第二の事件
勘次郎は、大きな高層ビルの前に立っていた。
このビルはSPカンパニーの中の秘密民間警察。
通称:デビルハンターのアジトである。
少子化よりも様々な機械化が進む中で、人々は仕事探しに必死であった。
安定した職業はもはや理系専門で、公務員も給料が下がる一方なため人手不足が課題となっている。それを打開するため新しい形の民間企業が出来た。
それがSPカンパニー。
公務員の枠に入るが、その人の力量で給料が大きく変化する。
その中で群を抜いて人気があるのが、警察官とほぼ同じ仕事が出来る秘密民間警察。
そして、誰もが憧れるのはアナーキストを取り締まりデビルハンターと呼ばれる調査一課である。
先月、無事に大学を卒業しその調査一課に勘次郎は就職したのである。
最初、彼は連絡が入ったときは驚いてしまったが、すぐに理解することが出来ていた。
勘次郎は中に入ると、受付のところで1人の女性が待っていた。
「初めまして、あなたが本田勘次郎さん。お待ちしていました。それでは本部まで案内しますね。」
勘次郎は彼女に言われるままに、移動した。
本部に入るにはいくつものセキュリティーを通過しなきゃいけない。
しかし、普段は楽に入ることが出来る。
一番の狙いは、勘次郎がアナーキストのスパイとして侵入しようとしても無駄であることを見せるためであった。
勘次郎は瞬時に彼らの狙いを理解した。
無事に調査一課の本部に着くと、5人のメンバーが待っていた。
「まず、入り口の近くに座っているのが岡田ツグミ調査官。」
勘次郎の近くに座っていた、茶髪のセミロングの女性だった。
勘次郎は彼女からとても大人っぽい雰囲気を感じた。
「よろしくね。勘次郎くん。分からないことがあったら何でも聞いてね。」
「よろしくお願いします。」
「反対側に座っているのが、太賀守調査官。」
型のいい体をしていいて、まさに兄貴といった風貌だった。
勘次郎は直感で、すぐに仲良くなれそうな気がした。
「よろしく勘次郎どの。早速だが今晩飲みにでも行かないか?」
「是非、ご一緒させてください。」
「そして、太賀調査官の左隣にいるのが杉野原桜調査官。」
まるで、アイドルのように目が大きく、スタイル抜群な女性だった。
勘次郎はなぜ彼女がこんなところで働いているか不思議に感じた。
「これからよろしくね。一緒に頑張っていこうね。」
あまりにも可愛かったために、恥ずかしくて会釈だけをした。
「壁に寄りかかって、無愛想な顔をしているのが有川安吾調査官。」
確かに、無愛想な顔をしているがその目からは並々ならぬ決意の表れを感じた。
「そして、一番前の偉い席に座っているのが、林可之祐調査課長だ。」
見た目からにして、リーダーといった凜とした姿だった。
「勘次郎くん。これからよろしく。1つ確かめておきたいのだがね。あくまでも君は“花屋敷風”を逮捕するために協力してもらうだけだから。彼女が逮捕された後のことは保障することはできない。また、彼女の手がかりを見つけたら、隠さず話すこと。話さなかった場合は君は最悪、死刑になることを忘れずに。」
「十分、理解しているので大丈夫です。」
あまりに、堂々としていたその姿に皆驚きを隠せない様子だった。
「私は咲囃茉莉と言います。あなたとはこれからパートナーとして行動することになります。よろしくね。」
彼女は黒髪の短髪で、仕事出来るオーラが半端なかった。でも、よく見るととても美人であった。
「我々調査一課は、基本男女で捜査してもらっている。このほうが、アナーキストたちと接する時に効率がいいことが分かっている。」
と林課長がさらに詳しく話をした。
しかし、10分足らずで事件が発生してしまった。