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アイテム品評会

「付属属性は風、ついでに切断もついてる」

「おお、すげえ! さすがラッキーモンキーのレアだ!」


 副部長の鑑定した結果にアキラは躍り上がった。


「アキラっち、喜んでいるところ申し訳ないが、それ、アキラっちのものに決まった訳じゃないからな? 最初の取り決めで、出たアイテムは全員で平等に分けるという話だったし」

「おおう……」


 アキラの喜びに部長が釘を刺した。

 

「それなら、ほかのアイテムの権利を全部譲るからこの風属性ブーメランをくれ!」


 しかし、アキラは食い下がった。

 属性武器がなければ戦いにならない。

 せっかくゲームが現実になったのに、戦うことが出来ないなんてつまらなすぎる。

 アキラの決意は固かった。


「仕方ないな。じゃあ幸子くん、どうする? 属性武器は君も欲しいんだろ?」

「あ、私はパス。私投擲取ってないからブーメラン使えない」

「そうか。では、その属性武器は正式にアキラっちのものだ。おめでとう!」


 部長は公平を期すために、もう一人の物理特化ジョブである村上幸子に確認をした。

 幸子はそれに軽く否定の答えを返す。

 格闘家の幸子は、投擲武器にスキルポイントを振っていなかったのだ。

 スキルポイントとはスキルを収得するためのポイントである。

 実はEOMでは、単純に武器スキルポイントを上げても、使い物になるかどうかは隠しパラメーターに依存していた。

 そのため、器用のパラメーターが育たない格闘家のジョブでは投擲武器にスキルを振っても命中率が上がらないのである。だから格闘家は通常投擲を覚えない。

 その点、アキラのジョブである軽業師は、器用のパラメーターが上がりやすいとされていた。

 実際武器の命中率は全ジョブ中でも一二を争う高さだ。

 なにしろ一撃必殺の不意打ちが肝となるジョブなので、命中率が低いとやってられないとも言える。

 ついでに運も上がりやすいとされていた。


 仲間たちからの拍手喝采を浴びながら、アキラはずっしりとした重みのあるブーメランを持ってポーズを取る。

 

「すごいバカっぽい」


 辛辣なゆえりの評価であった。


「まぁまぁ。じゃあアイテムのチェックを続けるよ」

「OK」

「はーい」


 副部長の言葉に、アキラとゆえりもうなずいて席に戻った。


「これは、薬草だね、十束か、きりがいいな」

「緑イモのドロップね」


 根っこの付いた草が十本あったのが薬草だったらしい。

 普段はアイテムストレージのなかのイラストとして表示されていて、物質化することはほとんどないアイテムだ。

 薬草っぽい匂いもあって何か新鮮なものがある。


「こっちは糸二十、そしてウサギ肉三」

「肉がそのまんま出るのは勘弁して欲しいよね。リュックが生臭くなっちゃった」

「だよな」


 幸子がため息と共に自分のリュックの臭いを嗅ぐ。

 部長も嫌そうにしていた。


「これは、果実酒か」

「ラッキーモンキーのドロップだな。ってか、これは瓶入りなんだよな」

「なぞ仕様」


 アキラの評価にゆえりが同意した。


「……虫の羽一、蜘蛛の糸二」

「あースラッシュスパイダーか」

「それと、エネルギーコアが全部で八、内訳が木が六、火が一、風が一」

「圧倒的ラッキーモンキー感」

「けっこう狩れたよね」


 次々と副部長が鑑定していくものをゆえりが種類ごとに分けて行く。

 部長とアキラはその評価を述べる係だ。

 いや、そんな係はないので、勝手に評価を口にしているだけだが。


「そして羽飾り、属性付き」

「キター!」


 幸子がガッツポーズをした。


「羽飾りの属性ってどこに乗るんだろう?」

「防御じゃね?」


 部長とアキラの評価に喜んだ幸子ががっかりする。


「えー」

「まぁまぁ。属性は火だな」

「あーあの、桜山がエアーカッターでぶった切ったファイヤーイーグルだな」

「以上」


 残念がる幸子を部長がなだめる。

 そしてアイテム評価が終わった。


「素材は出たけど、合成出来る人いる?」


 ゆえりが全員に尋ねる。

 副部長が手を上げた。


「薬はいけると思う。薬草が出たからヒールポーションが作れるね」

「問題はどうやって作るかだよな」

「んー……いけるかも」


 ゲーム時代ならメニューから合成を選べばよかったが、今はメニューが存在しない。

 もしかしたら存在するのかもしれないが発見されていなかった。

 と、副部長が薬草を手に持ってしばし目をつぶっていたが、何かを閃いたようだった。


「お?」

「ちょっと待っててね。ええっとすり鉢ってどこだ?」


 リビングを出た副部長が別の部屋に行ってごそごそと捜し物をしている気配がある。

 すり鉢ということは本格的な調合をするのだろうか? と、全員が思っていたところに、副部長の声が聞こえた。


「あっ、これ」

「ん? どうした」


 部長がその声に問いかけた。

 別の部屋から戻って来た副部長の手には、何やら物騒な大きな武器が握られていたのである。

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