表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みらいひめ  作者: 日野
三章/阿部篇 Who done it?
196/738

十二.音には聞けども、いまだ見ぬ物なり(17)

「遅かったじゃない。大丈夫?」

 ミヨ母が心配してきた。言わずもがな、ミヨの涙は乾ききっている。


「あ、全然平気よ。むしろ超元気」


 ミヨはさっき俺が座ってた方の席に座った。俺はミヨの席へ。


「本当だ。いつもの実代だね」

 ミヨ父もほっとしている。


「さっきはどうしたの?」


 母がミヨに訊く。ミヨはニコっとして、


「会えたのが嬉しくって我慢できなくなっただけよ。向こうに行ったのは、シュータが二人に言いたいことがあるから、言ってもいいかなって訊いてきたのよ。ね?」


 ね? じゃねえ。何の話だよ。ミヨの無茶ぶりか。


「何でも言って欲しいな」

 父が俺に優しく訊いてきた。ちょっと待ってください。今考えますから。


「ええっと……。実代さんのことで話したいことがあって。さっき、実代さんが寂しくしているんじゃないかって心配されてましたけど、僕は心配ないと思います。実代さんは、勉強ができますし、運動神経はいいですし、部活動もやって行動力もありますし、元気で明るくて人気者です。


 確かに暴走気味になることもありますけど、そういうところも含めて、皆から好かれています。実代さんは友達が多くて寂しい思いはしていないと思います。


 でも、お父さんやお母さんの話はよく聞くので、二人のことが大好きなんだってこともわかります。だから、今日会えることだって楽しみにしていました。そのことは、僕の口から言わないといけないかなと思って……」


 うわあ、めっちゃ恥ずかしいこと言った。しかも本人の目の前で。ミヨを見ると、顔が真っ赤だった。俺に何か言えって言ったのはお前なんだぞ。


「良かったね。ミヨのことちゃんと見てくれてる人で」

 母はミヨに笑いかける。ミヨも反撃(?)してきた。


「シュータっていい人でしょ? 馬鹿なことしても付き合ってくれるの。それに高校で一番カッコいい男子なの。それに優しい。私、見る目があるの」


 心にも無いことを言いやがって。


「うん。相田くん、ミヨのことよろしく」

 父は俺にそう言った。ミヨは俺の方をじっと見ている。ちゃんと答えるってば。


「はい。お父さんとお母さんがいない間、寂しい思いはさせませんから。実代さんは僕が幸せにします」


 ミヨが脇腹を肘で突いてきた。


「そこまで言わなくてもいいでしょ!」


 だって、俺はミヨの恋人役なんだろ。言わないわけにいかないじゃん。


「ははは。だけどね、相田くん。君にお父さんと呼ばれる筋合いは無い」


 お父さんに真顔で言われた。マ、マジで。ドラマで聞く科白だ。こんなに優しそうでスタイリッシュ若社長みたいな雰囲気の人なのに、意外と厳格なお方なのか⁉


「す、すみません」

 俺は一目散に謝る。すると、蘭家の笑い声が上がった。


「ごめん、冗談だよ。実代のことよろしくね」

 父が謝る。びっくりした。


「まったくシュータって本当にバカね」

 ミヨも楽しそうに笑っている。なんだか幸せそうだなと思った。本来はこういうことなんだ。やっぱり元に戻って正しかったんだな。



 それから食事を終えた後、俺は車で駅のロータリーまで送ってもらった。今日はこれでお別れ。あとは家族水入らずでやってくれ。


「じゃあね。シュータ」

 ミヨは助手席の窓から言った。


「良かったな、ミヨ」


「バイバイ。ありがとう」


 車は発進して行く。助手席の窓から手がひらひら振られた。危ないから手は外に出すなよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ