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みらいひめ  作者: 日野
序章/竹取・石作篇
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一.黄金ある竹を見つくる(10)

 俺と竹本は神社にいた。事故の詳しい発生時刻を聞き忘れたのは失態だった。ともかく学校に直行しないといけない。竹本はやる気満々だが、このお方は体力が無いからなあ。

「さあ、相田さん。行きましょう」

 桜並木に出ると、桜はライトアップ前だった。これから点くのだろうか。片瀬たちに見つからないようにやり過ごしつつ、学校前に着いた。時刻は六時十五分。間に合うか?

「ふう、まだ、車は来ていませんね。良かった」

 竹本は両膝に手をついて肩で息をしていた。福岡は、——あ。

「来た」

 福岡は校舎から飛び出し、走ってこちらに向かっているようだった。どうしてあんなに急いでいるのだろうか。俺は両腕を広げて迎える。

「ストップ、福岡。ちょっと待ってくれ」

「え、相田くんと美月ちゃん? ごめん用事あるの!」

 んなっ。福岡は足を止めずに、俺と竹本の間をラグビーのフォワードのごとくすり抜けていった。今出て行ったら、危ないんじゃあ。福岡は坂を下って行く。俺が追い付く間も無かった。見たことのある軽自動車が通過して行く。

 バン! と嫌な打撃音がした。恐らく福岡の事故が防げなかったのだろう。

「相田さん!」

 竹本は青ざめている。動転してしまうのも無理はない。このまますぐ時間を「遡って」やり直してもいいけど、原因を突き止められないと次も対策できないかもしれない。

「竹本さん、学校から助けを呼んでもらえる? もうちょっと様子を見たい」

「しょ、承知しました」

 竹本が校舎の方へ向かおうとする。すると冨田が現れた。

「おーい。何か起きたのか? 何か大きな音がした気がするけど」

 その後のことだ。俺は冨田や学校のやつらと救護をして、救急車が来るまで待った。福岡は足を負傷していて、とても自力で歩けそうになかった。運転手は事故の衝撃で気絶していたし。そして救急車を見送り、俺は福岡の荷物を手にしていた。

「まさか、岡ちゃんがなあ。物騒だ」

 冨田はすっかり暗い校舎前で不機嫌そうだった。今回は俺が守れたかもしれない。俺も今回は結構ショックだ。それは竹本も同じみたいだ。

「うーん。今度こそ」

 声に漏れちゃってるぞ。まあバレたところで、リセットしてしまえばいい。時間を「遡る」っていうチート能力がこっちにはあるんだからな。

「そういや、アイ。お前なんで通報できなかったんだ?」

 冨田に訊かれた。俺は119番通報できずに冨田に頼んだのだった。俺はスマホの画面を見せる。真っ黒だ。

「充電が切れてんだよ。もう使えねえ」

「ったく、俺がいなかったらどうするつもりだったんだよ。あ、竹本ちゃんがいたんだっけ」

 竹本は冨田にニコリと微笑んだ。

「そうだ! まだ竹本ちゃんの連絡先知らないや。連絡できた方がいいよな、アイがこういう状況もあり得るし」

 なんだコイツ。ずいぶん執念深いじゃないか。竹本は苦笑いしながら再びスマホを見せっこして交換していた。何回見せられるんだ、この屈辱。

「あの、竹本さん。また『遡れる』?」

「ええ、次は必ずや成功させましょう」

 ——瞬き。

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