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461 人質……?

「チッ……なんで疑うんだい?」


 イライラをしているがトゥスさんの偽物は一向にタバコは吸わない。

 一人で向かったというファリスを放っておく……のはありえそうだが……。

 そもそもファリスが俺に何も言わずに出て行く? ありえない。


「……どこにやったんだ」


 何よりの証拠。

 それは何処にやったという言葉に二人は狼狽していた。


「なぜ分かる? 魔力も見た目も声さえも……」

「まねた? まるっきり本人になることはできないだろ」

「そうですね、まるっきり違います……」


 と言うか、これでバレないなんて思ってるのか?

 どう考えてもバレバレじゃないか……。


「ふん……ばれてしまっては仕方がない」

「…………お前がタバコを吸ってればよかったんだ」


 二人の姿ではあった。

 しかし、声は全く別人の者へと変わった二人。

 二人は腕を組みその姿を解いていく……。

 見たこともない二人だ。

 エルフのような耳を持ってはいた。

 しかしエルフよりも細く……まるで食事をとっていないような印象を受ける。


「…………ごはん、たべてますか?」


 思わず舌足らずな言葉遣いになってしまったクリエだったが、二人は俺達を睨み。


「バカにするのはやめてくれないか?」

「私達が食事もとれないように見えるとでも?」


 と言うか、そうとしか思えないんだが……。

 いや……寧ろこいつらはどんな種族なんだ?


「エルフ?」

「ハイ・エルフだ!!」

「……礼儀正しいですね」


 クリエはそう言うが今度は少し怒っている。

 ころころと変わっているが、まぁ、仲間を奪われて怒っているのだろう。

 二人は男みたいだし……。

 そんな事を考えつつも俺はクリエに――。


「多分、はい、エルフですって意味じゃないと思うぞ……ハイ、つまりエルフの上位種と言いたいんじゃないか?」

「え? でもそんな種族見たことも聞いたことも……」


 ない、そもそもこの世界にそんな種族はいないだろう。

 だが……。


「それもそうだ! 我々は呼び出されたのだから」

「呼び……?」


 意味が分からないのだろう。

 いや、俺も理解したくはない……が……。


「なるほど……」


 転移者か……転生者がいるんだ転移する人間が居てもおかしくない。

 転生した人間がたまたま召喚術を知っていたんだろう。

 それなら納得はいくし……何より強力な人物を呼ばれる可能性だってある。

 まったく面倒なことをしてくれたものだ。

 だが……。


「お前、分かるのか?」

「……まぁ、お前らが転移者だろうが何でも関係ない……俺の、俺達の仲間をどこにやった? 答えないなら実力で吐かせてやる」


 クリエの前だ。

 おとなしくはしておきたい。

 しかし、皆に危害を加えるというのなら……俺は守るために戦う。

 奪うためでも復讐でもない。

 クリエを守るためには皆の力が必要だからだ。


「ほう……」

「出来るのかよ……」


 二人はそう言うとじりじりと動き始め……。

 くるりと身をひるがえすと……そのまま走って行く……。


「「………………」」



 てっきり襲い掛かってくるものだと考えていたのだが、思いがけない行動に俺とクリエは目を丸めてしまった。


「って、待て、逃げるな!!」

「に、逃がしません!!」


 しかし、すぐにハッとすると二人で慌てて追いかける。

 当然宿屋の主人も目を丸めていたが、我関せず。

 それもそうだろう、この魔大陸では力こそすべて……仲間を奪われたらそれは自分自身の所為なのだ。

 当然それが公になり、なおかつ取り戻せなかったら魔大陸での、この町での信用は地に落ちるだろう。

 だが、そんなことはどうでもいい……今はただ、仲間たちがどこに居るかだ。

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[一言] 引き際をよく分かってる(゜ω゜)
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