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Cafe Shelly

Cafe Shelly 主役は誰だ?

作者: 日向ひなた

 どうして俺様の言うことをみんなわかってくれないんだ?

 これは物心ついたときからの疑問だった。俺様、と自分で言っているが、俺は並の人間ではないことを自覚している。何しろ家が金持ちだ。親父は財閥と言われる会社の経営者。いくつもの会社を牛耳っている。母親は地域の実力者。表舞台には出ないが、政治家や経済界の奥様たちの相談役となり、そこから政財界を動かしている。

 そして一人息子の俺、今年で二十歳になる。エスカレーター式の学校に行き、今はその大学に通っている。といっても、俺も馬鹿ではない。高校の時には相場理論を把握し、個人的に億の資産を築いた。それに飽き足らず、文学の世界も極めようと思い一本の小説を書いたら、それが某出版社の新人賞も獲得してしまった。

 こういったことは数えればまだまだ出てくる。あ、もちろんスポーツについてもそれなりに極めている。今は乗馬をやっているが、あわや国体選手に推薦される寸前だった。だが、国体に出るなんてめんどくさいので、競技会でわざと失敗をしたんだが。

 こんな感じの人生だから、世の中は俺様を中心に動いているといってもいいんじゃないか?なのに、周りの連中は俺様の言うことをきかない。

「かずさくん、今日はつきあえないよ。ゴメン」

「おい、せっかく俺様が飲みに行こうって誘っているのに、つきあえないってどういうことだ?」

 今日は気分がいいから、ワインバーにでも行こうと思って大学の友だちを誘ったんだが、つきあえないと断られた。

「いや、今日はバイトが入っているからさ」

「バイト?お前、そんなことやってんのかよ。よしわかった、そのバイト代と同じ額を出してやるから。それならどうだ?」

「そういう問題じゃないんだよなぁ。かずさくんさぁ、バイトとかしたことないでしょ。ボクが休んじゃったらお店に迷惑がかかっちゃうから」

「迷惑?そんなの関係ねぇ。それよりも今お前が俺様に迷惑をかけてるじゃねぇか。そっちはどうなんだよ?」

「迷惑って、そんなぁ。バイトのシフトのほうが先に決まってることだし…」

「んとに話のわからねぇやつだなぁ。わかったよ、他を当たるよ」

 せっかくワインバーに行って、そこに来ている女の子とでも仲良くなろうと思ったのに。俺様は言っちゃなんだが、ルックスもダントツ。中学の頃にモデル事務所にスカウトされたこともある。今まで女の子で不自由をしたことはない。ちょっと声をかければ、間違いなく落ちる。

 こんな感じで、最近はみんな俺様の言うことを聞かない。俺様の言うとおりにしておけば、お金にも女にも不自由しないというのに。まったく、みんな頭が悪いんだからなぁ。

 さてと、仕方ないから一人で街をぶらつくとするか。何気なく街を歩く。それなりに人混みもある。にしても、みんな何考えて生きているんだか。ダサい格好のやつらばかり。よれよれのスーツを着たサラリーマンに、人生に疲れを感じている主婦。若い奴らも未来に希望なんて持っていないって感じだし。これといった奴らはいないな。

ドンッ

「あっ、ごめんなさい」

 やたらと荷物を持った若い女性と肩がぶつかった。その荷物の持ち方じゃ、前もまともに見えないんじゃないか?

 すると、ぶつかった拍子に持っていた荷物が傾き、一番上の箱が落ちそうになった。

「おっと、気をつけて」

 箱をささえてあげる。このときにその女性の顔を見る。可愛い女性なら夜のお誘いでもと思ったのだが。これがまた、ちょっと残念な感じ。おかっぱ頭で背が低く、メガネをかけたダサいイメージ。うぅん、パス。

「あ、ありがとうございます」

 そう言って女性はそそくさと足早に去っていく。なぜだかその後姿が妙に気になるじゃないか。

 その女性、ヨタヨタしながらも大荷物を抱えてどこかへ向かっている。方向転換し、その女性の後をつける。おそらく年の頃なら二十代前半。後ろ姿しか見えないが、オレが相手をする女の部類ではない。なのに、何が気になるんだろう。よくわからないまま、探偵よろしく後をつける。

 すると、その女性はとある建物の中へと入っていった。ちょっと小汚いビル。女性はエレベーターを使わずに、大荷物を抱えたまま階段を上がっていく。俺も距離をおいて階段を上がる。すると、二階の部屋の前で立ち止まり一言。

「あけてー」

 この声で中から男性が出てきた。

「ごくろうさま。いつも悪いね」

「いいんです。私、このくらいしかできないから」

 そう言って部屋の中に入る女性。それを見届けてから、その部屋へと近づく。すると、中から突然怒鳴り声が聞こえてきた。

「だからダメだって言ってるじゃないかっ!」

「そんなこと、今更言われてももう遅いわ」

 男性と女性が言い合っている声。なんだ、ケンカか?

「ピエール、あなたはもう昔のあなたじゃないのね」

 ピエール?片方は外人か?でも、さっきの男は間違いなく日本人だったし。

「ジュリア、君こそ」

 ジュリア?なんなんだ?混乱してきた。

 ドアに耳を近づけ、更に中の様子を伺おうとしたそのとき

ガチャリ

 急にドアが開いた。その拍子でドアに頭をぶつけてしまったじゃないか。

「いてっ」

「あ、ごめんなさい」

 出てきたのはさっきの女性。

「いってぇなぁ。俺様になにしやがるんだ」

「ま、まさかこんなところに人がいるなんて思わなかったから」

「おい、なんだ、どうしたんだ?」

 すると、中から次々と人が現れてきた。どうやら十人くらいはいるようだ。けれど、外人の姿なんてない。みんな日本人じゃないか。

「ドアを開けたら、この人がいて頭をぶつけてしまったんです」

「なんだ、こいつ。覗きでもやってたのか?」

 さっき顔を出した男性がそんなことを言いやがる。

「おい、俺様にそんな失礼なこと言っていいと思ってるのか?」

「おい、俺様だってよ。なんかすげーヤツだな。オレたちの劇団になにか用でもあるのか?」

 劇団?なるほど、それで合点がいった。さっきのピエールとかジュリアってのは役名なのか。悪いが俺様は役者というものに対しても造詣が深い。一流の劇団を見てきただけでなく、演技についてもそれなりに極めてきた。そんな俺様に演劇を語らせようといううのか?

 ここであることを思いついた。

「おい、お前たちの演技を見てやるよ。俺様に評価されるなんて光栄に思うんだな」

「なんだこの若造。バカ言ってんじゃねぇよ。てめぇなんかに何が判るってんだよ」

「じゃぁ台本貸してみな」

 そう言って、一人が手にしていた台本を奪う。そしてパラパラとめくって、さっき聞いたセリフのところを見つけた。ここだな。

「ピエール、あなたはもう昔のあなたじゃないのね」

「ジュリア、君こそ」

 俺様得意の一人芝居。そこからしばらくセリフをちら見しながらも、完璧に役をこなす。

「どうだ」

 間のいいところで芝居を終える。そして連中の顔を見る。すると、ポカンとした表情。そしてあの冴えない女性が拍手を始めた。それにつられて他の連中も思わず拍手。

「いやぁ、バカにしてすまなかった。まさかこんなに素晴らしい演技を見られるとは思わなかったよ。君、ぜひうちの劇団に入ってみないか?」

「おいおい、俺様を何者だと思っているんだ?こんなところでお芝居をやっているほど、俺様は暇じゃないの。でもまぁ、演技指導くらいならやってもいいかな」

 そう言うと、ヒゲの親父がムカッとしたようで、俺様の前に出てきた。

「おい、さっきから聞いてりゃなんだ、その上からの態度は!」

 ほう、そうきたか。俺様のことを知らないやつらは、どうして短気なんだろうなぁ。どいつもこいつも、俺様の言うことをわかってくれないんだから。俺様の言うとおりにしていれば、万事うまくいくというのに。

「はいはい、あんたらみたいな凡人にはわからない世界だからね。ま、せいぜい三文芝居をがんばりな」

 そう言って去ろうとしたとき、あの冴えない女性が俺様の前につかつかとやってきた。そしていきなり

パシィッ

 なんと、俺様の頬を平手打ちしたじゃないか。なんなんだ、この女?

「くやしいけど、あなたの演技は完璧でした。うらやましいくらいに。でもね、みんながんばってるの。みんなが主役となって、このお芝居を盛り上げて、見ている人に感激してもらおうと一生懸命なの。そんな努力も知らないあなたに、私達のことを批判されたくないのっ!」

 目に涙を浮かべながら俺様に反抗してきやがった。泣くくらいなら反抗するんじゃねぇ。

「ったく、めんどくせぇなぁ。はいはい、わかりましたよ。俺様は邪魔なんだろ」

「そうは言ってない!」

 またこの女が叫ぶ。じゃぁ俺様にどうしろっていうんだ?

「あなた、人に感激してもらったことってあるの?」

「感激?そのくらいあるさ」

 そう言ってはみたものの、自分自身が感激したという気持ちを抱いた記憶がない。なにしろ俺様はなんでもできてしまう人間だから。できてあたりまえ、できないほうがおかしいといつも思っている。だから一生懸命やっている連中がダサく見える。

「どうなのよっ!」

「うるせぇっ。俺様に指図しようっていうのか?」

「あなたが何者か知らないけれど、人が一生懸命になっている姿に対して何も感じないなんて。あなたって人間じゃないのね」

 俺様に対してここまで言い切るやつなんて今までいなかった。なんなんだ、こいつは。

「マキちゃん、そのくらいにしておけよ。こんなやつ、相手にする方がおかしいんだ。どこの誰だか知らないけど、オレたちのジャマをするんじゃねぇ。もう帰ってくれ」

 ヒゲの男がそう言うと、マキと呼ばれた女がなぜだかさらにムキになってこんなことを言い出した。

「あなたに本当の感激を教えてあげる。私についておいでっ!」

「お、俺様に命令しようってのか?いい態度じゃねぇか」

「つべこべ言わずについてきなさい!」

「あ、はい」

 その迫力に負けてしまい、つい「はい」と返事をしてしまった。マキはみんなに一礼をして、俺様の腕を掴んで部屋を出ていく。

「おいっ、俺様をどこに連れて行こうっていうんだ」

「黙ってついておいで!」

「あ、はい」

 なぜだかマキの勢いに飲まれてしまう。あらためてマキという女性を見る。背は低く、おかっぱ頭でメガネをかけて。最初に見たときにはこんなに気の強い、勢いのある女だとは思わなかった。なのに、俺様の腕を掴んで引っ張っていくなんて。しかも、俺様がどうしてこの女に従って動いているんだ?ホントになんなんだ、この女は。

 マキが連れてきたのは、さっきのビルからそれほど離れていない街なかにある通り。ここは知り合いのブティックがある通りだ。そのブティックを横目に、どんどん進んでいく。そうして通りの中ほどに来たときに、マキの足はようやく止まった。

「ここよ」

「ここってどこだよ?」

 マキはビルの二階を見ている。どうやらお目当ての場所はここの二階にあるようだ。

「ついておいで」

 さすがに階段を上がる時には、マキは俺様の腕から手を離してくれた。俺はマキの後ろを追って階段を上がっていく。

カラン・コロン・カラン

 ドアを開くと心地よいカウベルの音。同時に漂ってくるコーヒーの香り。さらに甘いクッキーの香りも。その瞬間、今までにない感覚が俺様を包み込んだ。

「いらっしゃいませ」

 かわいらしい女性の声。見ると、髪が長くて目がパッチリした、俺様好みの女性がそこにいるじゃないか。今さっきまで俺様の腕を掴んでいたマキとは大違いだ。

「あれ、マキちゃん。今日はどうしたの?なんだかいつもと様子が違うけど」

 その声がする方向を向くと、カウンターにはこの店のマスターと思われる男性がコーヒーを淹れていた。

「マスター、この人に感動を教えてあげてくださいっ!」

 マキは俺様を指さしてそう言う。おいおい、乱暴なやつだなぁ。

「ははは、まぁ落ち着いて。どうぞこちらへ」

 マスターはカウンターへ誘導する。その言葉通りに座ると、マスターがオレの顔を覗き込むように見る。

「あれっ、あなたはもしかしたら…」

 なんだ、俺様のことを知っているやつがようやく登場したか。というか、あの劇団の連中が俺様のことを知らなすぎるんだよ。

「やっぱりそうだ。綾小路和総さんじゃないですか?確か高校生ながら文学賞の新人賞をとった。けれどそのあと姿を見せないから、どうしたんだろうって思っていたんですよ」

「いやぁ、そんなこともありましたね。まぁ俺様くらいになると、その程度のものは簡単にとれてしまいますからね」

「えっ、あ、あなた、綾小路和総さんだったのっ!?」

 マキが驚いたように俺様の顔を見る。

「そうだけど、なにか?」

「あ、綾小路和総さんといったら演劇の世界でも有名です。高校生の時の舞台が伝説になってて。私、ネットの動画で見たことがああります。あの演技力はすごかったです。でも、今とは雰囲気が違ってて…」

「ふんっ、あれはあくまでも演劇の世界の俺様だからな。さっきも見ただろう。俺様は何にでもなれるんだよ」

 やっと俺様に気づいたのかよ。まったく、凡人はこれだからなぁ。

「でも、やっぱりあなたは本当の感激を感じたことがないって思うの。マスター、この人にシェリー・ブレンドを飲ませてあげて」

「かしこまりました」

 マスターはそう返事をすると、コーヒーを淹れ始めた。

「綾小路さん、今までの私の失礼な態度については謝ります。けれど、私達が努力をしてみんなを感激させようということに対して、あまりにもあなたの態度が私達にとっては失礼であることはわかってほしいんです」

「俺様の態度が失礼?ご冗談を。演劇の世界でも、脇役は主役を目立たせるための存在だろう?この世の主役である俺様が、どうしてこの程度のことで失礼だと言われるんだ?」

「あなたがこの世の主役?」

 マキはそう言うと、くすっと笑った。何がおかしいんだ?

「おい、何笑ってんだよ」

「いやぁ、まさかそんなセリフを真顔で言える人がいるなんて、思いもしなかったから。あはは、あなたがこの世の主役かぁ。うん、すごいすごい」

「きさま、バカにしてるのか?」

「うん、バカにしてる」

「ど、どういうことだ。俺様に逆らおうっていうのか?」

「うん、逆らおうとしてる」

 真顔でそう反論されて、こちらもこれ以上言葉が出てこない。ったく、なんなんだよ、この女は。

「まぁまぁ、落ち着いて。はい、シェリー・ブレンドです。飲んだら味の感想を聞かせてくださいね」

 ドラマなら間違いなく脇役であろうマスターが、俺様たちの会話に割って入りコーヒーを出してきた。ったく、それにしてもマキの態度は腹が立つ。

 そう思いつつ、コーヒーに手を伸ばす。俺様はコーヒーにはうるさい。今まで世界中のありとあらゆるコーヒーを口にしてきた。幻のコーヒーと呼ばれるものや、希少価値の高いものも味わった。そんな俺様に、こんなチンケな喫茶店のコーヒーが口に合うとは思わないんだがな。

 んっ、香りはいいな。このマスター、なかなかやるじゃないか。

 さて、コーヒーの味はどうだ?期待しつつ口に運ぶ。

 うん、うまい。期待以上の味だ。いや、なんだかちょっと違うぞ。今までに感じたことのない味だ。ナンバーワン、いや、周りにはこの味に匹敵するものはない。まさにオンリーワン。まるで俺様そのものを象徴するような、そんな味がする。このコーヒーは俺様のためにあるコーヒーと言ってもいいくらいだ。

「お味はいかがでしたか?」

「いやぁ、驚いた。まさに俺様のためにあるようなコーヒーだ。今まで飲んだどんなコーヒーとも違う。まさにコーヒー界の主役と言ってもいいくらいの味がするね。うん、これは他にライバルなんていないな」

 俺様には珍しく、べた褒めをしてしまった。

「なるほどねぇ。あなたっていつも他とは違う、ライバルなんていない、常に主役でありたい。そういう願望があるのね」

「が、願望とは失礼な。俺様はいつも他とは違うし、ライバルなんていやしない。そもそも俺様がこの世の中の主役なんだから」

「だから、そうありたいっていう願望丸出しじゃない」

 マキは俺様の言葉をあっさりと「願望」という言葉で受け流す。凡人はこれだからなぁ。俺様の才能は、主役になるべく神から与えられたんだから。

「なるほど、綾小路さんは世の中の主役が自分だとおっしゃるのですね」

 マスターがにこやかな顔でそう言う。こいつ、何が言いたいんだ?

「かずさでいいよ。みんなからはそう呼ばれているし」

「ではかずささんに一つお聞きします。主役ってどんな気分ですか?」

「主役の気分?そりゃ、気持ちいいに決まっているだろう。俺様のことを周りの皆んなが見ている。スポットライトを浴びて、俺様の生き様をみんなが注目して、そして褒め称える。うん、こいつは気持ちがいいや」

「なるほど、主役ってそんな気持ちになれるんですね。ところで、周りの皆んなとおっしゃいましたが。そんなにいつも注目されているのでしたら、プライベートの時間なんてないんじゃないですか?」

「そうなんだよ、それが主役のつらいところでね。いつも周りから見られているから、気を抜く暇もなくてね」

「その割には、さっきは暇そうにしてたじゃない。私達の劇団をのぞき見する余裕があったくらいですからね。それに、みんなといっても、私もついさっきまであなたが綾小路和総さんだなんて知らなかったし」

 うっ、ちょっと痛いところを突かれた。確かに俺様の存在を知らない奴らが世の中にはいる。

「主役、主役と言っても、誰も知らないんじゃ本当の主役とは言えないんじゃないかなー」

「うるせぇっ!お、俺様に逆らおうっていうのかっ!」

「あら、逆らっているつもりはないわよ。事実を述べただけ。実のところ、あなたが思っているほど周りはあなたのことを知らないし、あなたのことを主役だなんて思っていないってことよ。そもそも、この世の中の主役があなただって、誰が決めたのよ?」

「誰が決めたって、それはもちろん、俺様に決まってるじゃないか」

「ってことは、あなたの世界の中だけでそう決めただけってことよね。じゃぁ、私もそうする。私の世界の主役は私。あなたは私のことを目立たせてくれる脇役でしかないわ」

「お前が主役?ははっ、そんな冴えないおかっぱのちびメガネの女が主役だなんて、笑っちまうな。せめてここのウエイトレスさんくらいきれいで可愛い女性ならわかるけど」

「いやぁ、妻のことを褒めてくれてありがとうございます」

 えっ、妻?マスターの言葉に、俺様は驚いた。妻ってことは、マスターとあのウエイトレスさんは夫婦ってことか?とてもそうは見えない年齢差だけど。

「私と妻のマイは年の差婚でしてね。実は私の元教え子なんですよ」

「教え子?」

 まだよく状況がわかっていない。一体どういうことだ?

「私は以前は、駅裏にある学園高校で先生をしていたんです。マイはその時に私のクラスの生徒でした」

「えーっ、じゃあその頃から奥さんに手をつけちゃったとか?」

 マキのやつ、露骨に質問するなぁ。と思いつつも、俺様も気になるところだ。

「ははは、さすがに高校生には手をつけませんよ。マイが大学生になった時に、面白い講演会があったから誘ったんです。そこからなんだかんだある時に、一緒に行動するようになりまして」

 マスター、なんか遠い目で語ってるなぁ。でも面白いじゃないか。続きが聞きたくなる話だ。

「それから?」

 マキも続きが聞きたいらしい。

「一年ちょっとつるんだ時に、私から告白したんです。そうしたらOKしてくれて。下手すると親子ほどの年の差ですけど、なんかマイだと自然に振る舞えたんですよね」

「じゃあ、いつ結婚したんですか?」

「はい、マイが大学を卒業して、その年の六月です」

 照れながらも話してくれるマスター。この時、俺様の頭の中では小説のプロット、いや、演劇のシナリオができつつあった。

「マスター、その話なかなか面白いじゃないか。こういうのを演劇にするといいんだよ。いゃぁ、マスターって最初は脇役キャラかと思ってたけど、意外にもメインキャストとして使えるなぁ」

 俺様の言葉を聞いて、マキがニヤリと笑ってこう言い始めた。

「って事は、マスターも主役になれるってことよね」

「ま、まぁな」

「じゃあ、この世の中の主役ってあなただけじゃないってことよね」

「うっ…」

 マキのやつ、なかなか痛いところを突いてくるじゃねぇか。

「ははは、まぁ綾小路さんの人生では、綾小路さん自身が主役なんでしょう。私は私の人生の中で主役を演じさせていただきますので」

「そこよ、あなたに足りない考え方は。この地球上に住む人たちに、一人一人それぞれが主役なの。私だって私の人生では、私が主役なんだから。あなたの勝手にはさせないわよ」

「ふんっ、勝手に三文芝居やってろ。どうせ誰もそんな芝居は見ちゃいねぇよ」

「あーら、あなたのお芝居も大して誰も見てないんじゃないの?」

「そんな事はねぇ。てめえだってマスターだって、俺様のこと知ってたじゃねえか」

 どうだ、これなら文句はねぇだろう。

「確かに名前は知っていたわよ。でも、テレビに出てくる芸能人よりも知名度は低いわよね。どちらかというと、頭の片隅に存在していたって感じだし。それに、知ってはいたけれどそれ以上の感情を持っていたわけじゃないわ。それよりも、私はここのマスターやマイさんの方が、私にとっては主役級の存在だもん」

「まぁまぁ、そのくらいにしておきましょうよ。人はそれぞれ、自分の人生の主役であることは間違いないんですから。マキさんも劇団の中では、超重要な役割を担っているんですし」

「えっ、こいつが超重要?どう見ても冴えない女にしか見えないし、とても主役を演じるなんてことはできないよなぁ」

「あれっ、ご存じなかったんですか?マキさんはとんでもない方なんですよ」

「とんでもないって、どういうことだよ?」

 俺様を差し置いて、とんでもない人ってどういうことだ?

「マキさんは脚本、舞台演出、そしてプロデューサー、さらには舞台衣装や音楽までこなす、裏方のプロなんです。そして何より、人を育てるのがとてもお上手で。今度の舞台では、若い監督さんを育てているんでしたよね」

「はい、私は完全にサポートに回ってます」

「おいお前、そういや名前は?」

「名前?マキだけど」

「だから、フルネームは?」

 しびれを切らしてそう言うと、マキはバッグから名詞を取り出して俺様に差し出した。

「鷹野真咲…えぇっ、た、たかのまさき!?」

 今度は俺様のほうが驚いてしまった。鷹野真咲といえば、舞台演出の世界で知らない人はいない。まさに裏方のプロと言われる人物だ。けれど、表舞台には一切顔を出さないので、その人が男性なのか女性なのか、年齢なんかも一切不明。知っている人しか知らない謎の人物だった。

 その鷹野真咲が、目の前にいる冴えないちんちくりんの女性、マキだったとは。

「ど、どうしてマキって呼ばれているんですか?」

 自分でもわからないが、なぜだか急に敬語になってしまった。

「だって、”まさき”って言いにくいじゃない。だから仲間内では”まき”って呼んでもらってるの」

「その、鷹野さんがどうしてあんな小さな劇団に?」

「だって、あそこが私の劇団なんだもん。まぁ、大きな舞台を手伝ってから、私の名前だけが勝手に独り歩きしちゃってるみたいだけど。あの劇団をやってたら、裏方全部やらなきゃいけなくて。それで今みたいになっちゃっただけなんだけどね」

 マキ、いや鷹野さんは謙虚にそう言う。

「で、あなたはいつまで自分が世の中の主役だと思っているの?」

 マスターの裏話を聞き、さらにマキの正体を知ってしまって、正直自分にはできない人生を送っている人がいることをあらためて知った。今までは俺様が世界の中心で、すべての人が俺様のために動いていると本気で思っていた。が、自分には関係のないところで、自分にはできない人生を送っている人たちがいる。

「えっとですね…」

 素直に思ったことを口にすればいいのに。どうしても今までのプライドが俺様を邪魔する。

「まぁいいわ。それじゃさ、まだシェリー・ブレンドが残っているでしょ。それを飲んでごらん」

「は、はい」

 マキ、いや鷹野さんの言葉に素直に従う。カップを手にとり、冷めたコーヒーを一気に口に入れる。

 すると、さっきとはぜんぜん違う味がする。これは冷めたせいではない。今まで飲んだありとあらゆるコーヒーの味が次々と舌の上で感じられる。どのコーヒーもそれぞれの主張をしてくる。苦味、酸味、甘みなどなど。どれも甲乙つけがたい。今まではどのコーヒーが一番なのか、そこばかりを考えて味わってきた。けれど本当は違う。それぞれに個性があり、それぞれに独特の旨さがあるんだ。

「それぞれに、それぞれの旨さがある…」

 ふとつぶやいた言葉。そこから自分が今までナンバーワンの旨さだけを追い求めてきたこと、すなわち主役の座を奪うことしか見ていなかったことに気づいた。マスターにはマスターの、鷹野さんには鷹野さんの人生があり、それぞれが主役である。それぞれに違った個性 鷹野さんの言葉で我に返った。そうだった、今は喫茶店にいるんだった。を生み出し、それぞれに違った味がある。

「何かわかったことがあったかな?」

「えっとですね。それぞれにはそれぞれの人生で主役になっているってことがわかりました」

「うん、それでいい。合格!」

 鷹野さん、そう言って俺様の背中をパシッと叩く。その瞬間、俺様の頭の中で今までボヤッとしていたものがはっきりした。

「そうか、そうだったのか。だからなのか」

「ん、どうしたの?」

「どうして今まで、周りの連中が俺様の言うことをわかってくれないのか。それが一つの悩みだったんですよ。その理由が今はっきりわかりました」

「どうしてなのかな?よかったら聞かせてよ」

「俺様の言うことって、俺様の世界でしか通用しない言葉だったんですね」

「ん、それどういう意味?」

「だからですねぇ…」

 どうして俺様が言おうとしていることが理解できないんだ?また同じ状況だ。すると、マスターがにこやかな顔で俺様の言葉を手助けしてくれた。

「ははは、綾小路さんは頭の回転が早すぎるんですよ。だから、自分の頭の中では理解できていても、言葉の数が足りていないんです。小説では文字に落とし込むので、客観的に頭の中を表現できるからそういうことはなかったようですが」

「そうか、言葉の数が足りないのか。そういう意味だったらよくわかるわ。だからあなたの中の世界でしか通用しない言葉って表現になっちゃうのね」

「そうそう、そうなんだよ。それが言いたかったんだ。マスター、ありがとう」

 ふと出てきた言葉、ありがとう。あれっ、こんな言葉使うの、いつ以来だろう。なぜだかこの言葉を言ったことで、気持ちがスッキリとした。

「あなたもありがとうなんて言うことができたのね。驚いたなぁ」

「う、うるせぇっ!」

「照れるんじゃないの。それでいいのよ。あなたは今まで自分がすべての主役になっていたから、そうなって当たり前、そうならないことに腹を立てていた。そうじゃない?」

「ま、まぁな」

「でも、今は気づいた。それぞれの人生でみんなが主役だってことに」

 そう言われると、何も言い返せない。今まで俺様が主役だと言い張っていたことに対して、急に恥ずかしくなってきた。

「だったらさ、あなたもちょっとだけ立場を変えてみない?」

「立場を?」

「そう。あなたは演劇そのものの才能もあるけれど、文章を書く才能もあるし。それに、いろんな知識も豊富そうだし。そういう人こそ、主役を盛り上げてサポートする側に回るべきよ」

「主役をサポート?」

 そんなこと、考えたこともない。なんで俺様を差し置いて、主役級の人物をサポートしなきゃいけねぇんだよ。

「なるほど、それはいい考えですね。知っていますか?かつての総理大臣の裏側で、日本の歴史を動かしていた人物の話」

「歴史を動かしていた人物?」

 マスターの話、初耳だ。

「はい、一説によると安岡正篤という人がいまして。彼は幼少のときから才能を発揮して、佐藤栄作や岸信介、そして吉田茂という総理大臣の裏側で彼らに助言をしていたそうです」

 名だたる総理大臣の裏側で助言をしていた人がいたとは。でも疑問は残る。

「どうしてその安岡って人は表舞台に出てこなかったんですか?」

「彼は『有名無力、無名有力』という言葉を残しています。この意味、わかりますか?」

「有名無力、無名有力。その言葉からすると、有名になったからといって、人は力を持っているわけではない。むしろ無名のままのほうが本当の力を持った人である。そういう意味かな?」

「さすが、綾小路さん。そのとおりです。だから安岡正篤は表舞台には一切出ることはなかったのです。綾小路さんが知らなくても当然なのです」

「私もそんな舞台演出家になりたいって思っているの。もっともっと、主役になる人を輝かせる。そのためにどうすればいいのかを考える。これが私のやりたいことなの。さらに今は、舞台監督を育てるってことも考えてる。裏方の、さらに裏方として皆んなを輝かせたいの」

「なるほど、それはそれで面白そうだな。俺様も安岡正篤みたいになって、舞台の世界だけでなく多くの主役の裏側にいる存在になるってのもいいかもしれないな」

 俺様の頭の中では、すでにそのシナリオができつつある。なんだかいままでにない展開で、思わずにやりとしてしまう。

「うん、よかったです。綾小路さんの才能はそうあるべきかなって、私も思いますよ」

 マスターもニコニコ顔でそう言う。ここでふと思ったことがある。マスターってもともと主役を引き立たせる存在なのか?

「マスター、一つ聞いてもいい?」

「はい、なんでしょうか?」

「マスターは主役になりたいって思ったこと、ないの?」

「主役、ですか?そりゃもちろん、主役もいいなって思っていましたよ。けれど、私は私の人生の主役であればそれでいい。別に多くの人の前で主役を演じなくてもいい。むしろ、みなさんが自分の人生の主役であることに気づいて、生き生きとした人生を送ることを手助けしたい。だからこそ、シェリー・ブレンドがあるんです」

 だからこそ、シェリー・ブレンド、だと?そういえばこのコーヒー、不思議な味がしたな。殻になったカップを手にとり、どこにその味の秘密があったのかを考えてみた。

 最初に飲んだときには、ナンバーワンと思える味がした。けれど二回目に飲んだときには、世界中のさまざまなコーヒーの味を感じることができた。

「どうして飲むたびに味が変わったんだ?」

「ふふふ、それがこのお店の不思議なところなのよ。私も最初に飲んだときには驚いたわ。あのときは劇団のメンバーとちょっとした言い合いをしたときだったなー」

「そうでしたね。そのときの味が、強い結びつきというのを感じさせてくれた、でしたよね」

 強い結びつきを感じる味?

「お、おい、どういうことだ?ここのコーヒーって飲むたびに味が変わるのか?そもそも、強い結びつきを感じる味って、どんな味なんだよ?」

 どういうことだ、わけがわからない。すると鷹野さんがニヤリと笑ってこんなことを言い出した。

「シェリー・ブレンドにはね、魔法がかかっているの」

「魔法!?」

 さらにわけがわからない。

「ここからはマスターが説明してくれますか?」

「はい。鷹野さんのおっしゃったとおり、このコーヒー、シェリー・ブレンドには魔法がかかっています。もともとコーヒーは薬膳として使われていました。それは飲んだ人の身体の状態に応じて、必要な効能が出ていたんです。その効果が心の面にも表れたのがシェリー・ブレンドなのです」

「心の面っていうことは、つまり相手の今の心理状態に応じて味が変わるってことなのか?」

「はい、そのとおりです。シェリー・ブレンドはその人が今欲しいと思っているものを味で表現してくれます。中には欲しいと思っている状況がイメージとして湧いてくることもあります。鷹野さんがそうでしたよね」

「そうなのよ。私の場合、飲んだときに頭の中でみんなが手を繋いでいる光景が見えたの。だから強い結びつきの味」

「じゃぁ俺様の場合、最初はナンバーワンって味がしたのは…」

「まさにそのとおり、あなたは自分のことをナンバーワンだって周りから認められたいっていう願望が味に出たの」

「その次の、さまざまなコーヒーの味がしたっていうのは、それぞれが主役だってことが答えだっていうことを、俺様に教えてくれたってことか…」

「そうなるわね。どう、ここのシェリー・ブレンドは」

「確かに魔法だ。不思議な味がするけれど、人の心をここまであらわにしてくれるとは…マスター、なんてコーヒーを作り出したんだ!」

 もう驚きしかない。まさか世の中に、こんなコーヒーが存在するとは。

「ははは、驚くことはありませんよ。それにこのコーヒーを焙煎しているのは私ではありませんし。私はただその豆を、心をこめて淹れさせてもらっているだけですから」

「ということは、俺様でもその豆を手に入れれば、こんなコーヒーが淹れられるのか?」

「それが不思議な事に、なぜか他の方が淹れてもそうならないんですよ。私が淹れると、こんな作用があるみたいで」

 なんてことだ。ということはこのマスターの腕がこの不思議な作用を生み出しているのか。驚いた。まさに主役級の人物ではないか。

「さて、綾小路くん。いつまでこの世の中の主役を演じるつもりかな?」

 鷹野さん、あらたまって俺様に向かってそういう。まったく、意地悪な人だ。

「わかった、わかったよ。俺様がいかに自分勝手で、自分のことしか考えていない人間だってことはよーく理解しました。それぞれの人がそれぞれの人生の主役。このことも痛いほどわかりましたよ」

「じゃぁ、これからどのように生きていくかな?」

「どのようにって…まぁ俺様の場合、ある意味自分の将来は決まっているからなぁ。親父の跡をついで、会社の経営の勉強はしないといけない。演劇もやってみたいけど、そんな時間はなくなるし…」

 ここは心残りである。こうやって鷹野さんと知り合えたのだから、もう少しこの分野に踏み込んでみたい気もするのだが。

「あなたはあなたなりに、この先大変な人生を送ることになるのね。そういう意味じゃ、私達のほうが自分勝手で気楽な人生を送っているのかもね」

「なんだよ、さっきまでの勢いはどうしちまったんだよ。もっと俺様に突っ込んでみなよ!」

 鷹野さんにしみじみとされると、こっちの調子が出なくなっちまうじゃねぇか。

「そんなこと言われても…私はあなたのパートナーじゃないし」

 ここで俺様の口から、自分でも思わなかった言葉が飛び出した。

「だったら俺様のパートナーになれよ」

 えっ、ど、どういうことなんだ?なんだ、その言葉は?

 俺様のパートナーってことは、このちびでちんちくりんな女を、俺様のそばにずっといさせるってことなのか?しかも、どう見ても年上の女だぞ。

「はぁっ?あなた、今の言葉どういう意味で言ったのか、わかってんの?」

「ば、バーカ。別に恋人になれとか、そう言う意味で言ったんじゃねぇっ!」

 思わず全否定してしまった。が、なぜだか俺様のハートがドキンドキンしている。おいおい、どうしちまったんだよ。今まで数々の女が俺様とつきあいたくて寄ってきた。けれど、どんなに着飾ったきれいな女も、俺様から見ればなんの価値もない連中。だから決してつきあうなんてことはなかったのに。

「び、ビジネスパートナーとして俺様にどんどんツッコミを入れてほしいって、そう言ったんだよっ!」

 半ば照れ隠しでそう言う。だが、俺様の本心がそうじゃないって言っている。わかってる、わかってるって。でも、ここでその心を認めちまったら俺様の負けだ。こういうのは相手から口にするまで、ひたすら待たなければいけねぇんだ。

「ちょ、ちょっとまってよ。そ、その答えをシェリー・ブレンドに聞いてみるから」

 そう言って鷹野さん、残っているシェリーブレンドを一気に口に含んだ。そして目をつぶって何かを感じている。果たしてシェリー・ブレンドはどんな答えを出してくれるんだ?

「わかった」

「ど、どんな味がしたんだ?」

「ふふふ、知りたい?」

「も、もちろん」

「どうしよっかなー。あなたに教えたところで、あなたの言いなりにはなりたくないし」

「言いなりだなんて、そ、そんなことはねぇよ」

「じゃぁ教えてあげる。あのね…」

 こうして俺様と鷹野さんの不思議な関係がスタートした。恋人というよりもパートナーとして、気がついたら常に俺様のそばにいて、いろいろなことに対してツッコミを入れてくれる相手となった。だが、心の奥で鷹野さんに惹かれる自分がいるのも気づいている。

 これはかなり後で聞いた話。あのとき鷹野さんが感じたシェリー・ブレンドの味は「じらし」だったとか。なるほど、俺様はどうやらじらしに弱いらしい。今までそうやって意地悪されたことがなかったから。だが、これがなんとなく心地良い。俺様の思ったとおりにならない世界もあるんだ。

 なぜならみんなが主役だから。


<主役は誰だ? 完>

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