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魔大陸での初依頼

「……お前さんらが受けてくれるなら嬉しいんだが」


 酒場の店主はそう言うが……。

 俺の仲間たちはどうやら渋っている様子だ。

 だとしても放っておくわけにもいかない。

 何故なら――。


「ほかに依頼はないんだな?」

「あるにはある……」


 だが面倒なのが多い。

 そう聞いていたが……。


「つまり似たり寄ったりってことか?」

「寧ろ対処できる分こっちのが楽だと思うぜ」


 彼が言う対処というのが具体的にどんなことかは分からない。

 しかし……まぁ、確かに魔物であれば最悪戦う事もできる。

 決して倒すわけじゃなく、躾けるために認めさせるわけではあるが……。

 できない事だったらこの大陸の住人である店主が依頼を斡旋してくれるわけがない。

 それぐらいは理解できていたつもりだ。


「受けよう」

「キューラちゃん!?」


 仲間たちが驚いているが他に依頼がないわけだ。

 いや、正しくは面倒な依頼しかない。

 だとすれば、まだこの依頼を受けたほうが良い。

 少なくとも俺はそう思ったわけで……。


「大丈夫だ、強いやつには従うんだろ? それに――いざとなったらライムもいる」

「……キューラお姉ちゃんがそう、決めたんなら」


 納得がいっていない様子のファリスではあったが、彼女はどうやら承諾をしてくれるみたいだ。

 さて、後はクリエとチェルだが……。


「そういう事でしたら、私がキューラちゃんを守ります!」


 納得できていません!

 そう言いたいのは嫌というほどわかるぐらい彼女は表情をゆがめていた。

 しかし、どうやらそれでも依頼は受ける方向みたいだ……。

 後は――。


「本当にそれ以外に依頼はないんですか?」


 チェルは店主へと食いつくが、店主は「そうだ」としか言わない。

 対し彼女は大きなため息をつくと――。


「分かった……でも無茶をしたら絶対に許さないからね?」


 笑顔だ……ただし絶対に笑っていないとわかるほどの素敵な笑顔だ。

 これは怪我をしたら死ぬ間際じゃなければ治してもらえないかもしれない。

 そんな事を考えながら俺はコクコクと首を縦に振る。


「返事は?」

「わ、分かってます」


 威圧感に耐えられず俺は思わず敬語になる。

 するとトゥスさんは再び笑い始めていた。

 彼女としてはクリエさえ助かればいいというのは変わらないだろう。

 だから、その為の手段は問わない。

 現状お金は必要だし、否定する気もないようだ。

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