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464 ファーレンの刺客?

「チッ!!」


 トゥスさんは舌打ちをした後、吸っていたタバコを倒れている敵へと投げつけ火を消すために踏みつける。

 酷い……あれがエルフのすることだろうか?

 そう思いながら彼女を見ていると――。


「……遅かったね、キューラ」


 トゥスさんはあきれ顔で俺達へと目を向ける。


「あ、ああ……すまない」


 俺がそう言うと彼女は大きなため息をつく。


「心配する必要は……なかったみたいですね」


 クリエがそう言うと彼女はふんと鼻をならし……。


「ゆだん、した」


 ファリスは申し訳なさそうにしょんぼりとしていた。

 だが、まぁ……。


「みんな無事でよかったよ」


 本当に何もなくてよかった。

 そう思いつつ一人呆然としているチェルへと近づくと、彼女はゆっくりと立ち上がり。


「……なんか、納得いかない」

「なにが?」


 チェルの言葉にトゥスさんは不満げだ。


「何が納得いかないんだい? クズどもを葬った、それがおかしいのかい?」

「だってこういう時って自分でどうにかできる状況じゃ……」


 チェルの言う事は正しい気がする。

 普通ならあの状況で逃げだすことは困難だろう。

 だというのに二人はそれを覆した。

 ま、まぁ……ここまで一緒に着た仲間だ。

 それぐらいの実力はあるよな……。

 なんか納得は行かないが……。

 それでも、無事なのは良かった。


「とにかく戻ろうか」

「ふん、そうだね……ちゃんと休めてないからね」

「っとそうだ、その前に……」


 俺は倒れている男たちへと目を向ける。

 こいつらは新大陸から来たのは分かっている。

 だからこそ、情報を得ていたほうが良いだろう。

 しっかりと拘束をした上で、一人の頬を叩く。


「おい、起きろ……」


 なかなか起きないが……。

 少し強めに叩くとようやく目を覚ます。

 そして――。


「お前達は何処の命令できた? ファーレンか?」


 問うが、何も言わない。

 俺達を睨みつけるだけだ。

 まぁ、そう簡単に言うとは思わなかったが……。

 やはり話す気はないようだ。

 俺はトゥスさんへと目を向ける。

 だが……。


「脅しても無駄だよ」


 彼女はそうつぶやいた。

 恐らく、彼女も情報を集めるために脅したのだろう。

 しかし、大した情報は得られなかった。

 だからこそ、容赦なくあそこまで叩いたのだ。


「なら、調べ上げるまでだ」


 俺はそう言うと彼の身体を探ってみる。

 勿論何か証拠になる物があるとは決まったわけじゃない。

 だが……。


「ん?」


 俺は腰につけていた短剣に目を向けた。

 見た目はそこまで珍しい物ではない。

 どこにでもありそうな短剣だ。

 だが、妙に気になる……。


「……これは?」


 俺が短剣を手に取ると彼の顔は明らかに変わった。

 一瞬ではあったが、確かに変わったのだ……。


「……そうか、なるほどな」


 きっとこれが何か大切なものだという事は分かった。

 そして……。


「これは身分証のような物か?」


 俺が問うもやはり押し黙ったままだ。

 だが、そんなことはどうでもいい。

 彼が一瞬見せた表情。

 それを信じよう。


「行こう」


 俺は短剣をしばらく見つめた後、投げ捨て仲間達に言う。

 するとトゥスさんは意外そうな表情を見せた。


「持って行かないのかい?」

「何があるか分からない、下手に相手の持ち物を持って行くのは危険だ」


 もしかしたら魔法で現在位置を把握するなんてこともできるかもしれない。

 その目印になる……なんてこともあり得るのだ。

 だからこそ、これは覚えておいてここに置いて行くのがベストだ。


「キューラお姉ちゃんがそう言うなら、捨てる方がいい」


 ファリスもどうやら納得してくれたみたいだ。

 まぁ、ダメでも説得するだけだけどな。


「チェル、歩けるか?」

「う、うん」


 チェルは頷きながらそう言うと一瞬彼らへと目を向ける。 

 だが、俺達が歩き出すと――。


「あ、待って!」


 と口にし追いかけてくるのだった。

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