四.珠の枝取りになむまかる
俺はアリスを忘れないだろう。もう二度とね。
俺が高校二年生になってからの一カ月半を軽くおさらいしてみると、未だに信じがたい出来事をたどって来た。竹本美月という自称未来人の金髪美少女に出逢ったところが全ての発端だ。
美月は時間を「遡る」(世界のリセット機能)ことができたり、体内コンピューターを使ってデジタルに常時アクセスできたり、機械を用いて物質を再現できたり(実際使っているのを見たことは無いが)する、未来人に相応しいスーパー人類なのだ。
しかし困ったことに、美月の周りには超能力を持つ者が現れ出した。世界のバランスが乱れたことが原因らしい。一般的な男子高校生である俺、相田周太郎はその一号。どうも世界がリセットされても、俺の記憶はリセットされないらしい。
で、同じく記憶がリセットされない黒髪美人で優等生で変人の同級生、蘭美代も登場。紹介事項が多くて省きたいのだが、実は未来予知の能力があり、部員急募のSF研部長で、一人暮らし(親の事情)で美月を住まわせて
——多いな! 俺の紹介はすぐ終わったぞ。まあ、面白い女の子だ。
SF研には後輩くんが一人いる。それは瞬間移動能力を持つ、綾部拓海、愛称はノエル(語源は知らん)だ。イケメンで優男。格闘技経験があって強い。
だが、異能力者は協力的な連中ばかりじゃない。理性が上手く保てなくなる奴らもいた。世界を勝手に改変しようとした坂元。人体の最大限の力でもって暴れ回った石島康作。次から次に超能力者が現れて俺と美月、ミヨ、ノエルの力を結集してどうにか鎮圧したってわけだ。かなり危うかったけどな。俺なんか死にかけた。
ここで例えばの話だ。例えば、自分が犠牲にならないと世界が救えないとしたら、人はどう行動するだろうか。俺は死んででも石島を止めたか。いや、わからんね。誰だって命が一番に大事なはずだ。でも、もし自分の命より大切なものが出来たら——? あるいはね。
「本当に楽しいんです。皆に出逢えて嬉しい。中でもシュータさんが、私の一番の友達です」
と、美月は言った。ある朝のことである。時は、何てことない五月中旬のとある平日だった。俺は嬉しかったのだが、友達じゃなくて恋人になりたいと思った。冗談だけど。かくして、俺と美月は友達としてスタートしたのだった。そして束の間の平穏を享受する。その束の間とは、およそ7.5時間であったとさ。
2章からは、毎日一話ずつ更新していきます。




