437 魔大陸での戦い
町の外へと出ると、俺たちはその景色に驚かされた。
緑豊かな神大陸とは違い、魔大陸は全体的に茶色だ。
かといって植物類がないかと言われるとそうではない。
植物の色が茶色なのだ。
「これ、枯れてる訳じゃ無いのか」
触ってみると以外にも瑞々しい茶色い葉っぱには驚かされたが……。
「変な感じですね」
「うん、こんなの初めて見るよ」
クリエもチェルも茶色い植物に興味津々だ。
それもそうだろう、見た目的には完全に枯れていると思うはずだ。
「木の実の色も変だね、青や紫ばっかりだ」
トゥスさんは遠くに見える木の実を指さしそんな事を言い。
俺は驚きつつもリンゴがないかを探した。
残念ながら見つからなかったが、あの木の実は食べれるのだろうか?
見た目的には毒っぽいが……。
「と、とにかく進もう、食料は十分持ってきてる」
先ほどの町は港のためか神大陸の食べ物や植物が沢山あった。
だからこそ、ここの外がこうなっているとは思わなったのだ。
しかし、こうまで違うと困ってくる部分がある。
だからこそ余計な時間は喰いたくない。
そう思った俺は地図を確認し仲間たちと共に歩き始める。
この先にある廃坑。
そこに住むというロックイーター……。
果たしてそれだけなのか?
いや、それだけじゃない気がする……。
しかし、引くわけにはいかない。
もし本当に質のいい武器が手に入るなら欲しいからだ。
「半日はかからないはずだね、でも……あそこ魔物がいるよ」
横で地図を見ていたチェルは顔を上げると少し離れたところに魔物の姿が見える。
狼のような魔物ではあったが、額に角が生えている。
その角は赤黒く汚れており……。
あれを使って攻撃をしてくることは予想できた。
「気がつかれてるね」
トゥスさんはそう言いながら銃を構える。
相手は狼当然臭いでバレたのだろう。
こちらへと目を向け警戒をしている。
だが、遠回りをする気はない……。
ここは街道だ……そこから逸れてしまえば何があるか分からない。
それにここの魔物の生態も知っておきたい。
「ファリス、ここでの戦闘は初めてだサポート、頼むぞ?」
「サポート?」
「ええと、分からないことだらけだから教えてくれ!」
そうか、サポートという言葉も通じないんだった。
俺は反省し言い直すと――。
「うん!」
ファリスは笑みを浮かべ頷いた。
地元の人間がいるというだけで心強い。
そう思いながら俺は魔物へと目を向ける。
「ルフコーン……あの角、鋼より硬い」
「いや、そんな危険な魔物が何で街の近くに居るんだい」
ファリスの言葉に呆れたように突っ込むトゥスさん。
確かに彼女の言う通りなんだが……。
なんでこんな町中にそんな危険な魔物がいるのだろうか?
「臆病で普段は死肉しか食べない、あの角はオス同士の戦いで使うだけ」
ああ、なるほど……そう言った魔物なのか……。
「弱い魔物だから、人里の近くに来る……強い魔物に追い出されたりして……」
なんだか不憫な魔物だな。
確かに見て見れば警戒をしているが襲い掛かってくる様子はない。
それどころか近づけば近づくほど辺りをきょろきょろとし始めた。
「なんだか、可哀そうな感じになってきませんか?」
逃げ道を探しているのが丸わかりなその魔物の様子にクリエは苦笑いをしつつそう口にした。
「そう……だな……」
俺がそう言うとライムも同意見だったのだろう頭の上でぴょんぴょんと跳ねると――。
『キャウウウウウウ!!』
「な、なに!?」
甲高い悲鳴とチェルの悲鳴が重なり……ルフコーンという魔物は逃げて行ってしまう。
うち一匹は足をもつれさせその場に転んでしまい……なんと言うか残念の塊と言いたくなるような魔物だ。
「……情けない魔物だ」
いやトゥスさんその通りなんだけど言っちゃいけないだろ……なんかかわいそうだ。
「ライムにおびえた」
「だろうな」
スライムと言えば強力な魔物なんだから、臆病な魔物であれば当然、見れば逃げたくなるか……。
ドラゴンと同等、もしくはそれ以上の魔物なんだから人だって避けて通りたいんだからな。




