一.黄金ある竹を見つくる(15)らいと
またリセットか。絶妙なタイミングだった。まだ心臓がバクバクしている。ありがとう、竹本。
「いえ、また失敗でしたね」
俺たちはスタート地点の神社に「遡って」いた。竹の隙間から夕陽が眩しく俺たちの影法師を伸ばす。上手くいかないし、突破口が見つからない。これで何度やり直しているのだろう。時間が進むどころか、戻っているんだから皮肉なものだよな。
「相田さん、これは難しい問題なのかもしれません。やはり福岡さんに事故に遭っていただくしかないのではと思うのですが。も、もちろん重装備をしていただいて……」
疲れ切った竹本は、自分の膝小僧と睨めっこしている。真面目だから、目を合わせて言えないのだろう。俺は息を吐いた。
「そーだな。所詮、他人事だからな。福岡に痛い思いしてもらえば済むことだ。別に死にはしないんだから」
俺が目線を上げてそう言うと、竹本は慌てた。
「そ、そういう意味で言ったわけでは……。ただ、体内コンピューターで治療も行えますし、その、今回は仕方ないのかと」
どんどん声がか細くなって聞こえなくなってしまった。竹本もやる瀬ない思いを抱えているのだ。俺は腕を組んで頭を急速回転させる。
「俺は絶対諦めたくないんだ。確かに厄介事だし、俺の責任でもないから面倒だ。でも福岡は小学校時代からの〈友達〉だからな。見棄てるくらいなら、俺が身代わりになる。そうでもなきゃ気が済まない」
竹本は目を見開いた。俺の横顔を真っ直ぐ眺めていた。どうしたのだろう。
「友達、ですか」
恥ずかしいこと言った。でも、紛れもなく本心だ。
「まあ腐れ縁? というか、一応世話になってるし」
「そうです。そうですよね。私も福岡さんを放っておけません!」
竹本も腹をくくって元気を取り戻した。後ろめたいようなことをするくらいなら、いっそアクションを起こすしかない。
「で、相田さん。妙案はありますでしょうか?」
「ありません」
俺たちの間に、すきま風がひゅごーと吹き去った。結局そこが解決しないことにはどうにもならないのだ。
「もうこうなれば、火事でも何でも起こして、福岡さんを集団下校に巻き込めばいいのではないでしょうか。それか、やって来た車をパンクさせて横転させれば……」
竹本の妄想が明後日の方向に行ってしまうので、俺が制止した。そんな乱暴な方法で上手くいくわけがないでしょ。
「なあ、屁理屈みたいなことでも通用するのかな? あまりに馬鹿らしくて試してない方法があるんだけど」
「え、どういったことでしょう」
俺は最初から思いついていたが、上手くいくとは思えず放棄していた手口を竹本に耳打ちした。それを聞いた竹本は珍しく大声で驚いた。
「そ、そんな馬鹿な、ことがありますか?」
でも、もしかしたら成功するかもしれないだろ? ちょっと試してみないか。
「相田さんが、事故を起こすのですね?」




