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パーティの相性

 カリテンこと「狩人の天地」は、アクション系VRMOの世界的な人気ゲームだった。

 アキラたちがメインでやっていた「エピソード・オブ・マイン」、通称EOMはRPG系のVRMMOであり、VRとは言え、コマンド式の戦闘だ。

 ボタンが呪文(ワード)や導入モーションに変わっただけで、技や魔法にはシステムサポートがつく。


 しかし、カリテンは一切のサポートがない。

 自らの技量がそのままゲームに反映されるのだ。

 自分自身の技量がゲームに反映されるVRゲームとしてはFPSが世界的には主流だが、そんななかで巨大なモンスターと剣などの古い武器で戦うカリテンは異色のゲームと言えた。


 だが、だからこそ、世界が変わってから最も割を食ってしまったのだ。

 FPSゲームは銃を撃ち合うゲームなのでプレイヤーは一般的な身体能力だが、カリテンはモンスターと戦うため、ゲーム内でのプレイヤーには隠しステータスが振られている。

 なにしろ巨大な剣を振り、空高くジャンプをするのである、もはやそれは超人だ。

 そして変わった世界に現れたモンスターには物理攻撃が効かない。

 カリテンプレイヤーの力は対人特化となってしまった。


 世間からの冷たい風当たりを決定付けたのは、海外で発生したカリテンプレイヤーによる大掛かりなセーフティゾーン占拠事件だった。

 それ以降カリテンプレイヤーは犯罪者集団のような扱いを受けることとなったのである。


 斉木祭がカリテンプレイヤーと知ったアキラは、世間の風評とは逆に斉木を見直した。

 アキラ自身が物理ジョブであるということもあるが、ここまで不遇な環境で、それでもハンターを目指そうとするのはかなりの根性である。

 アキラのなかのゲーマー魂が囁くのだ。

 こいつは仲間である、と。


「そうだ、俺様はカリテンプレイヤーだ! 悪いか!」

「全然悪くないさ。カリテンプレイヤーは身体能力がずば抜けているから期待してるよ」


 さすが神さま、さす神! と、アキラは心のなかで祐希を拝んだ。

 懐の深い祐希には偏見などない。

 対人スキルさいつよの男、神谷祐希の名は伊達じゃない。

 まぁこの異名はアキラの脳内だけで付与されているものなので、本人の知るところではないが。


「お、おう……」


 案の定、俺様の男、斉木は調子が狂って戸惑っているようだ。


「それで、斉木くんは属性武器は持っているのかな?」

「い、いやまだ」

「あ、いや、全然大丈夫だよ。むしろ学生ならまだ持ってないのが当たり前だからね。それならそれでやりようはある」


 頼もしい。さす神! などと考えていたのがバレたのか、祐希はアキラをギロリと見つめると、話を振った。


「こら、アキラ。他人事のような顔をしているな。君は同じ物理特化なんだから、斉木くんとの役割分担をきちんとやらないと、同士討ちフレンドリーファイヤーを引き起こしかねないよ」

「サー! イエッサー!」


 そのふざけた態度に、祐希がアキラの頭をゴチンと小突く。

 そしてその様子を不思議そうに眺めている斉木に向かって祐希が説明する。


「ごめんね。仲間はずれみたいになってしまったけど、実は僕らは同じ中学の同じ部活の出身なんだ。偶然なんだけど、気分を悪くしたら言ってくれ」

「お、おう、そうか」


 相手を気まずくする情報をさっさと開示した祐希に、斉木は反射的にうなずいた。

 斉木は最初の勢いはどこへやら、すっかり祐希のペースに翻弄されていた。

 善意によって人を転がす男、それが神谷祐希である。


「俺はEOMプレイヤーで純粋な魔法職である賢者だ。この三人だと二人が属性武器なしの場合、一人が属性武器ありの場合、そして二人共が属性武器を持った場合の基本四パターンの戦術を考えることが出来るね。養成所では属性武器の貸し出しも行っているし、いろいろ経験してみるといいよ」


 そしてさっそく模擬戦闘についての具体的な提案をしてくれた。


「お前の言う通りにする義務はないだろ!」

「もちろんだ。斉木くんのやりたいことをどんどん言ってくれ。そのほうがチーム全体のためになるからね」

「あ、ああ、わかった」


 どうやらちょっと反抗的な気分になったらしい斉木が祐希の提案に逆らってみたようだが、喧嘩腰の抗議をにこやかに受け入れられて、勢いが萎む。


「カリテン組なら身体能力が高いんだろ? 属性武器を持ったら凄いだろうな」

「当然だ! 俺様に任せろ!」


 単純明快。わかりやすい。

 アキラはこの斉木祭という男がちょっと好きになれそうだなと思ったのだった。

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