「さ、俺は先に帰る。ウィルとアレクシアはカイアンについててやってくれ。カイアンが退院したら帰ってこい。」
「は~い!」
アレクシアがラインに大きく手を振って彼と分かれた。
「カイ、目覚めたの確認できて良かった。しばらくゆっくり休んでくれ。アレクシアがいたらうるさいだろ?とりあえず寝てろよ。」
「あぁ、そうする。もう眠くて……。」
本当にもう眠くて眠くて仕方なかった。それでも普段明るくて誰よりも優しいウィルが悲しいような、苦しいような顔をしていたことに気づいてしまった。




