第十二話 ③
「私、自由を奪われるのは嫌……でも、誰かの人生を犠牲にしてまで、自分の希望を叶えるのも嫌なの」
「俺は犠牲になんて……」
「だからね、協力して欲しいの。私、一人で生きていけるように力を付けるわ。でも、モラエナでは強い力で邪魔されて、それは叶わないと思うの。だから、他の国で生きていきたい。私に力が付くまで、レオンの傍に居させて貰えないかしら」
「いや、ずっと傍に居て欲しいのだが」
レオンは冗談交じりに了承してくれた。
「レオン、ありがとう」
これで嫁がされることも、親族の家に送られることもないのね……。
ホッとしたら、足から力が抜けてその場に座り込んでしまう。
「エミリア! 大丈夫か?」
「だ、大丈夫……緊張していたから……あっ」
身体がふわりと浮き上がる。レオンが私を横抱きにしていたのだった。
お姫様抱っこ……!
「レオン、私、自分で歩けるから!」
「気にするな」
気にするわよ……!
レオンにはおばあさまのお屋敷で一泊して貰って、翌日――私はマリーを連れて、レオンと一緒にデュランタの船に乗っていた。
甲板から遠くなっていくモラエナを見ていると、レオンがやってきた。
「エミリア、寒くないか?」
「ええ、大丈夫よ」
「そうか。……今さらだが、本当にご両親に挨拶して行かなくていいのか?」
「ええ、会いたくないの。挨拶しても罵倒されて、嫌な思いをするだけだもの。一応、デュランタから手紙を出すわ」
ハンスお兄様には、また心配をかけてしまうわね……お父様とお母様よりも先に、ハンスお兄様に手紙を書かないとね。
「そうか。嫌な思いはさせたくないし、まあ、俺からの挨拶は、正式に婚約式の日取りが決まってからでも遅くないか」
レオンが何か小さな声で言ったけれど、海の音にかき消されて聞こえなかった。
「ごめんなさい。波の音で聞こえなくて……」
「いや、なんでもない」
昨日まで感じていた息苦しさは、嘘みたいに消えた。
レオンのおかげね。
昨日、レオンに手を握られた時のこと、そして抱き上げられた時のことを、私はなぜか昨日から何度も思い出していた。
変ね……私、どうして何度も思い出してしまうのかしら。
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