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34 ライム大活躍っ!

 酒場へと向かったキューラ。

 彼はクリエと喧嘩をしたと嘘を言い一時的に雇って欲しいと告げる。

 酒場の主人は相変わらずやる気のない感じではあったが一応は迎え入れてくれたのか彼にミルクを差し出す。

 飲むのを躊躇ったキューラだったが、意を決しミルクへと口をつける。

 しかし、それにはやはり薬が入っており……キューラはライムの力で窮地こそは脱したのだが……

 ライムは水に浸かり、綺麗になったのだろうゆっくりとした動きで出て来る。

 俺はというと何度試しても魔法は使えない、クリエに買ってもらった剣も手元にない。

 体術だけでは心もとないよなぁ……ってな事でまずは魔法が使えるように戻さなきゃいけない。

 しかし、それも大した問題ではないはずだ……この部屋自体に魔封じの結界なんて張っている訳が無いだろう――


「とすると、やっぱりこいつか……」


 俺は首元にはめられたそれへ手を触れてみる。

 首と首輪の間には苦しくない程度に隙間が空いており……材質は皮製の物に何か金属がついてる、これの所為で魔法が使えないに違いない。

 そう思った俺はライムを手の上に乗せ――


「ライム、この首輪……皮の所だけ溶かすことは出来るか?」


 そう聞くとライムは飛び跳ね、俺の肩へと着地。

 首元へと向かってきて――


「ひゃぁ!?」


 その冷たさに俺は思わず声を上げ、慌てて口元を押さえた。

 い、今のは恥ずかしい……というか、何で俺「ひゃぁ!?」なんて悲鳴上げてるんだよ……と、というかこれ……


「ひっ!? ぁ……ちょっ!?」


 ライムは水に使ってた所為か余計に冷たくて、その……体がぞわぞわとしてくる。

 し、しまった……まずはもう少し待つべきだった。


「ぁ……ぅぅ……~~~~!!」


 そんな後悔を覚えつつも、俺は悶え――早く首輪が溶ける事を祈るのだった。











 ただ、これだけはハッキリ言おう……


「は……ぁ……あぅ……」


 消化、遅すぎる……












 拷問の様なその時間に何とか耐えた俺は荒い息をする。

 少し息が整った所で全ての原因である首輪を掴むとそれを投げ捨てた。

 この野郎、こんな物がついてなければこんな目に遭わなかったのに……

 そんな俺の怒りが伝わったのだろうかライムはその冷たい身体を擦り祖せてきて――


「んひゃぁ!?」


 我慢する間もなく俺は声を上げる。

 当然、ライムは気にせず身体を摺り寄せてくるわけで――


「だ、大丈夫だ! お前には怒ってない!!」


 再びぞわぞわとした感覚に襲われつつ、俺は慌ててライムを手に乗せる。

 すると、ライムはプルプルと震え……どこかしょんぼりとしているようにも見える。


「…………」


 ま、まぁ……ライムが悪くない事は分かってる。

 首輪を溶かすのも俺の命令だ……


「悪いな、変な物喰わせて……後で林檎買ってやる」


 俺がそう言うとライムは手の上でピョンピョンと飛び跳ね始めた。

 もしかして、嬉しいのか? 全く……やっぱりライムは何処となく可愛げがあるな。


「っと、その前にだ……」


 俺はライムを再び肩へと乗せてやると首輪に目を向け――


「フレイム」


 魔法を唱える。

 すると、首輪は一瞬にして炎に包まれ、異様な臭いを発した。

 よし、問題なく魔法は使えるみたいだ。


「ありがとな、ライム」


 例を告げるとライムは再びその身体を摺り寄せ――


「ひゃ!? ちょ……まっ!?」


 く、クソ……さっきの所為で俺敏感になってないか?


「ふ……ぁ……」


 こ、これは不味い……息が荒くなってきた俺はそう思い、再びライムを手の上へと乗せ――


「た、頼む……今は……その首元にすりつくのは無しな? 今は駄目だ今だけだ」

『………………』


 ライムは分かってくれたのか、分かっていないのか? いや、多分理解はしてくれているだろう。

 俺の手の上でプルプルと震えていた。








 暫く扉の前で待機をしていると、銃声のような音が聞こえた。

 恐らくはトゥスさんが銃を放った音なんだろう……


「グレイブ!」


 俺は音を聞くとすぐに魔法を唱える。

 撃ちだされた石の塊は見るからに頑丈そうな扉を撃ち抜く――

 上の騒ぎで俺の魔法が発した音には気が付かなかったようだ。

 表に出てみるとここにはどうやら同じような部屋があるみたいだ。

 ……他にも捕まってる子はいるのか確かめる為に見て回ったが、扉は開いておりどうやら捕まっていたのは俺だけの様だ。

 ひとまず安心した俺は辺りを見回す――


「さて、何処から来たのやら……確か階段を下ってたような感覚はあったんだけどな」


 隠し階段なのか、なんなのか今俺が居る場所には見当たらない。


「んー……」


 だが、天井にも怪しいものは見つからず、俺は首を傾げる。


「おっかしいな……幻視の魔法でもかかってるのか? んな馬鹿な」


 幻視……つまり幻属性の魔法って言うのは魔法が一切使えないドワーフ以外には使える魔法だ。

 だが、その代わり高度な魔法となり、並大抵の魔法使いには扱いきれない。

 それに加え高品質の魔法媒体……大きな宝石が付いた杖何かが必要になってくるわけなんだが――


「そんな物、アイツが持ってるのか? いや、そもそもそんな魔法使えるなら飯には困らないだろ……」


 いや、もしかしたら魔道具の類か?

 それは無いか……それこそ高価過ぎてその金額を想像したくないな……


「とはいえ、上には出ないとな」


 クリエ達が店主を押さえてくれてるだろうが、出口が見つからない以上俺については知らないと言われたらそれまでだ。

 恐らく、此処はクリエ達にも見つけられない可能性だってあるんだからな……


「なら、強行突破だな……ライム! 振り落とされるなよ?」


 俺は肩に乗るスライムへと語り掛けると、ニヤリと笑みを浮かべる。

 出口が無いなら作るまで、だ!! そう思い俺はクリエへとその事を伝え、暫くその場で待つと――


「グレイブ!!」


 石の塊を頭上へと撃ち放った。

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