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みらいひめ  作者: 日野
三章/阿部篇 Who done it?
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十一.心確かなるを選びて(2)

 とまあ、こんな感じでドラマツルギー(戯曲のこと。シェイクスピアとか)的に始まったわけだが、どうだっただろうか。もちろんある表現手法を採った以上、その理由は説明できて然るべきだからしてやるよ(偉そう)。


 単純に科白以外を説明する必要が無かったからだ。俺やクラスメイトみたいなツマラナイ連中のやり取りなんか、文章を大いに割く価値ないだろ? 割くべきは美月様その人。そういうわけ。


 だから、状況説明がちょっと足りなかったな。現在俺たちは夏休み真っ只中である。今はカレンダー上だと、七月の末ってところだ。午前中は意味の無い補講を受け、午後は文化祭の準備を当番制で勤めている。八月になれば補講は無いから楽しみだ。


 九月初週にあるその文化祭とやらでは、クラスでパンケーキカフェをやる。文化祭でカフェって定番だろ? どうしてかと言えば、楽ちんだからさ。


 カフェは、インスタントのコーヒーと紅茶、あとは緑茶やジュースのペットボトルを用意しておいて、紙コップに注ぐだけ。パンケーキの方は生地を作って、ホットプレートで丸く焼けば誰だって作れる。そこに缶詰めのフルーツとかホイップクリームを載せれば、出来上がりってわけさ。それを法外な値段で客に売りつければいい。


 まあ、クラスの女子はそれだけじゃ物足りないようで、こうして貴重な夏休みを消費して衣装や飾り付けを行っているってことだ。


 準備の班は俺とさっきのメンバーだ。今、福岡は衣装の縫い付け。片瀬は部屋の飾りに使う色紙の切り抜き。冨田は必要な食材の計算。俺はテーブルクロスの裁断。美月は生徒会室に営業許可証、その他諸々の書類を提出に行った。んで、都合のいいところまで仕事をして帰るって具合だ。


 だが補講後で、しかも昼食はパンを食べただけだから空腹な上に疲れた。もう帰りたい。仕方なく、可愛い夏服の美月を見て目の保養だ。そうだ、休みになったらミヨをたぶらかしてプールに行こう。せっかくなら美月の水着姿を拝みたい。神々しいだろうな。どこぞのマーメイドだって泡になるくらい、絶景のプロポーションを見られるはずだ……。


「シュータさん、大丈夫ですか?」

 美月に心配された。いけない。妄想に耽って手元が止まっていた。


「うん。平気だよ」

「集中力も保てないですよね。休憩しながらでいいですよ」


 そう言ってにっこり微笑んだ。美月はメニュー表を手作りしているようだった。


「おい、片瀬。これいつまでやるんだ?」

 そう訊くと睨まれた。俺はいつ間違った質問をしたんだ。


「そんな面倒くさそうに訊かないで。不愉快」


「目標はどこまでですか?」と美月が訊く。


「あ、えっとね。とりあえずその馬鹿相田と阿保チャラ田の仕事の終わり待ち」


 美月に対しては優しいんだな。それはそうと、俺たちの仕事が遅いせいで帰れないのか? まあノルマと言われたやつの三分の二程度しか終わっていないが……。冨田もしっかりやれよ。


「あの、シュータさん。私、手伝いますよ」

 悪いけど頼むよ。俺は稀代の不器用なのさ。

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