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みらいひめ  作者: 日野
三章/阿部篇 Who done it?
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十二.音には聞けども、いまだ見ぬ物なり(15)

「実代、これあげる」

 ママは私のプレートに、私の好物であるはずのフライドポテトを移してくれた。


「あ、ありがとう」

 私は自分でもわかるくらいぎこちない笑顔で言った。ママは気付いた。


「なんか、今日の実代。元気ないね」


「そうだね。久し振りだから緊張させちゃったかな。ごめんね。会えていなくて」

 パパも不安そうに気遣う。違うの!


「そうじゃないの、私は、別に……」


 パニックになって、なぜか泣きそうになった。何かに耐えられなかった。


「私たち、実代を一人にしちゃって悪いなって思ってるの。だから、もし我慢できないくらい辛くなったら、きちんと教えてね。ママは実代の味方だから」


「ううん。大丈夫」


 もう涙を我慢できない。


「あの、ちょっと実代さんと話があるので、一瞬席を外してもいいですか?」


 ミヨ(男)が手を挙げた。そして私の手首を掴んで店の外に連れ出した。レストランの外は暑くて、セミがうるさかった。私は急に安心して泣いてしまった。


「どうしたんだよ、お前」

 ミヨ(男)は私の背中をさすった。


「ごめん。こんなつもりは無かったんだけど」

 私は涙を拭ってミヨ(男)を見た。


「私、気付いたの。私は『蘭実代』じゃない。『相田周太郎』なの」


 ミヨ(男)は真顔で私を見ている。


「私はミヨの体に慣れてきた。でも、どんなに慣れてもミヨにはなれない。私はミヨと思い出を共有してない。私はあの二人の子供じゃない」


「そうだな」


「あの二人の愛を受けるべきなのは、私じゃなくて貴方なのよ。私は本当はここにいちゃいけないんだって。ミヨ、貴方が愛されなくちゃいけない。私は貴方が愛されていることがよくわかった。こんな貴重な時間、私が浪費しちゃ駄目なの」


 私の訴えを、ミヨ(男)は素直に頷いて聞いた。


「そうだよ。俺は結局シュータじゃない。お前がシュータなんだよな」

 ミヨ(男)は私の涙を、固い指で拭いた。


「だから、もうやめよう。元に戻らないと」

「そんなこと言っても戻れないじゃないか。方法が無いんだ」


「どうしてもこのままじゃ良くないわ」

 私のワガママを聞いて、ミヨ(男)は困った顔をする。


「気持ちはわかるけどさ——」

「戻れないなら、きちんとこのことを打ち明けましょう。そうでもしないと」


 ミヨ(男)は頭を掻いた。私の必死な目を見て。もう、何とかしなさいよ。助けてよ。


「わーったよ。二人に上手く説明しよう」

 ミヨ(男)は何かを考える様子で言った。


「どうしよっかな。無理ゲーだぞ」


「私たちだって誤魔化すのが限界なんじゃないの?」


 ミヨ(男)は悩んだまま黙りこくってしまった。どうしようもないのかな。私たちは一生このままなのかな。こんなのって——




「パンパカパーン!」




 陽気な声が耳元で聞こえた。誰?



「呼ばれてルリちゃんシャラランラーン! 超絶カワイイ皆のアイドル、キラーン、岡野ルリちゃん登場です♪ ヤホヤッホー、ふわーん、パフパフ、指ハート、シュワシュワシュワちゃ~ん」



 ルリがいた。存在を忘れかけていたけど、美月を敵視している未来人変態おバカギャル。今日はいつものツインテールに、へそ出し露出狂ファッション。なんでアンタがここにいるのよ。


「ルリちゃんは正義で良い子の味方なのです。ですから困っている少年少女を見て、遥々未来から駆け付けたのですヨ!」


 ルリが正義の味方かどうかは別として、この入れ替わり事件を知っているらしい。


「帰れ、アホ」

 ミヨ(男)が殴ると、ルリは怒った。


「ちょっと、シュータくんの意地悪。ルリはシュータくんの命令で過去に来たのよ」


 シュータは私よ。


「あ、じゃあ殴ったのはみよりんか。入れ替わってるからわかりにくいですねえ。まったく」


「そんなのどうでもいいんだ。お前は何の目的でここに来たんだよ」

 ミヨ(男)が問いただす。ルリはニヤリと笑った。


「ルリの目的は簡単です。入れ替わった二人を元に戻しに来ました」


 はい? どうして敵のルリが私たちを助けに来たのよ。って、元に戻せるの?


「本当に戻せますよ。ビコーズ、アイ・アム・ア・パーペトレイター」


 ルリが実行犯……。まさか。どういうこと⁉

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