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語彙力最強少女の英雄譚  作者: 春夏冬 秋
第二章 《夏期休暇》編
53/98

45.水着ってやつは魔性のアイテム

 先週は遠足も無事……と言っていいのかはわかりませんが、なんとか終わり、明日からは夏休み!

 夏休みと言ったら、友だちと────友だちと、なにするんだ……?

 人間のみならず生物全般に言えることかもしれませんが、はじめてのおつかい……ではなく、初めての経験というものは、なんの知識もなく挑戦したり、調べるなりするものでしょう。

 右も左もわからない現状、できることはただ一つ。



「夏と言えば海ですよね……!」



 思いつく限りのことをするまでです!

 私は、アイリスの水着が見た――んんっ、アイリスと海に行ってみたいと思い、声をかけてみることにした。



「アイリス、明日から夏休みですが、海に行ってみませんか?」

「おお、いいですね! わたし、家と学校でしか泳ぎの練習したことないんですよ」



 へぇ、家にプールがあるわけですか……、金持ちってやつはよぉ!

 というかこの感じ……



「アイリスって泳げるんですか?」

「はい、もちろんです」



 やっぱり泳げちゃうか……。私と同じでカナヅチかと思ったんですけど。

 元気キャラは勉強はできなくとも運動はできると相場で決まっていますからね(セリア調べ)。

 いや、待てよ……? 学校のプールの授業を受けることができなかっただけで、もしかしたら私泳げるのでは?

 えぇ、なんだぁ~。私ってば泳げたのか~。

 そういえば私、水着を持ってませんね……。ハッキリ言えば、アイリスの水着が見られれば十分どころか百分。

 いろいろ捗っちゃいます。ナニがとは言いませんけど。



「明日にでも水着を見に行きませんか?」

「はい! わたしは持っているので、セリアさんのものを見に行きましょうか」

「へぇ……ちなみに、どんなものですか?」

「どんなって訊かれると、普通のですけど……、帰ってからお見せするってことでいいですか?」

「ええ、それは構いませんが……」



 この流れ……オチが読める、読めるぞ!

 端的に言えば、絶対スク水です。そうですあのえっちなやつです。

 中学生からあとに海に行くことがなく、水着を買う機会がなかったがために、あるとは言いつつも中学生からのスク水でえへへ……。あわよくばもらいましょう(キリッ

 


     ◇

 


 女の子同士とはいえ、着替えを見られるのは恥ずかしいからと、自室で待機させられている私。

 私としては気にしないのですが……むしろ見たい。

 隣の部屋ではアイリスの生着替えがおこなわれていると言うのに……!

 おのれ、この壁さえなければ! 部屋を隔てる壁をぶっ壊す! なんてわけには当然いかないため、大人しく私待つわ、いつまでも待つわ。

 やがてコンコンと扉が叩かれる。ったく、待たせやがって!

 獲物に襲いかかる獣のように扉に飛びつき開けると、そこにはまさしくスク水のアイリスが――



「は? なんですかその格好」

「さっきセリアさんに見せるって言った水着ですよ?」



 扉の前に立つアイリスの姿は、教育上の配慮と泳ぎやすさのどちらも考えられた、腕と脚をギリギリまで露出した水着――などではなかった。

 彼女の格好というのも、スキューバダイビングで着ているような、アイリスの真っ白柔肌という神より与えられたであろう魅力を包み隠し、手首足首までしっかりと覆われた、ある意味教育上よろしい姿。

 これを学校が推していたと言うわけではないですよね?

 そんなことがあろうものなら、私は今から乗り込まねばなりません。なんなら文春砲をぶっ放すまである。



「まさかそれで海に行こうとしてます?」

「だってこれ、ちゃんと泳げますよ?」

「いや、そういうことではなく……」



 なんですかこの子、おしゃれ初心者ですか? 私服が真ん中にデカデカと動物のアップリケとかやめてくださいよ。

 そんなことになったら私服総入れ替えしなければいけません。

 なんて考えている中、アイリスはうむむと難しい顔をしている。なにごとかと思えば。



「改めて着てみて思ったんですけど、やっぱり新しく買わないとですかね」

「ようやく自身のファッションセンスに気づきましたか。それはスキューバダイビングのときにでも着てください」

「いえ、そうではなくて……」



 そう言うと、お腹の上に位置する双丘をさすさすと手で撫でる。



「ちょっとこの辺りがキツくって……。また大きくなったのかなぁ……」

「えっなんですか嫌みですかそんなに大きいのが嫌なら取ってあげますよ」

「いや、その、セリアさんは――身軽でいいじゃないですか!」

「そのフォローがさらにつらい!」



 悪意がないからこそ心に悪い意味で刺さる! 私の心にシュートして超エキサイティングしちゃう。

 なんて純粋な瞳で見てくるの……。それほどに心からのフォローなんだね……

 ふぇぇぇ……清き心がしんしん降り積もってるよぅ……

 


     ◇

 


 アイリスに紹介されたお店に向かう。

 方向音痴な彼女に任せるのは心配だったので、地図を借りてきています。

 案の定、家を出てすぐを右に曲がるところを、自信満々に嫌みか胸を張りながら左を指差すものだから、地図がなかったらと思うと恐ろしいです。

 あれだけ「案内できるので!」と言っていた割りには、路頭に迷わせに来てる。

 二〇分ほど歩いた頃、非常に高層な建造物が目に入る。ひと言で言えばデパート。

 一〇階くらいでしょうか、上を見上げれば、高所恐怖症の人であれば思わず足をすくめてしまうほどの迫力がある。

 この店舗の三階、そこが衣類関係を取り扱う階のようで、洋服店や呉服屋、目的の水着売り場が窺える。



「なんともたくさんの種類がありますね」



 ラックにかけられている水着のデザインは、ギンガムチェックや水玉模様、花柄のものもあります。

 ビキニ、セパレートタイプ、ワンピースタイプなど、形も様々。優柔不断な人は、さんざん悩んだあげく、『あなたは優柔不断か』に「いいえ」で答えちゃうくらいには迷わされる。



「うーん……、セリアさんはいいですよね……」

「はあ。なんの話ですか?」

「だって、サイズを気にしなくてもいいじゃないですか。わたしなんて、着られるものがあんまりなくて……」

「どうしました? 最近その話で喧嘩を売りにきてますか?」



 なんでしょうか、最近、アイリスが敵に見える……

 なにが「サイズを気にしなくてもいい」ですか。屋上へ行こうぜ……ひさしぶりに……キレちまったよ……

 バカにするのも大概にしてくださいよ。あと数年後には、ナイスバディになってますからね! ボンッキュッボンですよ。お前はどうせ虚乳だろってやかましいわ。

 心の中で一人コントをしながら商品をうろうろと見るも、種類が、多いっ!

 それこそ今までスク水しか買ったことのないような私ですから、自分の好みやどんなものが似合うかなど、知らないことはたくさんあるし、不思議なことはいっぱいある。ジョージィ……とドアを開けて探検に出ることにしましょう。

 わからないことなんでも(店員さんに)訊いてみよう!



「すみま――」



 ちょっと待ってくださいよ……? 服飾関係の店員さんは厄介と聞いたことがあります(偏見)。

 それに、もう一つ問題がありまして、……ふふっ、コミュ障だったわ。財布は持ってきてます。



「セリアさん、どうしました?」



 私が考え考えしていると、アイリスが横から顔を覗かせながら問うてくる。

 コミュ障が店員さんに話しかけるかを悩んでいたとは言えませんし……



「いえ、少し考え事を」



 悩めるお年頃って大変だね!

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