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みらいひめ  作者: 日野
三章/阿部篇 Who done it?
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十一.心確かなるを選びて(19)

 タスクは順調に終わって、下校である。石島は生徒会で何かの設営があるというので、生徒会室に向かった。今は坂元と佐奈子・翁川カップルと共に校舎を出た。そして学校近くにあるコンビニに入ることにした。


「慶。うどんかお蕎麦ある?」

「んー、たくさんあるよ。種類も」


 クールなカップル(普通は「アツアツ」って表現すべきなんだが)は昼食を選んでいる。こう見ると、仲はいいように思えるが、ベタベタくっ付いたりはしないようだ。


 俺は、家に帰れば美月がそうめんを用意して待っていてくれるので、昼食は買わない。見ているのはアイスケースだった。何か食べて帰ろう。


「みよりん、何にするの?」

 坂元が肩を掴んで訊いてくる。ケースを眺めて、ホワイトチョコのアイスバーに決めた。


「これにする」

「え、みよりんってホワイトチョコ嫌いじゃなかった?」


 坂元が不思議そうに訊いてくる。ミヨはホワイトチョコが嫌い? 知らなかった。


「美味しそうだからちょっと試してみようと思ったのだけど、じゃあやめるわ。かき氷にする」


 イチゴ味のかき氷バーに替えた。坂元は飲むタイプのアイスを買っていた。


「佐奈子、俺が買うから。ほら、それもカゴに入れていいよ」

 佐奈子は買った弁当やデザートを翁川の持つカゴに入れていた。


「慶くん、それ買ってあげるの?」

 俺が問いかけると、翁川は頷いた。佐奈子がニコッと笑う。


「私が買えって言ってるわけじゃないよ。お互いに買ったり買ってあげたりするんだ」

「へえ。信頼関係ね」と適当に感想を言う。


「みよりんと坂元ちゃんのアイスも買ってあげなよ」

 佐奈子は俺と坂元のアイスを指差す。


「いや、駄目でしょ。私たちは」

 坂元が反対するも、翁川は受け取ってカゴに入れる。


「いいよ。実代さんや坂元さんには、いつもお菓子を分けてもらってるし。気にしないで」


 翁川はそのままレジに向かって行った。俺と坂元はお礼を言う。何だか上手く言えないが、変にごねず、さりげないところがモテるんだろうなと思った。うるさい——もとい、元気な女子に囲まれている俺のことだから、ぜひ見習おう。





 俺たち四人はコンビニを出て帰宅する。アイスが溶けてしまうので、俺と坂元はアイスを食べる。直射日光は鬼のように猛威をふるっていた。


「そう言えばさ、皆は修学旅行にどういう服を着て行くの?」

 俺は主に隣を歩く女子に尋ねた。修学旅行まで二週間を切っているのだ。


「むしろ、みよりんが何を着るのか知りたいね」

 佐奈子はまるで暑さなど無いかのように飄々と答えた。


「女子がどういう服を選べばいいかなんて、お……私だってわからないのよ」


 そこはミヨや美月にも相談しているが、一々服を選ぶのが面倒なんだよな。男の俺には、ファッションの「ファ」の字もわからなかった。


「いーじゃん。みよりんは何でも似合うんだからさ」

 坂元はアイスを吸いながらそう言う。俺もアイスをかじる。


「実代さんは服選びで間違ったりしないんだから、大丈夫だよ」


 翁川が当たり障りないフォローを入れてきた。翁川は佐奈子と自分の弁当が入った袋を提げながら、後ろで付いて来ている。健気な男だ。


「どうして服のこと気にするの? もしかして気になる人がいるんじゃない?」

 佐奈子がハテナマーク二個使うなんて珍しい。からかってやがるな。


「なんで気になる人がいると思うのよ。いたとしても関係ないじゃない」

 そう言ってやると、坂元は面白そうに笑った。


「嘘だー。みよりんはバッチリキメキメコーデで、アピールしなくていいの?」


 誰に何をどうアピールするんだ。


「だって修学旅行だよ。同級生の好きな男子と近付くチャンスじゃん」


 坂元は信じられないって表情で訴えてくる。そう言われてもな。俺はミヨが誰を好きなのかとか全然知らない。興味もねーよ。そもそもコイツに好きな男なんかいるのか。好きな化学式とかはありそうだけど。


「そう言う坂元ちゃんはいないの? 好きな男子」

 俺がお返ししてやるが、坂元は痛くもかゆくもないようだ。


「私には好きな韓流俳優がいるの。もうあの方たちを観るだけで私が生きていく理由になる」

 どうも韓流ドラマオタクらしいな、坂元は。


「話逸らさないでさ。どうなの、みよりん」

 佐奈子が楽しそうにニヤリとする。俺は既に食べ終えたアイスの木の棒を加えながら答えた。


「知らないわよー」


「いやいや。みよりんなんか、わかりやすいくらいわかりやすいじゃん」

 坂元が割って入ってくる。


「まあまあ、みよりん。敵は多いかもしれないが、私は味方だぜ」


 坂元は親指を立てた。いや、ホントわからん。ともかく懸案事項は、俺が元の体を取り戻すことだからな。修学旅行までに何かしら奇跡が起こるよう祈ろう。

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