第十四話
「エミリア、ちょっといいか?」
お茶会をした日の夜、キッチンで夕食を作っているとレオンがやってきた。
「レオン、どうしたの?」
「さっきは急に抜けてすまなかった」
「ううん、気にしないで。国王様とのお話は大丈夫だった?」
「それなんだが、モラエナが和平交渉を申し出てきた」
「えっ!?」
思わず持っていたりんごから手を離すと、レオンが受け止めてくれる。
毒殺をしかけておいて、モラエナの方から和平交渉を申し出てきた? そんな立場じゃないでしょう! どれだけ面の皮が厚いの!?
「モラエナ国出身の私が言うのもアレだけど、前の和平交渉の場で毒殺をしかけてきたくせに、図々しすぎるわよね。調子に乗っているのじゃないかしら」
「ああ、父上に呼ばれたのは、俺の意思に任せると言われたからなんだ。毒殺されかけた本人だから、俺が嫌なら拒否するから考えろと……」
「当然お断りよね!」
国民には申し訳ないけど、あまりにもモラエナ王家のやり方は許せない。
「いや、受け入れようと思っている」
「ええっ!? どうして?」
「和平交渉に持っていった方が、エミリアとの結婚の話を円滑に進められると思って」
「もう、また、そんなことを言って……ねえ、無事に締結すれば、モラエナにかけた呪いも解くことになるのかしら」
「ああ、そういうことになるな」
結婚の話は置いておくとして、結局は私のためなのよね。私がモラエナ出身だから、きっと気を遣ってくれているのだわ。
レオンは本当に優しい人……。
モラエナ王家のことはともかく、国民たちには何も罪がないもの。和平条約を結んで貰えるのは素直に嬉しい。
「モラエナを許してくれて、ありがとう。レオン」
「悪いのはジャック王子だからな。……あいつ、エミリアの婚約者の座にのうのうと収まっていた上、俺の知らないエミリアの小さい頃からを見てきたなんて……万死に値する」
「ふふ、もう、レオンったら」
私が気にしないように、ふざけてくれているのね。
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