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語彙力最強少女の英雄譚  作者: 春夏冬 秋
第二章 《夏期休暇》編
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46.海ってなにが必要?

 悩みに悩んだあげく、シンプルなビキニタイプにしましたよ。淡い水色のギンガムチェックが私の胸を大きく見せる効果を発揮……するはず。元がなければ効果がないとか言わないで。

 アイリスも似たようなデザインのものを選んだせいで、さらに大きく見える彼女の胸。ものすごすぎてビッグバンでも起きるかと思った。

 核爆発程度なら起きそうな感じなので、やはりあれは兵器。ただちに処理しなければ。

 という冗談はともかく。

 目的を果たし、そろそろ帰宅しようとしていたところで、嫌なプラチナブロンドが目に入る。

 あっ、野生のぶりっ子&マイペース姉妹、ミソロジア姉妹が現れた! セリアはどうする? 答えはもちろん『逃げる』一択。セリアは逃げ出した!



「こんにちは、それでは」

「いやいや、ちょっと待ってくださいよぉ~♪」



 早々に脇を抜けて通ろうとしたところで、腕を掴まれる。この小娘、見た目の割りに力がありますね……! いや折れる折れる!

 もはやあきらめることにし、苦笑いするアイリスとともに話を聞くことに。



「それで、私たちになんの用で?」

「セリアお姉様たちって、もしかして海に行くんですかぁ~?」

「いえ、私たちは――」

「そうなんですよ、セリアさんに誘われたので、わたしも行くことになって」



 伝える必要がない(というよりは伝えたくない)のに、アイリスはペラペラと話し始める。口が軽すぎて大気圏まで口だけ飛んでいくほど。



「へぇ~、そんなんですねぇ~♡」



 笑顔でそう返すエミルだったが、その瞳には笑みが見られない。まるで、笑顔を貼りつけたよう。

 目が死んでいるだけとも考えましたが、転入当日の様子を見れば、誰の目にも明らかですね。

 転入時のしっかりとした笑みを浮かべたエミルを想起しつつ、彼女を見つめる。エミルの笑みって……ふふっ……ちょっと待って。

 やはりこの子は嘘にまみれている。具体的にどんな嘘を吐いているかはわかりませんが、今の笑顔のように、彼女の言動の端々には違和感を感じる。

 ナツハに関しては、普段から眠っているために、掴みどころがなさすぎる。ウナギかってくらい掴めない。あっ、寝ながらどこかに歩いて行きました。

 それを追いかけていくエミルを傍目はために、私たちは帰宅することに。

 


     ◇

 


 家に到着すると、帰宅するたびに視界の端に写り込んでくる、いつぞやのアイリスの話に出てきた自宅併設プール。

 練習したほうがいいかなとは思いつつも、人間自分くらいしか信じられないからね! 私はアイリスも信じてますけど。たぶん私は泳げます。なんかイケる気がする!



「海にはいつ行きましょうか?」

「明日とばかり思ってましたけど……、わたしはいつでもいいですよ!」

「そうですか、では明日にしましょう」



 明日ですか、私の想定より早いですが……

 まあ、特に予定などがあるわけではないですし、アイリスのためなら予定空けますし、そもそも予定ができるような友だちがいないですしハハハ。アイドルユニット組もうかな、曲名は『エブリデイフリーダム』。カチューシャとか外しちゃう。

 部屋に戻ると、早速準備を始める。しかし、ここで一つ問題があった。



「海ってなにを持っていくんですか……!?」



 海どころかろくに外に出たことのない私からすれば、まず出かける準備からがすでに異次元のこと。

 必要になりそうなものがないかと部屋を見渡す。

 あちこちに首を巡らせていると、いろいろなものが目につく。



「タオル、替えの服、あとはヘアゴムもいりますかね……」



 とりあえずと勘で必要そうなものを次々カバンに詰め込む。カバンの中ぐちゃぐちゃじゃないですか。整理整頓できない典型のやつぅ!

 さすがにこのままはマズいと思い、いそいそと整頓を始める。私ってば昔から片付け苦手だったからな……。親からは汚部屋とか呼ばれてました。てへっ☆

 コツンと頭に手をやり、一人ドジっ子シチュをやったところで、整頓を再開。

 カバンは学院で使っているものとは別のものを使っており、かつあまり外に出ないはずの私のカバンがこんなにもぐちゃぐちゃ……ハッ! これは妖怪の仕業か! それなら納得です。仕方ありませんね、時計がないので見えませんし。

 ひととおり妖怪に押しつけたところで整頓も終了。

 あと必要そうなものは……。そうだ、ネットで調べれば――



「いや、異世界だからスマホねぇじゃ~ん!」



 私は思わず、名前にブックと入っているのに本が置いてなかったとき並みの怒りを露わにする。

 この世界には、スマホのような電子機器系統はあまりないんですかね。なにやってんだよセルシアァ! 若者に一番必要でしょう。……はぁ、今度にでも《創意工夫》で作りますか。

 《創意工夫》は、別世界のものでも同じものは作れないのでしょうか。そうなれば、いろいろ機能を付ければいいだけですけど。

 いや、そういえばグーラが携帯端末でSNSをしていた気が。少し借りて──いや、連絡先知りませんでした。今度会ったらどこで買えるか訊きましょうか。

 


     ◇

 


 気づけば、窓から見える空は白み始め、太陽が顔を出そうとしている。

 昨夜は楽しみから眠れなかったのですが、いつの間にか寝落ちしていたようですね。

 そろそろ出かけ支度をしようと、まだわずかながらに残る眠気によろよろと立ち上がり、クローゼットを開ける。

 未だ私服を持っていない私は、唯一外向けに着られる、学院の制服を手に取る。

 夏用の半袖ブラウスを着て、膝上までの、タータンチェックのグレーのスカートを穿き、肘ほどまでの紺のアウターを羽織る。

 見た目では若干暑苦しいものの、薄手だったり、半袖であったりと夏仕様のために、通気性がよく見た目より涼しい。

 あれやこれやと準備しているうちに、気づけば七時。

 そろそろアイリスも起きて支度を始めたかと思い、隣にあるアイリスの部屋を訪れる。



「アイリス、部屋に入ってもいいですか?」

「はい、どうぞー」



 声が返ってきたことを確認すると、扉を開ける。

 思わぬ光景に、ハッと息を飲む。



「アイリス、その髪は……」

「夏なので切ってもらったんですけど、どうですか?」



 そこには、背まであった空色の髪を肩口に揃え、髪先をウェーブさせたアイリスの姿が。



「素晴らしいですこの世のものとは思えません今すぐに遺産として登録しましょう」

「逆に貶されているような……」

「そんなことありません!」



 胸の前で拳を握り力説していると、アイリスの髪をカット&セットしていたメイドさん(私の部屋をコーディネートしたメイドさんと同じ人)が、そそくさ近づいてくると、そっと私に耳打ちする。



「(アリシア様ってば、髪型が変わったらセリア様に喜んでもらえるかと、セリア様がご覧になられるまでそわそわしていたんですよ)」

「(えっ、なにそれ可愛い、尊い、見たかった……)」

「(それはもう、恋をした女性のような表情でした)」

「(くっ……見られないと思うと惜しすぎる……)」



 私たちがなにを話しているかとアイリスは首をこてんとかしげる。可愛い。

 支度もちょうど終わったようで、一階に行き朝食をる。

 それぞれで忘れ物がないかと再確認してからいざ出発。アイリスは忘れ物があってもおかしくないですが。

 意識の外でニュースの声を傍聞かたえぎきしつつ、家を出た。



『昨夜未明、──────より、――の盗難が確認されました。騎士団ギルドでは調査が進められており、場合によっては、────さんに、調査を依頼するとのことです』



 今思えば、あのニュースをしっかり聞いておけばよかったと後悔している。まさか、こんなことになるとは……

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