きっかけは唐突に
アクセスありがとうございます。
またここから新しい物語を始めます。また出来る限り毎日投稿をしようと思いますので、よろしくお願いいします!
もし自分に特別な力があったら?子供の頃はよく考えていた。でも実際は、70億人いる普通の人間の中の1人でしかない。だけどもし、今からでも人生を変えられるとしたらどうする。
俺の一日は朝起きて、会社に行って、仕事をして、上司の愚痴を聞いて、家に帰って世界情勢がどうとかの暗いニュースを見ながら飯を食って寝るだけの、何の変哲もないただのサラリーマンだ。かつて映画やコミックに登場するスーパーヒーローに憧れた少年は、どこにでもいるおっさんに成り果てた。まあ、一般人の人生なんてこんなものだろう。唯一人と違う人生だったところは両親が幼い頃に交通事故で死んでから妹と二人暮らしだったこと位だ。その妹も最近結婚してついに家族は誰一人としていなくなった。唯一の友人も、最近事故で死んだ。孤独と言えば孤独だが、これもまた自由で悪くない。悲しさや寂しさが無いわけじゃない。友人に関しては今もなんであいつがって思ってる。それでも今の現実や生活が変わるわけじゃない。俺は別にこれでいい。そう自分に言い聞かせながらいつも通り会社帰りに自宅への帰路に着いていた。何も起こらない、そう思っている日ほど変なやつに絡まれるのは世の常というものだ。
「ちょっと話だけでも聞いてよ。別に怪しいやつじゃないって。」
さっきから俺にしつこく付き纏う怪しい男だ。どうせ話を聞いたところで大した話じゃない。宗教勧誘か、マルチかネズミ講かそんなところだろう。最近は情報商材も流行ってるんだっけ?適当に躱しながら歩き続けていると、男はついに諦めたらしくその足を止めた。
「分かった、今日は諦めるよ。これ、僕の名刺ね。またいつか君を誘いに来る。その時までに考えといてよ。カイアン•リルム君。」
男はそう言って半ば強引に名刺を押し付けてきた。仕方なく受け取り、もう一度男のいた方を見るとそこにはもはや影すら無かった。そういえばどうして俺の名前を知っていたんだ。幽霊か何かだったのかと、その後の道は頭の中がうるさくて暇をしなかった。家に帰り、明かりのもとでさっきもらった名刺を詳しく見てみた。
〘国家情報管理局局長 クローラ部部長 ライン•オルタナ〙
「情報管理局?だから俺の名前知ってたわけ?クローラってなんだよ。」
政府という言葉に少し興味を惹かれたが、怪しい男の話は全て右から左に聞き流してしまって思い出せない。最近は政府も信用ならないというのが世論でもある。それに今は仕事帰りで疲れていた。もういいやと名刺を適当にキッチンカウンターに置いたままシャワーを浴びてそのままベッドに潜り込んだ。
部屋中に鳴り響くスマートフォンの何度目かのアラームでやっと目が覚める。まだ寝ていたい気持ちは布団の中へ押し込んで立ち上がった。今日もまた何も変わらない一日が始まるのだ。大きく伸びをして顔を洗いに洗面所へ向かう。
そんな平穏な日常が続いているおかげで、自分の世界は平和そのものだった。やがてキッチンカウンターに置いたままの名刺も埃を被っていた。これからもずっと自分の人生の平和は続いていく。
そう思っていた。
現代から未来の世界を描くのは初めてな上に、まだまだ初心者で拙い文章ですが何卒よろしくお願いいたします。