愛LOVEみー
「俺と付き合いたいのか?」
「えっ?あっ、うん...えっ!?」
「いや、俺のことを好きっていう感じで見てるからいつも」
「うん、たしかにそんな感じで見てたけど...」
「普通こういうのってお互いに段々と距離が近づいてって感じじゃないの?」
「そういうのめんどい」
「えー」
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「...っていうのが私とみーくんと付き合うときの流れだよ!ここ、テストに出るからね!」
「『誰に言ってるんだ?』って一応言っとくわ」
俺、鷹目 充の彼女の愛野 愛がわけの分からんことを言い出した。
いや、意味がわからんのは回想からして俺か...
今さらだが適当すぎたなぁ...まあ、どうでもいいけど
「ところで愛さんや、こんな朝早くにどうして家に来たんだ?今何時かわかってる?」
「4時...そろそろ日が暮れ始める時間だね!」
「そうだなぁ、冬はこのぐらいからもう暗くなり始めるよな...って今は日が昇り始める時間だわ!」
ノリツッコミなんて久しぶりにやったわ...恥ずかしい
「おー!パチパチパチー!」
なぜか、拍手された...恥ずかしい
「ていうか、寝ていい?眠い...」
あと、寒いし...
「うん!じゃあ部屋行こー!レッツゴー!」
こいつ、朝から元気だなぁ。
「いや、家帰れよ。すぐ隣なんだから」
「みーくんと一緒にいたいなぁ...ダメ?」
愛は上目遣いで俺のことを見て、わざとらしく甘えた声でお願いしてきた。
ちなみに"みーくん"というのは俺の名前、充からきている。
もちろん、俺はこれが演技だと見抜いてるわけだから...
「まあ、とりあえず家入れよ」
見抜いてるからなんだ?
可愛いさに抗えるわけないだろっ!
「チョロい...」
愛がボソりと何か言ったような気がしたが、よく聞こえなかった。
だが...
「なんて言ったかは聞こえんかったけど、チョロいって言ったな?」
「ナ、ナンノコトカナー?愛 don't know」
何気に上手い...
"I"と"愛"を掛けたのか...
「ふっ、顔にそう書いておるわい」
「もー、なんで、みーくんは鈍感難聴系主人公じゃないのー!そこは、『えっ、なんか言った?』て返して、私が、『ううん、別になんでもないよ!』ってなるところでしょ!」
そんな、恋愛系マンガみたいな会話あるかいな。
そんでもって、敏感でごめんね。
「なんせ俺、趣味人間観察だからな。顔の微妙な動き、目の動きで、その人が何を考えてるかわかるんだよ。特に、愛は動きが出やすいから、すぐわかる」
「なんか、気味が悪いね...」
ほら、すぐにわかる。だって、顔がわかりやすいぐらい引きつってるし...
「自分でもそう思う...」
もうこの趣味を人前で言うのはやめておこう...愛は、表情に出るからいいんだけど、世の中にはニコニコした顔で内心『キモッ...』とか思ってるやつもいたりすらからな。そういうの考えただけで辛い...
「そういや、少し忘れかけてたんだが、まだ、朝の4時半なんだぜ。寝たいぜ」
「じゃあ、寝よっか!」
そのあと、俺の部屋のベッドに俺が入り、愛も入った...愛"も"?
「なんで、入ってきてんの?」
「えっ、ダメなの?」
いや、俺たちまだ高2だよ。その、愛って普通に可愛いし、なんかいい匂いするしで、俺の中の欲望が爆発しちゃうよ?
「まあ、いいけど」
欲望には忠実です。でも、やらしいことはしないんで安心して...
「やったー!えへへー」
俺の彼女がこんなに可愛いわけが(ry
「あのさ、みーくん...ぎゅって抱きしめてくれない...?」
「ぐーぐー」
「寝てる...ばーか」
完全に意識がなくなる前に、体が温かくていい匂いがする何かに包まれた気がした...
そして、数時間後...
「起きてー!朝だよー!」
「さっきも朝だったろ...」
目覚まし時計かお前は...いや、でも、彼女が起こしてくれるって幸せなことだよな。
「さあ、朝ごはんはできてるよ!早く食べよ!」
ああ、幸せだなぁ。彼女が朝ごはんを作ってくれるなんて...結婚とかしたらこうなるんだろうか?なんて思ったのつかの間...
「さあ、召し上がれ!」
食卓には、黒い何かがあった。たぶん食べ物(?)なんだろう。間違いなく食べたら天に召される...『さあ、(天に)召し上がれ!』みたいな。
「どうしてこうなった...?闇魔術でも使ったのか?これが俺の最後の晩餐なのか?」
「ちょっと、失敗しただけだよ。ちょっと...」
「これ、元はなんだったんだ?」
「忘れたー」
どうやら、愛のやつは俺を確実に殺しにきてるらしい。
「死因が朝め死とか笑えない...ていうか、なんで愛はサラダだけなんだ?愛の分のダークマターはないの?」
「私、朝はサラダしか食べないからね...っていうか、ダークマターって何よ!?」
お前はモデルか!?
いや、そもそもモデルが朝何食ってるかなんて知らんけど
「俺も、その自然の味が今恋しい...」
すると、愛は涙目で上目遣いをして
「食べてくれないの...?」
可愛い仕草して、この子、俺を殺したいん?
全く...
「少し待ってろ」
俺は、冷蔵庫から胃薬を用意した。
これで、勝つる!
「冗談だよ!?自分で作っといてなんだけど、食べたら死ぬよ!」
それな。
「いや、だが、せっかく自分の彼女が俺のために一生懸命に作ってくれたものを食べないわけにはいかないよ!」
「みーくん...」
「愛...」
「一緒にサラダ、食べよ?」
「...うん」
そんなこんなで、騒がしい朝が終わった。ちなみにこの日は平日で学校もある。結論を言うと、遅刻しました。
それと、ダークマターは後でスタッフが嫌々いただきました。スタッフといっても、まだ、出てきてない俺の親友(笑)の佐藤 猛だがな。胃薬渡しといたし、大丈夫でしょ(フラグ)
翌日、彼を見たものはいなかった...
その日の学校の帰り、俺と愛は猛のお見舞いに猛の家に来ていた。俺と愛と猛は昔からの付き合いでいわゆる幼馴染というやつだ。
「おう、猛!大丈夫か?大丈夫そうだな!」
「どこがだよ!?危うく死因がめ死になるとこだったよ!」
「飯と掛けたのか?ふっ、つまらんな...」
「みーくんも同じこと言ってたでしょ...」
ああ、知ってるよ!知ってるさ!ただ、こいつと同じ思考回路っていうのが許せなかっただけだ...
「おい、充。今、ものすごく失礼なこと考えてなかったか?」
さすがは長い付き合いだ。お見通しというわけか...
「ばっか、違うわ。今日のお前ものすごくカッコいいなとか思ってただけだぞ!」
「えっ、お前、そういう趣味だったのか...?」
猛は自分の体を抱いてくねくねしてる。気持ち悪い...あっ、それ今の俺の発言か。
ごめんね、愛。半径1メートル以内に2人も気持ち悪いのがいて...
「みーくんは私と猛くん、どっちが大事なの!」
案外、ノリノリだった。さすがは長い付き合いってことはある。この流れについていける女子なんて、世界中でも愛だけではないだろうか...
「もちろん、愛だけど?」
「あっさりと決めやがった!?」
そりゃ、可愛い女の子と比べたら、後者なんて、使い終わったiTunesカードとかそんぐらいの価値しかないだろー
「愛ちゃん、慰めてー」
「えへへー、私の方が大事なんだー」
「ダメだ!?自分の世界に入っていやがる...」
「俺は、誰にも大切に思われてないのか...グスン」
「猛...お前のことも愛の次に大切に思ってるから...つ・ぎ・に!」
「そこ強調しなくてもいいだろ!ちくしょー!」
思ったんだが、猛も愛も、俺の周りには騒がしいやつしかいないな。えっ、俺も?俺、一応クールキャラで通してた筈なんだが...あれか、クールタイプなのに中身パッションみたいな...なにそれ、今年一番の衝撃。
「そんで、猛、お前寝てなくて大丈夫なのか?」
そういや猛が病人ということを忘れていた。こいつ、元気すぎだろ...
「まあ、腹が痛いだけだしな。誰のせいだろうねーチラッ」
「えへへー、私の方が大事ー」
「まだ、自分の世界の中かよ!?」
「ほら、愛。戻ってこいー」
充が愛の頭を撫でると、愛は元の世界に戻ってきた。
「ふえっ!?えっ、みーくん?頭撫でて...えへへー」
「逆効果じゃねーか!?ったく何してんだよ...」
「可愛い...」
「ダメだ!?充まで自分の世界へ...いや、違う。2人のそれぞれの世界が1つに繋がって2人の世界になったんだ...いや、何してんだよ。爆ぜろ、リア充」
声が聴こえる...これは、きっと猛の声だ。また、何か騒いでるなぁ...
「はっ!?どこだここは?知らない天井だ...」
「そっちはただの壁だ、ばか」
声のする方向を見ると猛が憎悪の眼差しでこちらを見ていた。
「非リアの俺の前でイチャイチャイチャイチャしやがって、羨ましいな!ちくしょー!」
「安心しろ猛。今度いい男紹介してやるからな!」
「頼む。同性はやめてくれっ...俺にそういう趣味はない」
「冗談だよ...お前はドSメイドに足で踏まれたり、罵られたりする系が好きだもんな」
やはり、幼馴染というだけあって、性癖ぐらいは熟知している。他にはエロ本の場所とかな。例えば、この本棚にある本を退けると...
「おい!?何してるんだ!やめろっ!」
猛は目にも止まらぬ速さで俺の動きを止めた。いや、速すぎて視認が出来んかったわ。まじ、ヤムチャ視点...
「はあ、はあ、病人の底力舐めんなよ」
「病人って体が弱ってるもんじゃないのか...なんで逆にパワーアップしてんだよ」
あれか、ピンチになるときに力発揮する系の...でも、それって主人公枠ができるやつじゃない?こんなモブができていいの?
「けど、流石に体力を使いすぎたな...少し、寝るわ」
「おう、もう少しここにいるから、何かあったら言えよ」
「お前って卑怯だよなぁ。今の少しときめきそうになったぞ」
「なんでだよ」
男にときめかれるとか、やめてほしい...このままじゃホモになる...
「私も、もし、男の子だったらときめいたかも」
女の子にときめかれたいと思った今日この頃。もしかして、俺って男に好かれる体質?男になった愛...可愛いな。今度、ボーイッシュな格好してって頼んでみようかな。
「ぐぉーぐぉー」
「猛のやつ、寝ても元気だな」
「ふふっ、そうだね。なんか、イタズラしたくなってきちゃった!」
愛は、イタズラっぽい笑顔で言った。可愛いな。小悪魔のコスプレとかも頼んでみようかな。
「奇遇だな。俺もだ。ということで、ここに家から持ってきたミニトマトが1パックあります。これを猛の口の中に適度に入れます」
「猛くんってトマト嫌いだったもんねー」
パックからミニトマトを3つほど出して猛の口の中にそっと入れた。ミッションコンプリート。
「よし、こんなもんか。残ったものは冷蔵庫にでも入れとくか」
あとは、猛が起きる前に帰るだけ。ちょうど、もうすぐ、日が暮れそうになっていたから、いいタイミングだ。
「じゃ、帰るか。」
「うん!」
「ほら、手繋ごっ?」
「いや、すぐそこじゃん。俺たちの家...まあ、いいけど」
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「ん?」
外は薄暗くなっていた。
グシャ...それは、猛が知ってる最も嫌な感触と音。口の中にゼリー状の何かと皮が残る。そう、トマトだ...
「ギャアアアアアアアア!!」
ちなみに、猛の家は充の家の前なので、猛の悲鳴は充の耳にも届いた。
「どうやら、目覚めたようだな...元気そうでなにより」
あっ、明日テストだった...
今後もいいネタを思いついたら随時更新していきます。