城での生活
キューラ達は旅館へと荷物を取りに行く途中。
焼き鳥の匂いに釣られ、屋台へと立ち寄りリセッティアで初めて焼き鳥を食す。
日本で食べた物と違うソレに驚きつつも美味しいと口にするのだった。
荷を取り、城へと戻った俺達。
あの旅館には悪い事をした気がするな……だって客が一気に4人も減るんだからな。
そう思っていたのだが、どうやら王が後で勇者が世話になったと礼をするらしい。
「見てくださいキューラちゃん! 大きなベッドです!」
取りあえず旅館の事では安心した俺だったが、目の前の現実を突きつけられ――げんなりとしていた。
「ソウダナ……」
「うへへ……」
その代わりクリエは実に嬉しそうだ。
いや、うん……身の危険は勿論だが、別の意味でも俺は死にそうだぞ?
何があったのか、それは実に簡単だ。
「なぁ、クリエ……今からでも遅くはない、だから――その」
「嫌です!」
そう、クリエ様がわがままを言い始めた訳だ。
そのわがままとは――
「だって! だって……知らない人が護衛なんて、それも男性ですよ!?」
「一応俺も男性だからな? 見た目女だけど男性だからな!?」
しつこいようだが、俺はクリエにそう伝える。
しかし、クリエは首をぶんぶんと左右に振り――
「キューラちゃんは美少女だから良いんです! 長い黒髪は艶があって流れるようで綺麗ですし、大きな赤い瞳も宝石みたいですよ? というか、元からその見た目なんですよね?」
「ぐぅ……」
確かにそう、だ……俺は女になる以前も同じ見た目……変わったと言えば胸があってあった物が無いだけだ。
「だが、別に方法はあったろ?」
「それは、そうだと思って一応王様に聞いたんですよ? でも……他に部屋が無いって」
なるほど、そう言えば俺にあてられるはずだった部屋も一人部屋だったな。
まぁ、つまり……要約すると俺はクリエと同じ部屋で寝泊まりする事になった。
それ自体は旅館の時と同じだ何も問題はない、しかし――
「ベッドが一つ、か……」
そこにあったのは綺麗に整えられた大きなベッドが一つ、一人部屋だと言うのにベッドは3人は余裕で寝れそうな位の大きさだった……
「うへへへ……キューラちゃんと一緒のベッドです」
そして、この上ない笑顔のクリエが居た。
俺の事を美少女だのなんだの言っているクリエだが……彼女だった見た目は相当の美人だ。
短く整えられた金髪は手入れが行き届いていてサラサラで勇者の証である黄金の瞳は表すならイエローサファイアで、その顔は神の贈り物と言っても過言ではない位に整っている。
そして、巨乳……女同士が同じベッドでと言うのは別にそこまで変じゃないだろう……しかし、クリエは百合だし、元々男だった俺は内面まで少女に変わった訳ではない……
「……い、いや……ソファーで俺は寝るぞ?」
「えー……」
ヘタレと言われようが何だろうが関係ない! 例え変……百合勇者相手でも美人相手に一緒のベッドで寝た日には俺が色んな意味で死にそうだ。




