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ダンジョン攻略会議1

 アキラたちは持ってきたバッグのチェックをした。


「あ、火鼠の皮衣ゲットしてる」

「こっちも」


 どうやら無事全員がアイテムを取得しているようだった。

 本来のEOMではクエストアイテムだけあって戦闘後には全員が取得できるアイテムだったが、現実になった後もその辺の設定は変化していないようである。


「てか、お前ら! なんで旅行かばんを持って来てるんだ!」


 このメンバーと一緒に狩りをするのが初めてな祭がツッコんだ。

 最初からチラチラ見ていたが、どうやら気になっていたらしい。


「今言うんだ」


 アキラが笑いながら指摘したが、祭としてはそれほど親しい訳ではないアキラ達に気後れしていたのかもしれない。

 見た目や言動と違って、意外と繊細な少年なのだ。


「最初から気になってたぞ!」


 そういう祭はバックパック一つだ。

 ハンターとしてはそのスタイルのほうが一般的ではあった。


「モンスタードロップアイテムはさ、ドロップ場所に優先順位があって、手持ちの収納にまずドロップして、それがいっぱいになったらマイルーム、つまり自室の収納にドロップするんだよ。リュックとかカバンだと大きめのアイテムが入らないんでドロップが弾かれて部屋に行っちゃうんだけど、現地で有用なアイテムだとすぐに使えないのはヤバいだろ?」

「なるほど、それで大きめのバッグで旅行用バッグに落ち着いたということか」


 理由を説明すると納得する。

 祭はかなり理性的だ。

 なんで乱暴者スタイルをロールプレイしているんだろう? と、アキラなどは思ってしまうのだが、それは本人の趣味かもしれないので指摘しない。

 自分が趣味に耽溺するタイプのアキラは他人の趣味に寛容なのである。


「キャリーケースに落ち着いた理由には、頑丈さもあるね。あと、自立してくれるから戦闘が始まって放置しても中身がぐちゃぐちゃになりにくいというのもあるか」


 祐希が補足説明を入れた。


「そうそうだからポーションとか壊れやすいものはキャリーケースのほうに入れておくの。もちろん予備ね。手持ちはハンター御用達の収納ベルト……を見て作った手作りベルトに入れてあるわ」

「女子には感謝しかない」


 そう、正規品のハンター御用達収納ベルトは値段が高かった。

 もちろん本体も高いのだが、今の世界では送料がものすごく高い。

 ハンター協会の売店やギルドメイド品販売店などでも販売されているが、こっちはハンター証の提示が購入の条件なのでアキラ達にはまだ購入出来ないのだ。


「モンスタードロップの革を使ったので丈夫です。今度斉木くんの分も作ってあげるね」


 にっこりとゆえりが微笑むと、祭が真っ赤になった。

 毎度わかりやすい男である。


「お、俺様は、まだお前らの仲間って訳じゃないからな!」

「いやいや、俺は野良でもパーティ組んだ奴にはよっぽど駄目な奴以外フレンド申請するからね」

「野良?」

「あー、MMORPG用語はわかんないか。いや、カリテンだって知らない奴とパーティ組むよな?」

「ああ、ギルド外パーティのことか」


 やっているゲームが違うと使っている用語に共通概念がないことがある。

 それにしても祭は本当に一般的なMMOをやってないんだなと、アキラは思った。

 完全にアクションゲームオンリープレイヤーだったのだろう。


「さて、リポップに注意しながら聞いてくれ。ここがかぐや姫ダンジョンとすると、ラスボスは神龍ということになる」

「裏ボスは?」

「クエスト進行が無ければ出ないだろうとは思うが……今のところクエスト自体は出現してないし」


 祐希が説明しているところに祭が手を挙げた。


「はい、斉木くん」

「先生かよ!」


 すかさずアキラがツッコむも、スルーされた。


「リポップってなんだ?」

「ああ、カリテンでは確か湧きって言ってたね。モンスターが再補充されることだよ」

「ああなるほど、湧きのことか」


 祭は納得したようにうなずいた。

 そして続けて言う。


「ほかにも気になったことを聞いていいか?」

「どんどん聞いてくれ。むしろわからないまま先に進んで問題が発生するほうがマズい」

「おう。じゃあ、聞いて行くぞ。神龍ってのはどのくらいの強さなんだ? あと、裏ボスってのはなんだ?」


 EOMを遊んでいたメンバーには共通認識出来ることも、遊んでない祭には全くわからない。

 そこで仲間はずれだと拗ねるのではなく、きちんと聞くところが祭の凄いところだろう。

 アキラなら知っているフリをしているはずだ。

 パーティプレイだとそういうわかったフリでわかってない人間が一番困るのである。

 まぁアキラの場合は自分で調べるのが好きで他人に答えを聞くのが嫌いという本人にしかわからないこだわりがあるせいだが。


「神龍というのはかぐや姫ダンジョンのボスで、七色の玉を咥えた東洋タイプのドラゴンだ。こいつはかなり強い。ただしプレイヤーの限界レベルを越えることはないんで、限界レベルのプレイヤーならソロ撃破も可能な敵だ」

「なるほど」

「ただし、それはゲームだった頃の話で、死ぬ訳にはいかない現実で戦うのはかなりきついと思う。玉を咥えているおかげでブレス攻撃がないのはありがたいけどね」

「ん、神龍に関してはわかった。で、裏ボスってのは?」

「裏ボスと呼ばれているのはこのクエストを進めて行くと、プリンセスかぐやを奪いに来る月人との戦いになる。その月人のことさ。最初はこの戦闘は負けイベントと言われていたんだけど、頑張れば勝てることがわかった」

「……かぐや姫クエストってのは古典の竹取物語をなぞったものなんだな?」

「いろいろ微妙に変えてあるけどね」

「ってことは月人ってのは月からの使者のことか」

「そうだ。彼らは強い。プレイヤーのレベル限界を突破していて、しかも集団だ。レイド戦でなんとか撃破出来るかって相手だな」

「レイド?」

「強敵相手に何組ものパーティが協力する戦闘のことだよ」

「なるほど理解した。ありがとう」

「どういたしまして」


 お礼を言えるいい奴というのが、仲間たちの祭への共通認識になりつつあった。

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