第十五話 ③
いつもそうしてきたように、カタリーナは私に抱きついてきた。
今まではカタリーナに抱きつかれると心が温かくなったけれど、今は違う。
ゾッとして寒気がする。
まるで全身の血が凍り付いたみたいだ。
「え、ええ」
「またエミリアお姉様とお会いできるなんて夢みたい。お見舞いに行きたかったのに、ずっと予定がいっぱいで身動きがとれなかったのよ。でも、こうしてお会いできるなんて……神様がくれたプレゼントね。嬉しい!」
目の前のカタリーナを見ていると、あの日王城で見た姿が信じられない。
でも、あれは幻なんかじゃない。事実だ。
私はカタリーナから身体を離して、一歩後ろに下がる。
「ええ、そうね」
とんでもないプレゼントよ! 神様がいたら恨むわよ!
「エミリア……」
カタリーナの後ろから、ジャック王子が追いかけてきた。
「……ジャック王子、お久しぶりです」
「ああ、本当に目覚めたんだな」
ジャック王子は、私を上から下まで舐めるように眺めてくる。ちょっと、何ジロジロ見てるのよ!
「随分と綺麗になったな。驚いた」
「ありがとうございます」
綺麗って言われて嬉しくないのは、初めてのことだわ。
「エミリア、僕は……」
するとレオンとハンスお兄様が前に出てきて、私を後ろに隠す。
「ジャック王子、うちの妹はもうあなたの婚約者ではありません。呼び捨てにするのはやめていただきたい」
「昔はあなたの婚約者であっても、今のエミリアは俺の婚約者です。馴れ馴れしく話しかけないでください」
二人の言葉を聞いて、ジャック王子とカタリーナが目を大きく見開いた。
「なっ……こ、婚約? デュランタの王子とエミリアが……っ」
「エミリアお姉様、本当なの!?」
「違……」
「そうだな。違うな。正確には、これから婚約を結ぶからな」
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