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85 情報収集は酒場で!

 領主へと報告を済ませたキューラ達。

 しかし、領主はそれは無いという……その理由も確かな物で彼らは新たに情報収集をするため、酒場へと向かうのだった。

 そこで情報は得られるのだろうか?

 俺達が椅子へと座ると店主は笑みを見せた。


「さて何にする? 酒か?」

「ああ、酒だ」


 その質問にすぐに答えたのは言うまでもないトゥスさんだ。


「………………」


 当然俺はまた昼間から酒か……と呆れつつ彼女へと目を向けると其処にはニカリと笑った女性が居た。


「ククク……この時を楽しみにしてたんだよ」


 本当にこの人は酒と煙草、賭けという物しか興味がないのか?

 いや、一応クリエを救うって事は考えてるか……。


「それでお嬢ちゃんと勇者様はどうする? 同じで良いか?」


 思いもしない言葉に俺は吹き出しかけ、なんとかとどめると店主へと目を向けた。


「お、俺達はどう見たって未成年だろ?」


 クリエの歳は聞いていないから分からない。

 しかし、20歳以上とは思えないんだよな……まぁ、この世界では酒もたばこも決められた歳というのはないのだが……。


「何だよ、酒場に来たら酒を飲むそれが普通だろ!」


 店主にそう言われては確かにそうなのかもしれない、だが……俺は日本での成年つまり20歳になるまで飲まないと決めている。

 理由はまぁ、背が伸びなくなったら困るってことなんだけどな。


「とにかく俺はホットミルクでも頼む」

「あ、私もお酒は苦手なので同じものをお願いします」

「あいよ!」


 注文をすれば別に何だってかまわないのだろうか? 店主は酒場では酒を飲むものだと言っておきながらも機嫌よい返事を返してくる。

 酒はともかくミルクは温める必要があるし、時間はかかるだろう。

 俺は周りへと目を向けると冒険者らしき人々を探す。


「…………なぁ、トゥスさん」

「なんだい?」


 そこで浮かんだのは一つの疑問。


「クリエ……」

「はい? どうしました?」


 俺の目に映った人々の脇にあるのは剣や斧、槍に盾……どう見たって武器や防具にしか見えない物だ。

 次にその持ち主へと目を向けると、傷だらけの身体に盛り上がった筋肉、中にはやけに露出が多い女性も居る。


「もしかして、もしかしなくてもここに居るの全員冒険者だったりするか?」


 俺の質問に二人は苦笑いをし――。


「いや、お嬢ちゃんいくらなんでも全員って訳はないさ……」

「そもそも冒険者は自分で名乗ったら冒険者です。中には旅人だって言う人も居ますよ?」


 それはそうなんだが……どう見たって強そうな人ばかりだぞ?

 これで人が居ないとでもいうのだろうか?

 いや、この中で滞在している人なんて僅かだろうが……。


「待たせたな! ってどうした? 客なんか見て従者集めか?」


 意外と早く出てきた飲み物に驚きつつ、俺はこのままでは埒が明かないと思い店主に問う。


「あ、いや……この街に滞在してる冒険者って誰か居るか? その、ゴブリンの事で聞きたい事があるんだ」

「なんだ、そんな事か! ちょっと待ってろ!」


 そう言って彼が向かった先はさっきのたる三人衆の所だった。


「テッキ、カードン、バウグ!! お前ら確かゴブリンを最初に見たんだったか?」

「「「あん?」」」


 樽の椅子に座り、樽の机に飲み物を置く三人は声をそろえてこちらへと目を向ける。

 店主は相変わらずの態度で彼らに歩み寄ると……


「勇者様達がゴブリンの事を聞きたいんだと! ほら! 早く話さねえか!!」

「あーありゃ、最近林に行った時のことだったか?」

「そうそう何とかの泉って場所じゃない方のな!」


 何とかの泉って……もしかして――精霊の泉か?

 それとは別に林があるのか……


「馬鹿野郎! あれは妖精の泉だったろ!」


 相当酔ってるのか話が良く分からないが……違う場所なのか……そう思っていると店主は客の頭を徐に叩いた。


「精霊の泉だ! 妖精の泉なんてあるか!」


 な、なんだ……結局あそこか……。


「ああ、そうだった、それでガキが一人でいたんだ危ないからこっちに来いって言ったんだが……」

「ああ、そうでそのお嬢ちゃんはすーって消えちまったんだ」


 ガキ……それにお嬢ちゃん? それとゴブリンがなんの関係があるのだろうか?


「それですぐにゴブリン達が現れてな? こりゃ大変だって子供を探そうって誰かが言ったんだよ!」

「誰かが? ですか?」


 引っかかる言い方にクリエは首を傾げる。

 俺はと言えば何となく嫌な予感を感じていた。

 いや、考え過ぎだろうか? 子供、少女……そして魔物であるゴブリン。

 まさかとは思うが、アイツが関与してるって事は無いだろうな……?


「誰が言ったんだか忘れちまってな!」

「まだそんな年じゃないのにな!」

「おいおい! 今からこうなるとは参ったもんだな」


 三人は豪快に笑いつつ酒を煽り、つまみを喰らう。

 それは良いけど、誰かが言ったとはまさか消えた人だったりするのか? それを考えるとやはりアイツの可能性が高い……。


「で、だ……そのお嬢ちゃんは見つかったのかい?」

「いや、見つかんなかった」

「でもそれからだよな?」

「ああ、それからゴブリンがこの辺りに出てくるようになったんだ!」


 うーん……話を聞く限りその林を見てみた方が良いな。

 それに、少女の事も気になる。

 俺の頭に思い浮かぶのはあの幼女だが……。


「女の子が危ないなら急がないと駄目ですね! キューラちゃん!」

「あ、ああそうだな?」


 うちの勇者様には女の子という部分が重要らしい……そこは揺るがないな本当。

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