彼女と街を守るために……?
俺はフリンと別れた後にイリスの元へと向かっていた。
すると後ろから誰かがついて来る事に気が付いた。
フリンだろうか?
いや、それは無いだろう。
もしそうであれば、声をかけてくるはずだ。
だが、何も言って来ない事から彼ではない。
疑問に思いつつ振り返ると其処には小さな少女が居た。
彼女は不安そうな表情を浮かべ俺を見る。
どうやら先程の話を聞いていたみたいだ。
「ファリス……」
名前を呼ぶとびくりと反応した彼女は戸惑った様子を隠す事は無かった。
「…………置いて、行くの?」
「ああ、クリエを頼めるか?」
俺は彼女へとそう告げる。
本当は連れて行きたい。
彼女は幼いながらも頼りになるからだ。
だが、それでも連れてはいけない。
クリエを守るためには信頼できる誰かが必要だ。
それも……実力のある誰かが……。
「ついて行きたい……キューラお姉ちゃんを守る」
頼もしい言葉だ。
彼女が居れば本当に……。
だが、それは出来ない。
彼女を連れてくるという事はクリエを連れて行くという事だ。
人を殺めてしまった事で戦う事から遠ざかっている彼女をだ。
そして、敵の狙いはそんな彼女だ。
彼女を処刑するつもりなのだろう……世界には向かった反逆者として。
そんな事をすれば彼女の力は解放され、世界は滅びる。
そうはさせない。
俺達はどうやら助かるようだが、彼女の心はきっと壊れてしまうだろう。
だから、どうしても守りたい。
「俺の、俺の為なんだ……もし、俺達が戻って来なかったら俺の代わりにクリエを守ってくれ」
だが、同時に俺が喧嘩を売ろうとしているのは国を治める王だ。
どうなるか分からない……。
そう思いつつ、俺は彼女へとそう告げたのだった。




