414 村の秘密
翌日、俺達は村長の元へと呼ばれていた。
だが、呼ばれたのは俺とクリエ、そしてチェル、トゥスさんの四人だ。
「さて、そのちまいのは何故来たんだ?」
家へとつくなりそうそうにそんな事を口にする村長。
ちまいのというのは勿論ファリスの事だ。
彼女は俺の服の裾へとぎゅっとしがみついていた。
「ファリスは家族同然なんだ……」
俺はそう言うとクリエはなぜか衝撃を受けたような表情を浮かべていた。
そして……。
「かかかかかかかかかか!? 家族同然ですか!? なんでそんない、いやらしい事を――」
「何想像してるんだよ!?」
思わず突っ込んでしまったが、クリエは泣きそうな顔をしつつどうしてどこか嬉しそうなんだ?
というか、ファリスも顔を赤らめて嬉しそうにしてるのは何なんだ!?
「キューラちゃん、流石に……変態と言わざるを得ないよ?」
「待て、待ってくれ……二人の態度で勘違いをしてるんだろうが待ってくれ……妹同然と言ったつもりだぞ?」
そう言いなおすとチェルはため息をつき。
「クククク……良いんじゃないかい? 未来の魔王様なんだ、女の一人や二人囲ってもおかしくはない……まぁ、キューラも女だけどね」
そして、この状況を見て楽しんでるだろトゥスさんは……。
勘弁してくれ……。
俺はがっくりと項垂れると……大きなため息をついた後、村長の方へと向き直る。
「駄目か?」
「いや、構わん」
そう言って彼は家へと招き入れてくれた。
俺達は彼の後を歩き家の中へと入る。
するとそこは思いのほか狭い部屋だった。
地べたへと座ると彼はゆっくりと口を開く……。
「さて、何から話そうか?」
「まず、あの墓は……」
勇者のものだ。
それは分かっていた。
だが、どの勇者なのだろうか? いや、だいたい予想は出来ていた。
「この村を開拓させたアウクが従者を務めた勇者だ」
やっぱりそうだよな。
「あの……なんでこんな村が?」
クリエは不安そうな表情を浮かべつつ村長に尋ねる。
すると彼は――。
「この世界には勇者の生き方に疑問を持つものが少なからずいる……そんな者は王や貴族たちには邪魔なのだよ」
まぁ、そうだよな。
実際俺達はクリエを守っているから狙われているとも言ってもいい。
「だからこの村が存在し続けているって事か?」
そんな人たちが集まった集落。
それがこの村というのは分かっている。
だが……。
逆に言えばここは死の山と言われていることから何かしらつかんでいるのでは?
そう思ったのだ……。
じゃなければここに近づかせない理由が分からない。
危険生ものが居るというのなら、それを退治するのは当然だろう。
だが、ここは死の山と言われているだけで言い方はあれだが放置されていると言ってもいい。
「この村が安全かどうか……それが重要なんだ」
俺は結局そこが気になるのだ。
仲間であるヘレンやイリスを置いていくのなら安全でなくてはならない。
それだけは絶対条件だ。
だが、もしも王や貴族がここに反乱分子を集めて一気に消し去るつもりであるのなら……。
彼らには悪いが二人は置いては行けない。
「……安心しろ」
彼はゆっくりと息を吸い、笑みを浮かべながらそう口にした。
その表情には自信が満ち溢れていた。
「確かにここには我々を始末しようとする者が来る」
そう言われて安心白っていうのは無理じゃないか?
「あの、十分危ない気が、する……」
「嘘ついた……?」
チェルとファリスは当然の反応をした。
俺もそう思うしな……。
「だけど、自信があるってことは何かがあるのか?」
「ああ」
俺が尋ねると彼は再び頷き……。
「その通りだ……奴らはこの村には決してたどり着けん……死の山と言われているのには理由があるからな」
ん?
「ここには敵意を持った人間は入れないという事だ……そしてここの存在を知り敵意を持った人間もまた外に出れない」
どういうことだ?
いや、まさか……! この山自体がそう言った結界なのか?




