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みらいひめ  作者: 日野
三章/阿部篇 Who done it?
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十四.かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣(9)

 俺は保健室を出て(もちろん美月にはきちんと伝えているし、GPS情報も伊部に提供済みだ)、ルリと一緒に外に出た。綿あめやたい焼きを買い、景品の玩具手錠を獲って、それをルリに与えた。


 大喜びのルリを連れて、休憩室となっている食堂に向かった。食堂は一階にある。高所は怖いから一階にしか行かなかった。ちなみに俺の服装はタイ無しの制服。ネクタイとピン、その他の持ち物はリュックにしまってある。危険だし。


「シュータくんとデートじゃん。楽しいね」

「どうでもいいからさ、話を進めるんじゃなかったのか」


 ルリは綿あめをちぎって舐めてを繰り返している。


「そうねー、何か思い付く?」


 そんな適当な話があるか。俺はたい焼きの頭を噛みちぎる。


「状況を整理しましょうよ。謎は三つあります。フーダニット、ハウダニット、ホワイダニット。誰が、どのように、なぜ事件を起こしたのかです」

 ルリは俺のスマホで綿あめと自撮りしていた。


「まず、朝に俺が死にかけたときはどういう技を使ったと思う?」


 ルリは俺の真顔を撮った。勝手にカメラを使うな。


「ルリにもわからないんですよ。未来の技術でも感知できない何かで、シュータくんを操ったり締め上げたりしていました」


 感知できない何か? それって超高度な科学技術じゃないよな。


「違いますね。どんなに高度で真似できなくても、観測は可能なはずです。私たちの科学力を舐めてもらっちゃ困ります。それに、イベくんがそちらにはいるんでしょ? 彼でもわからないなら、それは本当に未知の能力ですよ」


 それって、ただ科学の進歩が遅くて観測できないだけじゃないのか?


「仮にそうだとしましょう。だとしたら、それは無いのと同じです。観測できず、存在を証明できないお化けは、科学ではいないのと同じです。例えば、ここに魔力が存在しますとルリが言っても、シュータくんには見えないし、重力や質量も観測できませんし、理論上存在を証明できません。干渉すらしてきません。ならば、それを存在するとは言えません。


 でも、絶対無いとも言えませんよね。これから観測できる機器が発明される可能性がありますから。昔は、DNAやウイルス、ブラックホールは観測できないために存在が確定されていませんでした。ですが、観測機械が進歩したことで、存在をはっきり確定できたんです。昔はDNAもウイルスもブラックホールも無いと思われていた。無かったのと同じです」


 つまり、今回俺を殺めようとした力は、未来の科学では存在を証明できない、お化けのようなものというわけか。


「そうですね。ネクタイを媒介にしているところを見ると、『魔法』あるいは『呪い』という言葉がふさわしそうですね」


 今度はそう来たか。「呪い」の方が悪の力という感じがするし、「呪い」と呼ぶことにしよう。だが、呪いとなれば何でもアリだな。


「まさにその通り。呪いの法則やルールがあるなら別ですが、非常に性質が悪いように思います。マッチで火が出るのは、摩擦熱で火薬に着火するからです。ですが、炎の魔法がなぜ炎を出せるかと言えば、『そういうものだから』です。炎の魔力が上手いことやって炎を出してくれますっていう荒唐無稽な答えなんです。物理法則に則った方法があるわけじゃない。原因と過程を悉く無視して、結果を出す。これじゃ手に負えません」


 ルリも案外スマートな話もできるんだな。


「どうやったか、はそれほど重要じゃない?」


「うーん。ネクタイに呪いをかけて起動させることに関して、方法は重要ではないと思います。でも、シュータくんからネクタイを盗み、それを机に返却したこと。そっち方法はきっと突き止められるんじゃないですか?」


 ネクタイは人間的な手段で盗んだ可能性がある。もちろんネクタイの箱に足を生やしたというなら話は別だがね。どうやってネクタイを盗んだのか。そこは追究の余地がありそうってことか。


「続いては誰がやったかです。ここが大事なんじゃないかな。これがわかれば、なぜやったか、犯行動機も明らかになるかもしれません」


「まあな。でもさ、誰がやったかなんてわかるのか? 犯人は誰でもあり得るだろ」


「いいえ。シュータくんは感覚がマヒしてるでしょ。呪いを操る人間、つまり超能力者です。超能力者は何人もいません」


 ああ、そうだね。超能力者がいるということは普通じゃない。犯人は一人だろう。


「相手は絞りやすいじゃないですか」

 確かに相手は特殊だが、そんなヤツに心当りは無いな。


「だから、ネクタイをどう盗んで返したか、そこから突破口を開くんです! 容疑者を見つけて、その中から超能力者を炙り出します」


 そんな簡単に言うけどさ。俺とノエルはもう盗まれたときに推理を交わしている。


「それは文化祭一日目の時点でしょ。それから一日経ったんだから、頑張ってくださいよ」


 ルリに怒られた。俺はこれ以上頑張ったら倒れてしまいそうだ。なのに他のヤツらは丸投げだし、やってられん。


「ルリも協力できることはしますー」


 命を狙われているわけだしな。今回も事件解決に向けて頑張るか。

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