表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
語彙力最強少女の英雄譚  作者: 春夏冬 秋
第一章 《王女護衛》編
10/98

9.入学

 私、セリア・リーフの朝は早い(初日)。

 アイリス宅で仕えているメイドさんたちによる朝支度。

 髪型のセットなどをやってもらい、鏡を見てみれば、思わず「おぉ……」と声が漏れる。

 そこに映っているのは、右目があお、左目がみどりのオッドアイ。

 そして、腰までの銀がかった白髪をハーフアップにした、まさに美少女と言える少女が。

 来たる本日は、《ワーディリア学院》の合否発表。

 まあ、合格の条件はおそらく実戦試験での様子でしょう。

 私からは手を出すことなく勝利した実力があります。なんなら、高原をさら地にして見せました。

 ふふっ、合格はもちろん、首席だって取っちゃいますよ!

 アイリスも合格して、晴れて二人でゴールインですね。



「セリアさん。わたし、合格できるでしょうか?」

「もちろんですよ。試験でも頑張ってましたし」

「わたし、セリアさんみたいに才能もなくて……」

「……いいですか? 会って短いのでわかりませんが、アイリスの言うとおり、才能がないのかもしれません。ですが、努力は誰もが見ていますよ」



 私の言葉でアイリスは目を見開く。

 その顔色は明るくなり、グッと胸の前で拳を握る。



「そう、ですよね! わたし、なんだかイケる気がしてきました!」

「そうですか。それはなによりです」

「二人とも、学院までどうやって行くのかね? 希望なら、家の者に送迎させるが」



 お父様に問われる。

 交通手段ですか。私はなんでも構わないですが……



「せっかくだから、セリアさんと歩いて行くよ」

「そうか。セリア君もそれでいいかね?」

「ええ、もちろんです。アイリスの思うままに」



 今の言い方だと、従者っぽいですね。メイドさんみたいでこれはこれで……。昔憧れていたのは内緒です。

 


     ◇


 

 学院へと向かうために外に出ると、青い空にポツンと佇む太陽がジリジリと肌を焼く。日焼け止め塗らなくても大丈夫ですかね?

 やはり、朝の街というのもいいものですね。

 商店街が活気づき、店主の方やお客さんの笑顔が、さらに街を明るくしているように感じます。

 家にいては、こんな世界を知ることはなかったでしょう。

 もしかしたら、私の死は、外の世界を見せようとした運命の仕業なのかもしれませんね。

 私のために泣いてくれた両親には悪い言い方ですが、転生も悪くないですね。

 アイリスへの襲撃がなければ、さらにいいものとなるでしょうに……

 大本を潰すことが依頼の達成条件ではありますが、昨日までの護衛報酬として、少々ではありますがお金をいただいています。

 アイリスに立て替えてもらった分は返してあるので、私にも遂にお小遣いが!

 武器でも欲しいところですね……

 先日の戦闘でも、武器がなく、単純な戦闘が不可能でしたからね。あれは不便でした。



「アイリスは武器などは必要ないのですか?」

「ゆくゆくは必要だとは思いますけど、《言霊》が飛び道具を使用するので、使い捨てなんですよね」



 確かに、アイリスの《百発百中》は、投擲物などを必中させるもの。武器となると、銃や弓になるでしょうが、弾や矢は使ったきり。戻っては来ませんからね。



「うぅむ……。それだとコストが高いですもんね」



 王家とはいえ、お金を湯水のように使えるわけではないですからね。当然ですが、お金は有限です。



「それでしたら、今日のところは見送りましょうか」

「そうですか? それでは学院へ向かいましょう!」



 そういえば、学院ではなにを勉強するのでしょう。

 戦闘について。《言霊》について。いろいろ浮かびますが、結論には至りません。

 もし騎士団ギルドへ入るために様々な勉強をするのであれば、私には必要ないですが。

 とはいえ、学校に通うというのは憧れだったので、意味がなくとも通いはするんですけどね。



「セリアさんは、学院でしたいことってありますか?」

「そうですね……。友だちをたくさん作りたいですね」

「ほうほう。いいですね! わたしは、たくさん勉強したいです!」



 はしゃぐアイリスを見ていると、なんだか親になった気持ちになります。天真爛漫てんしんらんまんな娘みたいな感じですかね。

 学院は目と鼻の先。アイリスが楽しみにしているので早く向かいましょうか。


 

     ◇

 


「うひゃあ! 人がたくさんいますね~! みんなが同じ学校に入ると思うと夢が広がります!」



 試験があるのなら、当然落ちる人が出てくるわけですが……

 まあ、喜ぶアイリスに水を差す必要もないですからね。



「セリアさん! わたしたち、合格してました! 同じクラスですよ!」



 クラス分けの表を見ながら、アイリスがはしゃぐ。

 私も表を確認してみると。



「おや、確かに同じクラスですね。それはよかったです」

「わたしもうれしいです!」



 アイリスと同じクラスなのはうれしいのですが、護衛任務もあるため、近くで見ていられるのは僥倖ですね。

 しかし、この規模の学院を迷わずに歩くのは大変です。

 自分の教室に向かうのもひと苦労ですよ。

 迷いに迷って約一〇分。ようやくたどり着いた教室は、一〇〇人ほどが入るであろう広さ。

 教壇には筋肉質な男性が。担任教諭でしょうか。女性がよかったです。

 あと、黒板に『力はパワーだ!』と書かれていたのが気になりましたけど、それはスルー。

 この人、なにか一物いちもつ抱えてそうですね。



「よし、みんな集まったな! 俺の名前はゲイル・マーシェル! お前たちの担任を務める。よろしく!」



 うわ、暑苦しいタイプですね。そのうち、「もっと熱くなれよ!」とか言い出しますよ。



「どうしたお前ら! なんだか冷めてるぞ! もっと熱くなれよ!」



 本当に言うとは思いませんでした。

 太陽からすれば、地球が寒いのと同義です。ゲイル先生が熱すぎるんですよ。



「今日は戦闘の授業をおこなう! 闘技場に集まれよ!」



 それだけ言い残すと、のしのしと教室から出ていってしまいました。

 初日から授業とは、なかなかにぶっ飛んでますね。

 戦闘ですか……。あまり得意ではないのですが……

 ひとまずは闘技場へと向かいますか。


 

     ◇


 

 実戦試験で使用した場所が闘技場だったようですね。相変わらずの広さです。

 闘技場の中央には、ゲイル先生が腕を組んで仁王立ちで待ち構えています。

 多分ですが、セーブしておいたほうがいいですね。負けたら、ダンジョンの初めからやり直しだと思います。



「よしお前ら! これから俺と、自信のあるやつが一対一での戦闘をおこなう! さあ、強いやつは出てこい!」



 自信のある人なんているんですかね。

 ……なんですか? みなさん一斉に私の方を見て。

 私はやりませんよ? 先生から指名されない限り――



「よし、そこのお前だ! 確か……セリア・リーフだったな。全員から注目を浴びるほどなんだろう?」



 はぁっ!? 勘違いも甚だしいですが、指名された以上は仕方ありません。



「先生……、本当に私でいいのですか?」

「もちろんだ! 面白くないと思って、お前たちの《言霊》は見ていない。ちなみに、俺の《言霊》は《本末転倒》。ここまで言えばフェアになるか?」



 私が女だからと舐められているようですね。字面が気持ち悪いですが。

 《本末転倒》、物事の結果と過程や目的と手段が逆転すること。

 この能力は、そのまま結果と過程を入れ換えるもの。戦闘であれば、戦い方や戦況に関わらず、傷の状態や勝敗を入れ換える力。

 しかし、私との戦闘で自身の《言霊》を明かすなど、負けるための行動としか思えません。ボコボコにしてやりますよ。



「あえて《言霊》を言ったのは、戦況の逆転能力など、使うまでもないってことだ」

「へえ。そんなことを言っていていいんですか? 言っておきますが、先生――負けますよ?」

「なんだ、動揺でも誘おうってか? 言っとくが、小娘に負ける気はないぞ! なんなら、負けたら教師を辞めてもいいくらいだ!」



 おっと、今、私にとって聞き逃せない言葉が出ましたね。



「言いましたね? わたしに負けたら辞職すると」

「ああ、男に二言はない!」



 さすが男前ですね。あちらから辞職していただけるのはありがたいです。私の責任になりませんからね。



「それで、ルールのほうは?」

「相手にギブアップと言わせたほうの勝ち。《言霊》の使用もありだ」

「わかりました。では――参ります!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ