第1話 出会い
こんにちは。お久しぶりです、てんちゃけん、じゃなくて、ちゃけです。
昔に「小説家になろう」で掲載した、過去作「魔界人妖記」が、帰ってきました!
前回よりも、内容も細かく書いていこうと思ってます。是非、またロゼとガルトに会いに来てください。
私とガルト様が出会ったときの話をしても、誰も信じてくれないと思う。
でも、今日は、その話をしよう。
私の話を、誰か1人でも、信じてくれる人がいるかもしれないから。
その日は、クリスマスだった。
スーパーで買い物をし終えた私は、片手にレジ袋を持ち、1人暮らしの家に、1人で帰る途中だった。
もちろん彼氏なんていない私は、クリスマスに用事なんてものもなく、今日はただ、起きて、だらだらして、適当にスーパーに行って、帰るくらいの出来事しか起こらなかった。
ただの女の子として冬の街を一人で歩いていた。
イルミネーションがまばゆい光を放っていた。
カップルが腕を組んで、仲睦まじい様子で、歩いて行く様子を後ろから眺めた。
手をつないで、仲良さそうに話をしている。クリスマスにデートなんて、そんなこと、自分には全くなかった。
横に視線を向けると、クリスマスケーキの売り子がいた。自分よりも、若干、年下の女の子が、サンタクロースのコスプレをしながら、「クリスマスケーキ販売中!」と書かれた看板を振っていた。
自分も、もう少し若かったら、あの仕事ができたかもしれない。そう思いながら、私はその横を通り過ぎる。サンタクロースの女の子が履いているのは、丈の短いスカートだ。きっと風邪をひいてしまう。それに、自分はそんなにかわいいようなタイプではない。やっぱり、上司から任されても、できないだろう。
きらびやかなイルミネーションのある通りから、横道に入り、暗く、物寂しい住宅街を進んでいく。あたりを照らすのは、街灯――それも、切れかけてチカチカと点滅を繰り替える街灯だけだった。
結局、今年のクリスマスも、何もなかったなと、そう思った時だった。
突然、強い風が吹いてきて、私は思わず目を閉じた。
しばらくの間、風が吹いたままで、驚いて目を閉じてしまっていた。
風が収まり、私が恐る恐る、目を開けてみると、チカチカ光る街灯に照らされていたのは、黒い羽根と、白い牙、黒いマントを身にまとった――ヴァンパイアだった。