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語彙力最強少女の英雄譚  作者: 春夏冬 秋
第一章 《王女護衛》編
19/98

18.対策

 今……なんて言いました?

 信じられない……いえ、信じたくない言葉が聞こえた気が。



「《天変地異》? そんなもの、使えば世界が終わりますよ?」

「ですから、彼女に《言霊》を使わせるほど怒らせないよう、常に気を張っているのです」



 《天変地異》、天地で起こる自然の災害や、変わったできごとのこと。

 使用すれば、たちまち辺りは崩壊。天は震え、大地は割れ、建物は木っ端微塵。

 しかし、これならば修復が可能なため、そこまで大きな問題ではありません。

 問題はその先――制御が利かないことにあります。

 簡単に言えば、ポ○モンの『げきりん』。目につくものすべてを壊し、さら地になるまで破壊の限りを尽くす。

 当然ですが、人間も破壊の対象。発動させたが最後、使用者を止めるか、世界が終わるまでは停止しない暴れ馬となる。



「それがリーダーの恐ろしいところ……」

「はい、持席《憤怒》:イラ。彼女は、元来怒りっぽい性格だったようですが、自身の《言霊》が世界を壊すという事実によるストレス、グループの自分勝手な様子から、さらに加速。今では、爆発していない核爆弾状態」



 自分勝手なメンバーに、先生が含まれていることはともかく。

 いつ爆発するかわからない以上、なんの対策も取らないというのは危険すぎます。

 しかし、他にもメンバーが四人いるわけです。

 《強欲》、《怠惰》、《暴食》、《嫉妬》。

 相手の技量や《言霊》の情報は、先生が持っているとはいえ、技量は伸ばすことができ、《言霊》は使い方次第。

 気休め程度に聞くのが一番でしょう。



「現在のメンバーで一番厄介な方は?」

「そう、ですね……単純な身体能力で言えば、《強欲》アヴァリティア。どんなセキュリティも突破し、邸宅から金銀財宝を盗み出すほどです。突破不可能と言われた赤外線センサーを、切ることなく通り抜けましたからね」



 そうなると、単純な接近戦では勝ち目がないかもしれませんね……

 スペルビアですら、私を超える速度で移動するのですから、アヴァリティアはそれをも陵駕するでしょう。

 最悪、以前の重ねがけで対処しますか……



「それで、厄介と言っていた《怠惰》はどのように?」

「彼女の《言霊》は《意気沮喪いきそそう》。やる気など、気力を一気に消し去る能力です。イラを鎮められる、唯一の存在でもあります」



 《天変地異》を起こす人物を止められるとは……

 結局のところ、《憤怒》:イラも、やる気で動いているわけですね。これは、のちの戦闘で使えるのでは? これで鎮めてしまえばいいわけですからね。

 いっそのこと、《七色の大罪(モルトリア)》全員をよい職に就けさせるのもありですね。



「私、決めました!」

「決めたとは……なにを?」

「《七色の大罪(モルトリア)》全員、教師へと転職させます!」

「……は?」



 先生は、口をあんぐりと開け、こちらをただ見つめる。

 「は?」じゃなくて、「セリアちゃん天才! 最高!」とか言ってもいいのですよ? いや、むしろ言ってください!



「あの……わたし、完全に空気ですよね?」



 アイリスが、おずおずと手を挙げる。

 確かに、先生との情報交換が多かったですからね。

 彼女に聞かせると、不安を煽るかもですし、先に帰らせ――いや、帰りに襲われると面倒です。それなら、ここにいてもらいますか。



「すみません、アイリス。これもあなたのため。少し待っていてもらえると助かります」

「は、はい……!」



 聞き分けのいい子で助かりましたよ。ここで騒ぎ出されると困りますからね。元気が取り柄ですから、我慢できない可能性がありましたけど。

 それにしても、面倒な人たちばかりとは、とんでもないグループを作ってくれたもんです。



「ひとまずは、《七色の大罪(モルトリア)》をぶっ壊す! という形でよろしいですか?」

「ぶっ壊さなくてもいいとは思いますけど……」



 そうですかね? そのうち受信料とか徴収に来ますよ。まあ、居留守を使いますけど。

 詳しいことは明日にでも話しましょうか。



「時間も時間ですし、今日のところはこれくらいにしておいてやる!」

「どうして負けた不良みたいになっているのですか」

「では、私たちは帰ります。お、覚えてやがれー!」

「おととい来やがれー!」



 遠くから、私の声に返してくる先生の声が聞こえてくる。

 あの人、ノリがいいですね。

 


     ◇

 


 日が経ち、円卓へと集まった、昨日のメンバー。

 リーダーであるイラは、円卓をバンッと叩き、《怠惰》のメイド少女、ピグリティアへと迫る。



「ピグリティア、昨日はやってくれたわね!」

「はて、なんの話でしょう?」

「昨日の会議よ! なんの話もつかず、進展なしじゃない!」



 とはいえ、ピグリティアが止めていなければ、イラの《言霊》である、《天変地異》によって、世界が滅んでいた可能性もある。



「わたくしが止めねば、世界滅亡ルートにネコまっしぐらでしたよ」

「アタシは《言霊》を制御できてるの。一度見たことあるでしょ? 他は知らないけど、流通している情報とは違うの。……ネコ?」



 そう。《憤怒》イラは、見るものすべてを破壊すると言われる《天変地異》を、任意の状態で発動できる。

 怒りの感情が人より大きい彼女は、《天変地異》で湧き起こる怒りに勝るのだ。

 そのため、《言霊》による制御を無理矢理押さえ込み、制御可能な状態で使用している。

 酒は呑んでも呑まれるな状態。

 《天変地異》を使用するならば、《言霊》に呑まれないようにしなければいけない。



「それで、あの二人はどうしたの?」

「あー……。ウチが見に行ったら、グーラはお腹いっぱいで寝てて、インヴィディアはゲームしてた」

「あ・い・つ・ら~~!!」



 自分勝手がすぎるメンバーに、イラは怒りを募らせる。

 ガンガンとじだんだを踏み、「ああぁぁあ!!」と叫びを挙げる。



「イラ、ちょっと落ち着きなよ」

「これが落ち着いてられるかっての!」



 円卓に手を叩きつけた瞬間、ミシミシと音を立て、一部が崩れ落ちる。



「あっ……《言霊》が……」



 ここで全員が、



(((制御できてないじゃん!)))



 と思いはしたが、言ったあとが怖いため、口には出さないでおいた。



「……アヴァリティア、直しておいて」

「えぇ、ウチ? そんな技術あるわけないじゃ~ん」

「じゃあ、インヴィディアにでも頼んでおいて」

「まあ、それならいいけどさ……(自分で頼んでよ……)」



 イラがこちらを睨んだ気がしたが、アヴァリティアの勘違いだったようだ。

 あの破壊力を持つ《言霊》を目の前で見せられ、さらには心を読め始めたら、いよいよ命はないと思わねばならない。

 椅子に座りながらも、うつらうつらとしているピグリティアをよそに、しびれを切らしたルクスリアが、イラへと声をかける。



「ねえ、ワタシの話ってどうなったのかしら?」

「えっ? あー……じゃあダメ」

「適当すぎない!?」



 これには、二人も同意の意を示すように、こくこくと首を縦に振っている。

 自身に同情をしてくれる人がいることを知れたことで、なんとか心の平衡を保つ。



「リーダーに止められたら辞めるに辞められないわよね……」

「ルクスリア、もう少し頑張って。ウチは安定して盗賊としてやっていけるから、辞めるつもりはないけど」

「わたくしは、寝ていてもお給料が入るので、辞められない止まらない、か○ぱえびせんです」



 二人には目的があるようで、ルクスリアにもなにかしらの目的を見つけ、やりがいを見出ださせようとしているようだ。



「目的を持つのね? それならワタシは、男を従属させまくるわ!」

「「「は、ははは……」」」



 あのイラですら引かせるルクスリアが、ある意味ではトップなのかもしれない。

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