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467 不機嫌?

「ど、どうしたの?」


 宿へと戻るとチェルが困惑をしつつそんな風に尋ねてきた。

 当然だろう。

 何故ならクリエがずっと俺の背中を睨みつけているのだ。

 これで何も思わないわけがない。


「喧嘩でもした?」

「いや、してない……はず」


 そう言うが、クリエはううー! とうなり声をあげるだけだ。

 本当なんで不機嫌なのかは分からない。

 一体どうしたというのだろうか?

 いや、寧ろなぜ不機嫌になったのか?


「もう! キューラちゃんが何かしたんでしょ」


 もしそうなら謝らなくてはならない。

 というか、本当にそうだったとしたら――。

 なにをしてしまったのだろうか?


「……うーん?」


 何かしたか?

 いや、何もしていない。

 もしかして、何もしていない事がいけないのだろうか?

 そんな事が頭の中にぐるぐると浮かぶが……。

 やはり、心当たりはなかった。


「……謝ったほうが良いよ?」

「そう言われてもな、謝りたくても見当違いな事で謝った所で意味がないだろ?」


 思わずそう言ってしまうとチェルは呆れた表情を浮かべる。

 だが、これは間違っていないと思う。

 クリエが何に怒っているのか? それが分かれば謝ることはできる。

 だが、全く違う事で謝った所で火に油を注ぐだけじゃないのか?

 そう考えていると――。


「キューラちゃんの馬鹿……」


 クリエはさらに不機嫌になったのだろう、それだけを残し去っていく……。

 勿論、その胸にはライムを抱いて行ってしまった。

 ライム……お前、クリエの使い魔になってしまったのか?

 いや、うん……。

 何故そう思ったのかと言うと心なしかライムも怒っているように見えたからだ。


「…………」


 それをじっと見送っていた俺とチェルだが……。

 彼女はゆっくりと俺の方へと目を向けると――。


「ちゃんと謝ったほうが良いよ」

「……なにで怒ってるか分かったら苦労はしない」


 呆れた顔でため息をつかれてしまったが、仕方がないだろう?

 急に謝ったとしてもきっとあれだ。


『私が何で怒ってるか分かったんですか?』


 と聞かれてしまうだろう。

 そうなったら最後、俺は答えることはできない。

 その後はきっとお決まりの様に彼女はさらに怒るだろう。

 いや、そもそもここまで怒っているのは初めてだ。


「……というか、怒ってるわけじゃなくて不機嫌なだけじゃ?」

「怒るも不機嫌も同じだろ?」


 今度は俺がため息をつくのだが、チェルは――。


「違うと思うけど……クリエさんの事だし、キューラちゃんが別の人に色目を使ったとかで不機嫌になったんじゃ?」

「なんだよそれ……」


 というかクリエ以外に色目? そんな記憶一切ないんだけどな。

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― 新着の感想 ―
[一言] クリエの寝室に行って好きにしてくれって大の字になれば超葛藤してくれそう
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