第六話 ①
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
張り切りすぎてかなりの量を作ってしまったけれど、レオンは残さず綺麗に食べてくれた。
空っぽになったお皿を見ていると、笑みがこぼれる。
「レオンはどれくらいこの町にいられるの?」
「明日の昼には発つ予定だ」
せっかく再会できたのに、こんなにも早くにお別れなんて寂しいわ……。
「そう……」
あ! そうだわ。
「レオン、今日はどこに泊まるの?」
「まだ決まってないけど、その辺で宿を取ろうと思っているんだ。評判のいいところを知らないか?」
やったわ!
「それなら、私がお世話になっているおばあさまの屋敷はどう?」
「いいのか?」
「ええ、おばあさまは、とても優しい方なの。きっと許してくださるわ」
「……でも、俺はデュランタの人間で、第二王子だぞ?」
「知っているわ」
「そうじゃなくて、一応モラエナにとって敵国の王子で、この国に呪いをかけた元凶みたいなものだ。嫌がるんじゃないか?」
「モラエナに呪いがかけられたのは、レオンのせいじゃなくて、ジャック王子のせいよ。あの人が戦争を起こさなければ、こんなことにはならなかったんだから」
戦争を起こす前は、ジャック王子の評判は良くもなく、悪くもなくって感じだった。国のために手柄を立てたわけでもなく、かといって何かやらかしたこともなかったからね。
でも、戦争を起こしてからというもの、評価は最底辺に落ちた。ジャック王子の悪口を聞かない日はない。
ちなみに私が元婚約者ということも知られていて、最初は私も悪意の対象になるんじゃないかなー……と思っていたのだけれど、ほとんどが好意的というか、正直言うと同情されている。
まあ、そうよね。暴漢に襲われて刺されて寝たきりの間に、婚約者が妹と結婚してるんだもの。
全く悪意を向けられることがないわけじゃない。でも、同情してくれた周りの人たちが止めてくれるので特に被害はない。
「そう思ってくれているのは、エミリアだけじゃないか?」
「そんなことないわ。周りの人たちだって、私と同意見のはずよ」
「じゃあ、泊めて貰いたい。その方がエミリアとも一緒の時間を過ごせるしな」
「! 私もそう思っていたの。だって、せっかく再会できたんだもの。まだ一緒に居たいわ」
するとレオンが顔をそらし、口元に手を当てた。その頬は、なぜか赤い。
「レオン?」
「いや、エミリアがそういう意味で言っているんじゃないってわかってる。わかっているけれど、どうしても顔が緩んで……」
「そういう意味って、どういう意味?」
レオンは何度聞いても、教えてくれなかった。
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