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スターチルドレン

作者: 小説家になろう

星くん 生きてね。

あとは頼む。明人。

俺はもう死ぬけどお前は長生きしろよ。

あいつを殺せ。

何で俺なんだよ。お前じゃなくて。

星明人、君が地球を守れ。

アキくん。地球を殺して。




深い眠りから覚める。

頭からは血が出ている。

やけに体が寒い。

目の前に広がるのは闇。

宇宙の中で僕は今殺されかけている。

さっきのは多分、走馬灯ってやつだ。

でも僕は彼らのことを知らない。

思い出せないと言った方が正しいのかもしれない。

そこにまた衝撃がくる。

コクピットは揺れ操縦席から投げ出された。


アキくん。私が大人になったらお嫁さんにしてね。

ユイの手の温もりは僕を包んでくれた。


記憶が溢れ出す。


星明人。俺の後任は君だろう。頼むぞ。

光輝さんの大きな手は僕の頭を撫でてくれた。


ケッ、気に食わねぇ。俺はお前を認めねぇぞ。

坂田の鋭い眼光に気圧されたのを覚えている。


タカの笑顔。

学先輩の優しさ。

朱里ちゃんの涙。

紫音から託された思い。


全部思い出した。

僕はこんな大事な記憶を無くしていたなんて。

スタービーストの咆哮が聞こえる。

僕は成し遂げなければならない。

こいつを殺して、地球を殺さなくては。

決意より先にスターガーディアンは動いていた。

星の守り手の両手から盾は無くなり黒い手が顕になる。

右手は噛みつこうとする口を抑え、左でその喉元を覆った。

中々しぶとく、まだ死なない。

地球の赤に獣の頭を持っていき鱗を焦がす。

あらゆる手を行使した結果、スタービーストは内臓を晒し、動かなくなっていた。

『星明人くん。此度も防衛成功だ。帰還したまえ』

地球の赤は解かれる。

これからするのは仲間たちへの弔いだ。


一日経つと地面には赤い大きな花が咲いていた。

彼岸花を思わせる、美しく儚い花が。

散らかっていた地球は平になっていた。

ユイ、光輝さん、坂田、タカ、学先輩、朱里ちゃん、紫音

みんなのこと思い出せてよかったよ。

僕も直ぐに行くから待っててね。


地球を覆い尽くす影ができる。

スタービーストは人間の感情から生まれる。

全人類の恐怖から生まれた獣は、この星を喰らい尽くした。

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