1話 最弱の支援職
窓から照らす眩しい光。
それが自分の眼に届くと、俺の意識は覚醒した。
ゆっくりと顔を上げると、いつもとなんら変わらない...いや、当たり前だけど。
日常が待っているんだと思い、溜息を付きながら体を起こす。
今頃は外の平原で「攻撃職」の奴らが大活躍しているんだろうなぁ...
けっ、「支援職」に生まれたやつらにはいい迷惑だよ。
生まれたときにもうどのような人生を送るか、この世界では決まってる。
まぁ、自慢ではないがオレは中々体内限界魔力...ポテンシャルはあるほうで、
顔も悪くはない。そんな俺がなぜ絶賛ギルド受付をしているかというと...
そう、魔力適性「アプティチュード」、通称「アプティ」が限りなく戦闘向きじゃないんだよ。
アプティってのは自分がどの魔力を使うことに適性を持っているか。
例えば攻撃職の奴らは「氷魔法」にアプティを持っているとか。
防御職の奴らは「体・防御力増強」にアプティ持ってるとかっ!
「それなのに俺のアプティはなんだ!?「回復、身体強化」だとぉ!?
そんなんで生きてけねぇよこの世の中っ!
回復するくらいなら市販のポーションのほうがよっぽど効果あると思ってる奴らしか
(...まぁ実際そう思うのも無理はない)いないし?!
強化ならそれ専門のアプティの奴を雇えばいいし?
回復強化のアプティ持ってる奴らってポテンシャル高くないのばっかだからな!」
限りなく嫉妬にまみれた愚かなブーメランがぶっささりの言葉が木造平屋建築に響く。
こんな愚痴を言いながら一日はいつも始まる。
簡単な食事を済ませ、朝8時には冒険者ギルドへ出勤するのだ。
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寝癖が凄い...が、遅刻するわけにはいかない...あの冒険者ギルドには俺の全てがかかっている。
綺麗に整備された砂利道をザッザッっと走っていくと、でっかい目立つ石造りの建物が見えてくる。
あの建物こそが冒険者ギルド。すっごい強~い英雄が街を守護してくださっている、働きの場だ。
冒険者ギルドへ駆け足で入っていくと、元気な女の人の声が挨拶をする。
「おはようございます、アルトくん」
ソフィアさんだ。自分より数年上の先輩で、とっても優しい。受け付けは主に俺、ソフィアさん、そして残りの3人でやっている。
実はソフィアさん、特別なアプティを持っているんだ。その名も「精神操作」。その名の通り相手の精神を操作し、楽しくしたり悲しくしたり、怒らせたり怖がらせたり出来る。使いようによっては戦闘でも戦える、すごいアプティなんだけど何故か冒険者ギルドで働いている。
その理由は神のみぞ知る...いや、ソフィアさんだけ知るといったところだろうか。
さて、そのようなことを考えていたらもう開店の9時だ。カランカランと、ドアが開く。
とたん、バンという大きな音とともに飛び込んできたのは、自分の背の4分の1ほどの背の小さい少女。
その少女は、涙目になりながら、叫び始めたのだ。おいおい、こちとら暇じゃ...
その考えすら遮ったのは、子供の声。
「お父さんを助けて!変な影がお父さんを襲っているの!」
どうやら、この少女、父が街で暗き者に襲われているそうだ。
暗き者は自由に影を移動できるからな...このまま逃げられたらまずい。
だが...
俺では力になれないっ!!
それはもう確定事項なのだ。衛兵に助けを求めないということは相当な強さなのだろう。
自分が行ったら暗き者に体を食わせるだけ。このままじゃまずいっ!
急がないとこの子の父も食われてしまうだろう...
俺は歯を食いしばり、決
「私が行きます。みんなは引き続き経営を。」
俺の決断を邪魔したのは、ソフィアさんの一言だった。暗き者のことを知らないんだろう。
精神操作で勝てるとでも思っているのか、あの化け物に精神操作なんか効かないぞ...
こんな詳しいのは前、支援役になろうとしたからだ。ただ、筆記でいくら高得点をとっても、実技では恐怖で足が動かない。当然不合格だ。まぁ、この知識が役立ったというわけだな。
ソフィアさんに注意を促そうとしたときには、もうソフィアさんはいなかった。
遅かったのだ。
くっ...。これはまずい。ソフィアさんはアプティが無くてもなかなかの強さだが、衛兵でもかなわないクラスとなると善戦は見込めないぞ...
俺は、決断した。そして、こう言い放つ。
「冒険者は任せた!俺、死んでくるかもしれない!」
出口から出ていくと、ギルドの中には...不安だけが残っていったのであった。
いやぁ、なろう初投稿が失礼します。
下手くそな文章で申し訳ない。