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440 物音

 クリエにしがみつかれながら歩く事……どのぐらいたっただろうか?

 辺りから物音が聞こえることはなく、今のところは安全だ。

 これなら簡単に鉱石が取れるだろうか?


「そう考えられたらいいんだが……」


 どうにも嫌な予感がする。

 俺はそう思いながらクリエの頭に移動したライムへと目を向けた。

 いざとなったらライムの力を借りれば何とかなるだろうか?

 だが、相手が氷を使うようなことがあれば……。


「キューラちゃん、前、見ないと危ないですよ?」


 クリエに注意を促され、俺は再び前を向く……。


「いや、それクリエさんが言う? そのままだとどっちにしても危ない気がするよ?」


 チェルの指摘にクリエは「え?」と答える。

 どうやら本気で何も考えてなかったらしい。


「なんでですか?」

「お嬢ちゃん……それ、本当に言ってるのかい?」


 トゥスさんも呆れている。

 だが、まぁ……。


「今のところは問題ない、魔物もいないしな」


 誰かがいきなり出てくる様子はない。

 逆に怖いが……本当に何も変わりがないのだ。


「逆に……怖い」


 ファリスもそう思ったのだろう。

 そうつぶやいている。

 事実、俺だってそう思う。


「ああ、なんか嫌な予感がする」


 それだけはひしひしと感じる。

 そうこうしている内に何度目かになる曲がり角を見つける。

 分かれ道はない……。

 だが、このまま奥に進んでいい物だろうか?

 そんな事を考えていると――。


 ようやく、なにか変化が現れた。

 だが……良い変化ではない。

 ぱきり、ぱきりという音が響いているのだ。

 それに混じり聞こえてくるのはやけに粘っこい水の音だ。

 どう考えてもいい状況ではない


「クリエ、少し離れてくれ……」

「え……」


 何故そんなショックを受ける。

 というかなんとも言えない表情だぞ……。


「奥を少し覗いてくるだけだって……明かりがあるとばれるかもしれない」


 俺の言葉にようやく渋々と言った感じで離れた彼女を確認すると壁に沿って近づいて行く……。

 警戒しつつ、覗き込んでみる。

 クリエたちでは見えるわけがない暗闇だが……魔族の血を受け継いでいる俺には関係がない。


 先にはまだ魔物は見えないが……。

 何とも言えない冷たい空気が俺の頬を流れて行く……。

 その風を受け、嫌な予感は確信へと変わった。


「氷……か?」


 異様な寒さ……それから考えられるのは氷だ。

 何故そう思ったのか? 理由は簡単だった。

 日本でも感じたことのあるあの肌に痛みを感じる風だ。

 だが、それだけならまだ氷と判断することはできない。

 何か今までと違う材質が壁を張っているのに気がついたからだ。


「……冷たい」


 触ってみるとやはり氷だ。

 だが、不思議なことに全体についているわけではなさそうだ……。


「キューラちゃん、大丈夫ですか?」

「…………ああ、まだ待ってくれ」


 クリエが不安そうな声を出す中、俺はそっとしゃがみ込む。

 そして、たまたま近くにあった石を掴んで奥へと投げ込んでみた。

 コンコンコンと音を立てて石が転がっていく……。

 それに反応したかのように奥から風の音が聞こえてきた。

 いや、違う?

 目を凝らしつつそれを見ていた私は大慌てで首を引っ込め――。


「下がれ!!」


 仲間達に告げるのだった。

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[一言] ドラゴンがブリザードブレスでも吐いたとか?
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