漫才「タイムマシーン」
ボケ…ボ
ツッコミ…ツ
二人「どうも~」
ツ「お願いします~」
ボ「タイムマシーンに乗りたい」
ツ「タイムマシーン?急にどうしたの」
ボ「だってほら、皆さんにだってあるでしょ。やり直したいことが」
ツ「まあ、確かに誰にだってありますよね」
ボ「例えば、今借りているアパートの部屋の契約とか」
ツ「いや、それは今からでも変えられるでしょ」
ボ「え?……じゃあ、髪を染めたときの色とか」
ツ「だから、それも今からだってできるでしょ?そんなことでタイムマシーンなんて使おうとするなよ」
ボ「じゃあ、どんなときに使うんだよ」
ツ「そりゃあ、例えば、学生時代に勉強しなさすぎて大学に行けなかったから、戻って過去の自分に勉強させたり」
ボ「俺、東大出てるから」
ツ「……じゃあ、ギャンブルで借金が膨れ上がってどうしようもないから、戻って過去の自分にギャンブルをするなって叱ったり」
ボ「俺、実家金持ちだから」
ツ「お前はタイムマシーンなんて必要な人間じゃねえよ!」
ボ「……え?」
ツ「勉強もできて金もあるんだろ?そんなやつは過去に戻りたいなんて普通思わないんだよ」
ボ「そんな……(絶句して膝から崩れるように倒れ込み、両手両足を床に付け四つん這いの姿勢になる)」
ツ「……なんだよ、そんなにタイムマシーンを使えない自分が悔しいのか?」
ボ「いや、おまえんとこで飼ってる犬の真似」
ツ「紛らわしいタイミングでそんなことするなよ!」
ボ「グルルルルル」
ツ「唸るな唸るな。そして俺が飼ってるのは猫だわ!」
ボ「(何事もなかったかのように立ち上がる)それでさ」
ツ「何でスッと始めるんだよ」
ボ「いや、それでさ、俺にはちゃんとやりたいことがあるの」
ツ「なんだよ、それを早く言いなさいよ」
ボ「いやね、恥ずかしい話、元カノのことが忘れられなくて」
ツ「あら、急に真面目な話じゃない。いつの別れたの?」
ボ「小5のとき」
ツ「忘れなさいよ、そんな昔の元カノ!なんか、この歳で小5の子って危ない人みたいだよ」
ボ「いやまあ聞いてよ。僕ね、フラれたんですよ」
ツ「あら、どうして?」
ボ「あなたとは将来が見えないって」
ツ「それ本当に小5?!フリーターでアルバイト暮しの彼氏にOLが言いそうなことだよ」
ボ「いや何でもね、バレンタインデーのお返しがショボすぎるって」
ツ「辛辣~。その歳で厳しすぎるだろ」
ボ「うん。まあでも、高校のときにヨリを戻したしたんだけどね」
ツ「なんだまた付き合ったの、その子と?あんまりいい予感しないんだけど」
ボ「そう?」
ツ「うん、因みにどっちから切り出したの?」
ボ「え、石を?」
ツ「復縁をだよ。ピラミッドでも作る気か」
ボ「ああ、そっちね」
ツ「そっちしかないでしょ」
ボ「いや~、向こうからだったんだよね」
ツ「あら、フッた相手なのに何で心がわりしたんだろう」
ボ「いや、わかんないけど、参観日に俺の父さんがフェラーリに乗って来るのを見たって」
ツ「現金~。その子小5から全くぶれてないね」
ボ「まあ、結局フラれたんだけどね」
ツ「わかった!どうせその子のことだから、デートとかで奢ったりしなかったからケチで将来が見えないって言われたんでしょ?」
ボ「浮気が見つかって」
ツ「最低~。えぇ?お前浮気したの?」
ボ「いや、向こうが」
ツ「不憫~。えぇ?浮気されて挙げ句フラれたの?」
ボ「ホテルから出てくるのを見つけてすぐに」
ツ「不憫~。そんな子のためにタイムマシーンを使いたいの?やめたほうがいいよ、そんなやつ」
ボ「だからさ、俺は時間を戻ってやりたいんだよ」
ツ「何を?」
ボ「俺を弄んだあいつに復讐を」
ツ「そっちかよ!いいかげんにしろ」
~終わり~






