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元勇者の看病?2

 

 高級な羽毛をそっと優しく掴んだ時のようなやわらかさを手に感じた。

 

 ぁん、とどこか遠くで聞こえたような気がしたがそのやわらかな感触をまた楽しみたいという思いの方が先行する。

 

 次はもっと、しっかりと、そのやわらかさを堪能したいな。

 そう思った指先を最初の時よりもその感触をゆっくりと確かめるように丸めながら、ぃやん、最後はその物体に埋もれさせた。

 

 あぁ……極上の感触だ、手に感じた気持ちの良いやわらかさをそう評価する。

 

 もっと、もっとこの気持ちのいいやわらかさを感じたい。

 

 すでにそのことで頭がいっぱいになってしまった指先は、理性を先行した感情によって欲望のままに動くことになる。

 

 その感触を確かなものであると、ゆっくり確かめた時のような優しさは、もうそこにはなく、ただひたすらに目の前の極上の感触を感じたいという欲望のみで、もみもみ、もみもみ、と何回も揉みしだくのだった。

 


 ァンッ アアンッ シンゥーッ さまぁぁンッ?! ゥゥンッ! 激しィ ッン すぎィィ ッン ッますぅ ゥゥゥンッ!?!?!? イクッ イッチャイマスゥゥゥゥゥゥンンンッッッ!!!

 


 急に近くから聞こえてきた嬌声にびっくりして目を見開く。

 

 すると目を開けた先には、ハァハァハァハァと肩を震わせながら艶めかしい呼吸をする赤く上気したクロエの顔があった。

 そして、さっきまで極上の感触を味わっていた俺の五指はクロエの胸にガシッと絡みついているのだった。

 


 …………。


 

 オレハワルクナイヨッ?!?!?!


 別に弁明とかするつもりはないのだが、これだけは言わせて欲しい。

 

 無罪です。


 そもそも初めからクロエの胸を揉むつもりなど無かったし、それがクロエの胸だったと知っていたわけじゃない。

 知っていたらそもそも俺はこんなことはしない。

 それは神にだって誓って言えることだ。まあ、誓う神なんてこの世界にはいないんだけど。

 それとも俺がそんな卑劣なことをする人間に見えるか?

 

……、あぁ、ありがとう。そうだよな、うん、分かってたよ、見えないよな? はっはっは、分かっているともさ!!


 はーはっはっは!

 

 さて、話を戻そう。

 

 クロエの胸が超気持ちよかったって話だっけ?

 

 違う。

 それは俺の感想だった。


 ……。

 

 はぁぁぁぁ。

 分かったよ。認めるよ。


 確かに気持ちよかったさ! もう極上の触り心地だったよ! クロエごちです! て、感じだったよ! 皆さんごめんなさい!

 

 だけれどもだ。

 一つ反論させてほしい。

 何故俺のベッドの中にこいつはいるんだ? という疑問が残っているじゃないか。

 そうだよ。というかほんとなんでいんだよ!? ここは俺のベッドだろ! 

 目を覚ましたら目の前で俺と一緒に寝ていたっという状況の方がおかしいんだ。

 

 一旦自分の行った罪をたなに上げることにした俺は、いまだに目をトロンとさせて、朝から激しいですわね、とか言うクロエに直接状況説明を求めることにした。


 「クロエ。それでお前はなぜ俺のベッドの中にいる」


 俺は何もしていないし、何もなかったよなという雰囲気を醸し出しながら、何事もないようにクロエに非難の言葉をかける。

 俺の言葉に、なぜそんな当たり前のことを聞くんですの? というような顔をしながら、


 「ここがシン様のベッドだからではありませんか?」


 と、疑問に疑問で返してきやがった。

 しかし、いつものごとくどうせそんな答えが返ってくるだろうなと、ある程度予想していた俺はその言葉に特段思うことはなく、クロエに次の言葉を淡々と投げかける。


 「今すぐお前の家に帰れ。そして一生戻ってくんな」

 

 「――っ?! それってもしかして『俺と今すぐ結婚しろ、そして永遠の愛を育もう』という意味ですか!? 意味ですよね?!」


 俺の言葉をどう勘違いしたのか鼻をフンフンッ言わせながら俺にそう詰め寄ってくるクロエに


 「おまっ! なぜそうなる?! どう解釈したらそんな意味になるんだっ!」

 

 「ワタクシの家はこの家、この家はシン様の家、シン様の家はワタクシの家! つまり、一生戻ってくんなっていうのは言い換えると一生俺の傍に居ろってことですよねっ! ああん、急にプロポーズしてくるなんてシン様、ついにその気になってくれたのですわねっ!」


 何を勘違いしたらそうなるんだよと思っていたが、なんとなくそうなった理由が理解できた気がする。いや、なんとなくでもこいつの思考を理解してしまったらまずいだろ。というか思考回路が破綻していることに違いはない。

 何より俺の平穏な生活のためにもここは是が非でもクロエの言うことを否定する必要があるだろう。


 「ここは、俺の、い・え・だっ! ここはお前の家じゃないし、前にも言ったが今のところ恋愛とか結婚とかするつもりはない」


 俺のことを好きだと言ってくれるクロエに申し訳ないと思わなくはないが顔を上気させながら興奮するクロエに対して非情にもそのように現実を突きつける。

 しかし、俺の言葉にビクンッと反応したクロエは興奮していた状態を一旦落ち着かせて、ある言葉を確認してきたのだった。


 「今……、『今のところ(・・・・・・)恋愛とか結婚するつもりはない』とおっしゃいましたか」

 

 自分の目をしっかりと俺の目にあわせるようにジッと静かに、俺の目を見つめながら問うてくる。

 俺はそのクロエの問いに対して、


 「あ、ああ。確かにそう言ったがそれがどうした?」


 と、問い返す。

 すると一旦落ち着かせたはずの身体を再度ブルブルと震わせながら、


 「いよっしゃああああああああああああですわあああああああああああああ!!!!!」


 ベッドの上で俺の対面に座っていたクロエが拳を突き挙げ、雄たけびをあげながら急に立ち上がるのだった。突拍子もないことに、座りながらの状態で器用に思わず後ろに後ずさった俺はベッドから転落してしまう。

 

 言質とっだどおおおおおおおお、と続けざまに叫ぶクロエを地面に背中から落ちた状態でその状況を見上げている俺に向かって、クロエは満面の笑みを浮かべるとこう告げたのだった。


 「今のところは(・・・・・・)ってことはこの先いつかは(・・・・・・)ワタクシにもチャンスがあるということですわよねっ」


 あっ、と自分の失言に気づいた時には遅く、クロエは満足した顔でベッドの上で俺を見下ろすのだった。



夜這いにしようかベッドに潜り込んでいることにしようか、ちょー悩みました。

お読み下さりありがとうございます。

ブックマーク登録もありがとうございます。


残すところあと9話となりました。一応言っておきます。

一作目から長期連載は飽きがきそうなので……。

新作書いてます。2万字くらいいきましたが、この連載が終わるまでに書ける自信がありません!

ちなみに異世界転生ものです。

たぶん、この連載終わってから一週間から一か月くらいの間に発表するかもしれません。

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