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採取とコラボ

「まずはサーチを試そう」


 食事タイムが終わり、祐希がそう言ってサーチを発動する。

 採取物の在り処を探すためだ。


「お、反応あり」

「おー、サーチ便利だな」


 祐希の技能をアキラが称賛する。

 本来採取ポイントはVR空間に半透明のマークが表示されていたものだが、さすがに現実となったらそういった細かい部分まで魔法でカバーしていないらしい。


「まずは机の引き出し」

「OK」


 言われてすぐさまアキラが机に取り掛かる。


「次に冷蔵庫」

「はい! 私が見るね」


 冷蔵庫のチェックに名乗りを上げたのは幸子だった。

 

「そして洗面所、かな?」


 扉の向こうなので、祐希もそこが洗面所かどうか確信出来ないようだった。

 なにしろホテルにつきもののベッドがないのだ。


「そっちは俺が探す」

「あ、私も行くね」


 祭が名乗り出て、それにゆえりが続く。

 祭は一瞬ぎょっとしたようだったが、すぐになんでもないような顔になった。


「一人でいいだろ」

「ダメ。見えていない場所に行くときに一人は駄目だから」


 ゆえりの言葉はもっともなことだったので、祭も強くは抗えない。

 仕方なく二人で洗面所らしき扉に向かう。


「俺が開ける」


 レバー式のドアを祭が押し開ける。

 なかはよくあるバストイレ一体型のユニットバスルームだった。


「私このタイプあんまり好きじゃないの。衛生的じゃないでしょ」


 ゆえりがなにやらバスルームの批判をする。


「日本人的にはきついよな。これって外で体を洗わない外国の人用だろ」

「こういうビジネスホテルではスペースの節約もあると思うけどね。じゃあ、斉木くんはバスタブとトイレタンクをお願いね。私は洗面台と棚を調べるから」

「おい、汚い場所は俺かよ」

「大丈夫よ、このホテルは全然使われないままだったんだからどこもきれいよ」

「まぁそうだけどよ」


 ぶつぶつ言いながらも祭はバスタブとトイレを見る。

 バスタブはものを隠すような場所はないのでざっと見て、まずはトイレの蓋を開けてみた。

 真っ白できれいな陶器のトイレには水もたまってない。

 確かに全く使われた痕跡はなかった。

 ほこりがたまって全体的に灰色に汚れている外側よりもよほどきれいなぐらいだ。


「こっちにはないか?」


 次にトイレのタンクを見る。

 そして祭はタンクの上におかしなものを見つけた。

 

「んん? 鉢植え?」


 誰も使っていないダンジョンと化したホテルの客室のトイレに緑の鉢植えがある。


「いや、おかしいだろ」


 誰に対してのツッコミか、祭はそう言って、用心深く鉢植えを手にした。

 特に何か変わったこともない。

 普通の鉢植えだった。


「おい、これ」

「ん? あ、薬草(ハーブ)だ」

「ハーブ? 家庭菜園かよ」

「あはは。VRのEOMではなんでもリアルに寄せていたの。だから植物も現実にあるものに似たものを使っていたわ。これはハーブのセージにそっくりな薬草かな?」

「本物のハーブじゃないのか?」

「ダンジョンにあるということは薬草だと思う。だけど本当のところは鑑定がないと難しいわね」

「鑑定は?」

「うちには鑑定持ちはいないけど、ハンター養成所なら誰かいるんじゃないかな?」

「お前さ」

「ん?」

「その、なんでも出来る魔法使いなんだろ? ええっと深淵の魔術師だっけ? 魔法でなんとかなんねーの?」

「ああ。なんでも出来ると言ってもやっぱりゲームだからその役割から逸脱した魔法は使えないの。基本は攻撃魔法オンリーね。ただ、デザイン次第ではサポートに使える魔法も作れるわ」

「へー」

「ふふっ、じゃあみんなに報告しよう」

「おう」


 二人は洗面所を後にして元の焚き火がある部屋に戻る。

 同じ部屋のなかで探索をしていた二人はすでに戻ってアイテムを見せ合っていた。


「これ、やべーな」

「うーん、ちゃんと回復出来るのかな?」


 なにやらもめているようだ。


「どうしたの?」


 ゆえりが仲間たちに声をかける。

 二人に気づいたアキラがとあるアイテムを掲げた。


「これさ、村上が冷蔵庫で見つけたんだけど。どうよ?」

「どうよ? って……あー」


 それは、有名な海外の栄養ドリンク缶だった。

 どこからどう見ても市販の栄養ドリンク缶のようにしか見えない。


「あ、ほら、確か年明けにコラボするって言ってたじゃない。それでその栄養ドリンク缶デザインのポーションが出るとか」

「あー、ああ? えーっ!」

「アキラくんうるさい!」


 幸子が耳を塞いで文句を言う。


「こりゃあ、鑑定ないとアイテム使っていいかどうか悩むな。俺が見つけたのも、鑑定必須の鉱石だし」

「仕方ない。このアイテムも鑑定待ちだな」


 祐希がため息をついた。


「鑑定待ち?」


 祭が疑問符が見えるような声を上げる。


「信頼出来る鑑定スキル持ちを見つけるまで保管しとくってこと。ほら、俺らまだハンターじゃないだろ。正規ルートで鑑定が出来ないんだよ」


 アキラの言葉に祭も納得する。


「なるほどね」


 禁止してしまえばモンスターに対する対処が遅れる場合があるので、ハンター未登録者の戦闘はある程度見逃されている形とはなっている。

 しかしやはりハンター未登録者の表立った討伐は厳重注意対象だ。

 中学生のときからモンスターを討伐していたアキラたちは、こういった鑑定を必要とするアイテムを公式の鑑定に持ち込めないままいくつか所持していたのである。

「面白そう」「続きが読みたい」と思っていただけたら下にある評価からポイントを入れてやってください。

作者のやる気スイッチが押されます(≧∇≦)b


よろしくお願いしますm(_ _)m

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