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第四話 ③

レオンの優しさに素直に甘え、私は今までのことを話した。


 ジャック王子の婚約者として必死に頑張ってきたこと、カタリーナと街に出かけた際に暴漢に刺されて三年も眠っていたこと、そのショックで前世を思い出したこと、目覚めたらカタリーナがジャック王子と結婚していたこと、恋愛結婚を夢見ていたカタリーナがさぞ傷付いているだろうと思っていたら、実は次期王妃になりたくて私を刺すように仕向けたこと、カタリーナに嫉妬していると勘違いされて田舎に追いやられたけれど、今の生活がとても好きだということ……。


「お前の妹、サイコパスってやつじゃないか?」


「そう! 絶対サイコパスだと思うわ」


 前世での共通単語を使えることがとても嬉しい。


「とんでもない目に遭っていたな……国は別でも同じ世界に生まれたのに、助けてやれなかったのが悔しい」


「それを言うなら、私もよ。ジャックズに毒殺されそうになるなんて……!」


「ジャックズ? ジャックじゃなかったか?」


「あっ……心の中でそう呼んでたから、ついね。ジャック王子よ。本当にクズよね。デュランタに許されたのが不思議だわ」


 すると、レオンの表情が少し暗くなる。


 嫌なことを思い出させてしまったかしら。



「……エミリアは、あいつと婚約してたんだよな?」



「ええ、そうね」


「あいつに対して、気持ちはなかったのか? なんというか、王子様って感じの見た目だしさ。女受けがよさそうな顔してるだろ?」


「気持ちって……私が、ジャック王子のことを好きだったのかってこと?」


 おぞましすぎて、顔が歪む。


「そういう意味だ……って、すごい顔してるぞ」


「この表情が答えだと思ってくれていいわ。ジャックズは確かにイケメンかもしれないけど、そのイケメンを台無しにするほどのクズなのよ。子供の頃からあいつのせいで何度辛酸を舐めたかわからないわ。ずっと大嫌いで、結婚するのが本当に嫌で堪らなかったのよ」


「そうか、安心した」


 ジャック王子の悪口を聞かされたレオンは、かなり嬉しそうだった。


 どうして安心するのかしら?


 あ、自分を毒殺しようとした相手だものね。友達が好意を持っていたらそれは複雑な気分になるはずだわ。


 もし……万が一、いえ、億が一に好きだったとしても、友達を理不尽に毒殺しようとした人物のことなんて嫌いになるに違いないわ。


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