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7 いい人っぽいんだけどなぁ

 西守さんは最低限の物はすでに持ってきていた。制服はもちろん、歯ブラシ、着替え、教科書、バックなどなど。

 他にも結構持ってきていたが、説明したらきりがないのでやめておく。図々しくあれ貸してこれ貸してと言われる事がないので少しほっとしている。例え一緒に暮らすことを承認していたとしても図々しい態度を取られたら追い出したくなるものだ。

 まぁ、西守さんは図々しいどころか謙虚な子で私の方が恐縮してしまうくらいだけど。


「学校でもなるべく一緒に行動したいところですが、田中さんはどう思います?」


「んー……」


 さすがに学校で西守さんと親しくしてたらファンの方々に多大な敵意を向けられそうだ。西守さんのファンの中にメンヘラチックな子が数人いると聞く。男女ともに人気がある西守さんと友達すらまともにいない私とじゃレベルが違いすぎる。


「うん、やっぱり学校では別行動にしよ。話しかけたりするのはありだけどベッタリするのはなしってことで」


「わかりました。校門が見えてきたら離れましょうか?」


 あ、そっか。こんなところ見られたら質問攻めに合うのは目に見えている。

 さすが西守さん。気が利く。


「できればそうしてほしいかな。というか校門が見えてきたら私が西守さんから離れるよ。私の都合だし」


「わかりました」


 何となく西守さんの横顔を伺った。

 外見は申し分ない。性格だって謙虚で好ましい。

 いい人っぽいしだからこそ不思議に思う。西守さんは確実に何か隠している。

 いったいお父さんをどんな風にして言いくるめたのか。お金でも渡したのかな?

 ……いや、それはない。お父さんは結構給料のいい会社に勤めている。お金持ちって訳じゃないけど娘を一人暮らしさせるくらいのお金はある。


 お金じゃないとするとなんなのだろうか。

 脅し?

 西守さんのような人がそんなことをするとは思えないけど……。まだ知り合って一日しか立ってないのに色々考えるのは早いだろうか。

 もう少し西守さんのことを知ってからこの事を考えた方が良いかもしれない。


「西守さん」


「なんですか?」


 誰かのことを知ろうとするならやはりコミュニケーションしかないだろう。

 私は適当に好きな食べ物や嫌いな食べ物、好きな色や好きな教科などを聞いていった。

 西守さんは私の質問に答えた後、必ず私にも聞き返してきた。私は嘘偽りなく答えていった。こんなことで嘘ついても意味ないし、誰かのことを知ろうとするなら自分のことも知ってもらはないといけないと思うから。それが公平ってもんだ。


 私たちは校門が見えてくるまで話し込んだ。何てことない。普通の会話を。

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